【感想・ネタバレ】奴隷・骨・ブロンズ――脱植民地化の歴史学のレビュー

あらすじ

過去につながり、今を問え!――BLM運動が糾弾する奴隷制の歴史。アイルランド移民の軌跡を物語る遺骨。欧米の博物館を揺るがすベニン・ブロンズ。「知の脱植民地化」の最前線へ。

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Posted by ブクログ

①日本の博物館も、先住民からの略奪から始まっているが(函館仮博物場)、その問題に取り組む博物館がほとんど無い、あるいはその事が世間的にあまり知られていない状況であること
②某アーティストのコロンブス問題で、世界的な歴史認識と日本の歴史認識の差異を感じたこと
③脱植民地化というキーワードが気になっていたこと
から手に取った。
日本では「脱植民地化」という言葉はまだまだ浸透していないと感じるが、海外の事例に倣って、日本でもこれまでの歴史認識のあり方、ミュージアムの認識などを見直す段階に来ていると思う。そのため、まずは海外の事例を学ぶことが出来てよかった。
残念なことに、日本でも歴史修正主義は根深いし、最近では排外主義も台頭してきている。このような時代に本書が刊行されたことは非常に意味のあることだと感じた。

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

最近の本のチョイスが、我ながら重たい。奴隷貿易や西洋人による収奪に関してである。著者によると、タイトルはジャレドダイヤモンドの『銃・病原菌・鉄』に影響を受けてつけられたもの。さすがに人類史をそこまでのスケールで書いてはいないが、前述の通り、奴隷制や植民地政策の話。

取り返しのつかないスティグマ。ジェノサイドと同じ位、残虐。本書では、ブラック・ライヴズ・マター、BLMによる奴隷商人の銅像破壊が話題となるが、その背景を紐解いていく。

奴隷商人はコルストンだが、同様に略奪の象徴としてコロンブス像もBLMを中心とする反レイシズム運動のターゲットとなる。「コロンブスによる新大陸発見」は欧米に開いた「明るい未来」とは対照的に、それが南北アメリカ大陸やカリブ海域の先住民族やアフリカやアジアの人びとにもたらした「負の遺産」である。

ー 先住民の絶望を象徴するのが、バルバドス人の証言者たちがこぞって語りたがらなかったというボラ族の若き首長、カテネレの反乱失敗の顕末である。一九〇八年五月、妻をレイプしたPACの幹部を殺して密林に逃亡したカテネレは、二年余り逃げ続けたが、PACに捕まった妻が水も食事も与えられないまま晒し台に放置され続ける姿に耐えかねて投降し、数々の拷問の末に処刑された。

他にも主人の子を身籠り、しかし奴隷として育てられる運命に抗って自ら堕胎するという話。酷い内容だ。白人社会にも飢饉があって自国から食料や資源を求める理由があり、それがタイトルの「骨」から分かってくるが、言い訳になるはずもなく。人類最大級の黒歴史の一つだ。

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2025年06月15日

Posted by ブクログ

現代から過去を覗くまたは発見、思い出したときに歴史の視点としての角度から多様な思索を重んじる良書である。
本著で示唆されている通り、現代においても世界中で様々な形において奴隷制度は存在している。先進国も含まれ例外ではない。身近な例であれば、家庭内でも起きえるし、少しスケールを上げると会社という1組織内でも方法をとれば簡単に奴隷制度が出来上がる。人が人を動かし生み出すときに必ず奴隷制度に似た形がどのような形であれ継承されていくだろう。本著が述べているように、奴隷や過去に遭った悲惨な出来事を繰り返さないようにする思考は重要である。だが、同時に全員が同じ評価と身分になったときに、また違う歴史が顔を覗かせ私たちを脅かすだろう。
歴史という本から過去を覗き知り活かすことは可能だ。現代においても過去の歴史を繰り返さない様に必死に闘っている人たちが存在している。私たちは知らなければならない歴史は過去でもあるが今であり未来でもあり同時に存在していることを。
私たちが個人でできることは大きい。手が届く周囲の人たちを幸せにするのもよし、企業や起業で社会へ貢献するのもよし、先人らが歩んできた歴史という今を未来に活かすのは私たちの考え方や気づきなのだろう。

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2025年05月20日

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