【感想・ネタバレ】カフェの世界史のレビュー

あらすじ

普段身近に楽しんでいるカフェというものは、どのような歴史的なルーツを持っているのか、どのような文化的背景とつながっているのか、飲み物とお菓子を片手に「なるほど」と思えるような、いつものカフェタイムがちょっと楽しくなるような世界史の話。
noteフォロワー1.7万人、イタリアからカフェや美術館について発信を続ける気鋭の研究者、渾身の初著書。

装画:藤田嗣治《カフェにて》1949
※権利者の許諾を得て使用しています※

ザッハトルテはアルプスを越え、バームクーヘンは海を越えた。
ロンドンのコーヒーハウスは社会を変えた。パリのカフェは芸術を支えた。
カフェ誕生前夜から、現代の最新事情まで。
カフェとそれを取り巻く飲み物やお菓子を切り口にした歴史案内。

※カバー画像が異なる場合があります。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ずっと気になっており、本屋でばったり会ったため読むにいたる。コーヒーやカフェ、お菓子の歴史が当時の社会状況と共に書かれている。著者がイタリア史専門ということで、歴史的な背景に関する記述がものすごく細かく、逆にカフェの話の方が少し抽象的なような気がした。世界史好きにはおすすめ。
1番読んでよかったと思ったのはカフェの成り立ちと機能について知れたこと。カフェの前身であるコーヒーハウスはイギリスで誕生した。当時はコーヒーを楽しみつつ談笑ができる場として店を開いたらしいが、実際はただの飲食の場ではなく、政治や文学・哲学などの議論が熱く交わされていたとのこと。この場ができたことにより政府は「世論」が大きくなりすぎることを恐れたために、閉鎖令を出したらしく、これは今回の参院選後にSNSへの対策を口にする政府と見事に重なる。これは17世紀のことだ。また同じ時期のフランスでも同様の機能として使われており、こちらではさらに大衆への刊行物が配布される場としても使われていたそうだ。カフェを起点として政府への反逆精神を育み革命の準備をしていた。
SNSは匿名性故に人々の奥底から本音を引き出し、結果世論を形成しており、世論の形成が現実から仮想の空間に移行したとも取れる。そこの変化に何か危険性はないのか。顔の見えない関係で作られる世論は本当にいい未来につながるのか。そのあたりはしっかりと考えないといけない。

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2025年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

想定よりかなり分厚い本だったので手に取ったとき驚いたのだが、読んでみて納得。
カフェの歴史についてのみ記した訳ではなく、ヨーロッパ史、ロシア史を解説した上でカフェの話をしているので、そりゃ話も長くなるわなという。
確かに背景の歴史が分かった上でカフェの歴史を読まないと理解しづらい部分はあるが、本題に入るまでが長いのが難点。
カフェの歴史を知りたいのに世界史の授業が延々続くので、途中で投げ出す人が増えそうである。
カフェの話がしたいのか、世界史の話がしたいのか、読んだ印象としては後者である。
特に第一次世界大戦に入るまでの前半は、その傾向が強いように思う。
事実、あとがきに「カフェを入口に歴史学に興味を持ってもらう」こともこの本の目的のうちだと書かれていたので、上記の印象は間違っていない模様。
他にも「カフェの話からは離れるが」と断って脱線することも多いので、個人的には少しもどかしい内容だった。
歴史部分や脱線部分をもう少し削ってコンパクトにして欲しかったなあ。
新書にしては分厚いので……ノベルスかと思った。

後半の大戦中の話やスタバの話などは興味深く読みやすかった。
大戦の話はさておき、スタバだと身近に感じやすいからだろうか。

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2025年02月17日

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