あらすじ
真希は29歳の版画家。夏の午後、ダンプと衝突する。気がつくと、自宅の座椅子でまどろみから目覚める自分がいた。3時15分。いつも通りの家、いつも通りの外。が、この世界には真希一人のほか誰もいなかった。そしてどんな一日を過ごしても、定刻がくると一日前の座椅子に戻ってしまう。ターン。いつかは帰れるの? それともこのまま……だが、150日を過ぎた午後、突然、電話が鳴った。(解説・川上弘美)
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Posted by ブクログ
語り口が軽やかで優しく、それでいて寂しさを感じさせる素敵な小説だった。「世界に一人ぼっち」という世界観もたまらない。電話一本で声しか知らない相手との恋愛がこんなにも尊いとは…最後は誰でもニヤニヤする。
☆勝手にイメソン
older(ファイブ・セカンズ・オブ・サマー)
Posted by ブクログ
時と人シリーズ2冊目。銅版画家の真希が交通事故に会い、生きているのか、死んでいるのか、分からない。1日過ごすと何故か15時15分にその日へ舞い戻る。しかも誰もいない世界。150日目に真希の下に電話がかかり、現実世界の1人の男性・泉との会話が始まる。主人公・真希の潔癖性と泉への強烈なカタルシスが真希の可愛らしさを表現していたのだが、その一方で、これまでの母親との薄い関係性が母との愛情を深くした。最初から登場する「君」の存在、最後の眼を開けた瞬間、君達同士の印象はどうだったのだろうか。
まさかとは思うけど、泉さん、柿崎の病室に行っていないよね?まさか、行ってしまったのか?
Posted by ブクログ
主人公は29歳の女性版画家森真希さん。ある日交通事故で命の危機に遭遇したのをきっかけに、時空のパラレルワールド"くるりん"に迷い込んでしまう。毎日15時15分になると、それまで過ごしていたことが全てリセットされ、昨日の15時15分@自室の畳の上 に戻ってしまう。そうして永遠に毎日同じ日々をくり返すのか、と思ったら果てしない孤独と生きがいの見出せなさに絶望感を抱いてしまいそう。
現実では時間を繰り返すことはないけれど、付記にもあるように朝起きて朝食を食べ身支度をし仕事をして帰って寝るという同じ行動の繰り返しに、鬱屈とした気持ちを持つことが社会人なら誰しもあると思った。だからこそ真希の境遇に共感してしまうのだと思う。
一人で生活していて、誰に見られてなくてもお店で商品を買った(もらった?)ときは必ずお金を置いてきたり、他人からの評価ではなくあくまで自分がどうあるべきかという軸で生きている姿勢がとても好き。
そんな150日を過ごしてきて、かかってきた1本の電話。泉さんとの出会えて本当によかった(必然だったのかもしれないけれど)。やはり人を好きになるというのは生きるのに心の支えになるのだ。
直に会うことはできなくても声を聞き、考えに触れることで好きになってしまうことはあるだろうなぁ。
真希が愛について話した内容が素敵だった。
「相手が自分だけを愛してくれるから、その人に魅かれるわけじゃない。その人が、自分以外の何を、どのように愛するか、それを知るからこそ、相手を愛せるのでしょう?」
人を愛すること、そして自分にとっての生きがいを持つこと、すなわち日々成長が楽しいと思える習慣・仕事・趣味を持つことは大切だなぁと感じた。
Posted by ブクログ
版画を趣味?仕事?にしている女性が事故に遭ってそこから同じ1日を過ごすことになってしまう。5ヶ月ほど後、家の電話が鳴る。
女性はいつも「声」を聞いていてその声との2人称の話が進んでいく。電話も声の延長みたいな表現がされていく。
恋愛や人生について、美しく描かれている物語だと思いました
Posted by ブクログ
最初の1/3は、わたし(森さん)と、「心の中にいる」君との会話。この部分が一番好きだったかもしれない。森さんの考えとか、行動がとても可愛くて、心に残る言葉が多かった!《くるりん》が始まってからは謎が多い序盤だったけど、あとから考えると文学的で素敵な文章だった
泉さんが登場するところで、一気に物語が進み始めて、とてもロマンチックで好みだった〜!《くるりん》にハマってしまった原因についてはよくある感じだった
最後の柿崎さんは怖かったけど、ハッピーエンドで良かった