あらすじ
アイドルになりたくて仕方がなかったあたしとアイドルに憧れたことのない相方、元アイドルの母親のせいで注目される子供たち、親友の推しに顔を似せていく女子大生。アイドルは色んなものを覆い隠して、私たちに微笑みかけてくる。曖昧に乱暴に過ぎていく毎日に推しがいてくれてよかった。「女による女のためのR-18文学賞」読者賞受賞作を含む珠玉の短編集。『くたばれ地下アイドル』改題。(解説・吉川トリコ)
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Posted by ブクログ
表紙に惹かれて手に取った1冊。
200ページちょっとでしたが、短編5話になっており、とにかく色んなアイドルに纏わるお話でした。
アイドル側であったり、推している側であったり…
どのお話も面白かったのですが、
犬は吠えるがアイドルは続く
アイドルの子どもたち
寄る辺なくはない私たちの日常にアイドルがあるということ
が面白かったです。
アイドルになった2人のそれぞれの視点で話が進んでいくのも、新鮮でした。
短いのに重みのある、それぞれの人生を見ていたような気持ちになりました。
最後の寄る辺なく~は、もう全オタクに見て欲しい。
違う話ではあるんですが、
アイドルは娯楽として即効性がある。
小説も映画も労働ですり減った頭には回りくどいんだよ。いい作品でも気が滅入ることも多いしさ。
アイドルは、血管に無理矢理ぶち込むみたいに効くから。
っていう文面同意の激しい頷きしてました。
最後の短編の最後の終わりもまたそれで面白かったです!
そういうところですよね。
見応えあって楽しかったです。
Posted by ブクログ
憧れるもの、追うもの、逃げるもの、そばにいたはずのもの。アイドルという存在に何故人類は振り回され続けるのか。様々な角度で同じものを見つめる短編集。
率直な感想として、吸い込まれるくらい面白かった。読書集中力のない私がスラスラと読み進めるくらいには虜になった。どこからでも攻撃される現代社会に鋭く突きつける、曖昧で歪んだ愛の形。
Posted by ブクログ
現代社会は「推し」という言葉で溢れています。あれもこれも「推し」と一つの言葉にくくられて、いつからか、「推し」や「推し活」が商品のように消費されている現代にある意味ピッタリと言える作品だと思います。こんなことを綴っている自分もちゃっかり「推し」というものがいるので、この本はしっかり心に刺さりました。特に、最後の短編での「推しにお金をかけているオタクと推しに入れ込みすぎていないオタク、どちらが推しに対して誠実なのか」という疑問は、うわ、と思いましたし、自分の推し活という一つの消費への向き合い方を考え直すきっかけになりました。推しがいる人、推し活をしている人にこそ読んでほしい一冊です。
Posted by ブクログ
最後に推しがいたのはいつだったか思い出せない。
中学生の頃だった気もするし小学生の時だった気もするけど、誰かの活動を追ったり一生懸命応援する楽しさみたいなものだけは覚えてるな。グッズや新曲が出るとか配信があるとか推しが与えてくれるそういうイベントで日常が潤ったし学校や嫌なことを頑張れていた事を思い出した。
Posted by ブクログ
現役地下アイドル、現役アイドル、元アイドルの子ども、アイドルファンの話。
アイドルと言っても、人それぞれ立場によっての考え方の違いがリアルに描かれていた。
アイドルになりたいと幼稚園の頃に思っていたのを思い出す。ゲームの中のアイドルに憧れてのことだった。
そんな昔のことも思い出し、タイトルに惹かれたため、本作を読んでみました。
今は、推し活が社会的に流行している中で、どのように推しを応援するのがいいのか。という推しとの向き合い方も考えさせられる1冊だった。
とても、スラスラ読めるので、隙間時間に読める1冊です!
Posted by ブクログ
エモい。エモいという言葉でしか表せずボキャブラリーの少なさに歯噛みするほどのエモさ。アイドル自身もファンも、楽しそうで、大変そうで、なんだか眩しい。ドルオタの解像度が高くて共感したり、へーっ!てしたり。アイドル文学でしか得られないエモさがある…。
Posted by ブクログ
「アイドル」が当たり前に存在してる今の世の中で、代わる代わる消費されていくアイドルを色んな方面から捉えた短編小説なのがこう…
自分もアイドルを推してるからこそ、本人たちの立場になれなくても自分の推しに情景を準えやすいとこが多かったな
本人たちにはなれないけど、もしもこうだったらって想像がしやすくて章ごとに没頭してさくさく読めた
Posted by ブクログ
5つ全てが全く異なる愛の話だった。単なるアイドル小説ではなくて、それぞれの「愛してる」が聞こえてくるような読後感。好きな人には、ずっと幸せでいてほしいな。幸せの答えはわからないけど。
Posted by ブクログ
辻村深月さんが帯を書いていたので気になったのと、タイトルにも惹かれたので読んでみました。
希と蘭ちゃんのお話はなんだかどこかの現役アイドルを物語っているような感じがして、なんだか感傷的な気分になりました。
すごく薄い本なのに読み応えがあって、そういう本は初めてだなと新たな読書体験でした。
アイドルを題材として様々な視点から作られた物語が新鮮でした。ですが、個人的に話自体は面白い!とはならなかったです。
Posted by ブクログ
思ったよりも薄い文庫本だったので、なんだすぐ読み終わりそうだな〜♪と思ったらそんなことなかった。ひとつひとつの話がとても読み応えがある短編集でした。
アイドルそのものの人たち、アイドル周辺の人たち、アイドルを推している人たち、色んな立場の人が描かれているので、誰かのどこかの感情には思い当たる節が。
アイドル当事者やその周辺の人たちの話では、想像がつくようでつかなかったこともあって面白かった。
⚪︎犬は吠えるがアイドルは続く
義務教育を終えていないような若い頃から芸能界に入ると、人間関係が逆に狭まって特殊になりすぎてこういうことが起きるのかもしれない。狭すぎて特殊すぎて普通に生きてたら恋愛の対象にはなり得ない人を好きになってしまう…?
イメージカラーが白と黒、見た目も正反対な女の子2人組アイドル。文字の並びだけで気になってしまう!ノンシャランのパフォーマンス見てみたかった。
⚪︎君の好きな顔
冒頭の語りからは思いもよらない方向に晶と夏子が進んでいくのが面白かった。夏子が顔真似をして晶との関係性が大きく動くのか…?と思いきやそうでもなく、結果的に夏子だけが大きく変わっているのがなんとも言えなかった。自分の生活のほぼ全てを捧げてきたことがある瞬間から馬鹿げて思えてしまう時って本当にある。
⚪︎アイドルの子どもたち
ほんとーにタイトルそのまんま。どんなにセックスしてもなんかの拍子に会えなくなるってあるあるだけど、やっぱり切ない。
自分たちのことがネットに流出してものすごい速さで周りが変わっていくのに対して、当事者はその速さに置いていかれていて、かえってとてもゆっくりと状況に呑み込まれていく感じがリアルな気がした。これも正常性バイアスなのかな?
Posted by ブクログ
推す推される、見る見られるの視点はあれど、推させる見させる、の視点がないのが見事、純度が高いアイドル小説になってる
私はどちらかというもその視点が1番近いかもしれない
Posted by ブクログ
短編5本、短編が故にちょっと展開を詰め込み過ぎに思えたものはあったものの、それぞれの登場人物「アイドル」像はどれも各人の内面の現れで面白く感じられた。
解説にもあったけれど、短編の順番が何となくその前の話を意識させられる感じで良かった。
Posted by ブクログ
どの話もあんまり登場人物に共感できなかったな…てか色々生々しくて好きじゃないなーって思いながら読んでた
最後の話、主人公が無銭オタク(CDとかグッズ買わないけどライブには行く)なのも現実でその是非をTwitterで見たな、と思い出してモヤっとした
でも確かにCD買わなきゃ、ブログ読まなきゃ、って義務的になると辛く感じることは私もあるな…
オタクは仕事じゃないんだからスキャンダル出ても傷つかないくらい浅く推すくらいがちょうどいいってのも確かにな…と思わされた
ちなみにアイドルのライブで遠征した帰りの新幹線で読んでた
Posted by ブクログ
ちょっと面白い話と、さして印象に残らない話が混じってた。
長編にしたらもっと面白いだろうなと思う話もいくつかあった。
辻村深月さんが選考委員としてコメントしているのを見て購入を決めたけれど、辻村深月さんっぽかった‥生々しさと、トゲトゲとした感情?が苦しいくらい伝わってくる感じ。
R-18文学賞読者賞を取ったとのことで、初めてこの賞を知った。調べてみたら、女性の作家さんが書く、大人の女性に向けた本とのこと。
私にピッタリ!!!ここの本もたくさん読んでみようかなと思った。
作品について、それぞれ感想。
◯くたばれ地下アイドル
これは、あんまり好きじゃない‥ずっと気持ち悪いし、胸糞悪い。
◯犬は吠えるがアイドルは続く
タイトルを書きながら、タイトルと作品のつながりが全然わからなかったな‥と気づいた。笑
アイドルとして才能がある希さんの方が、一般人への憧れがあって、極力高校に通おうとしたり、大学に通ったり、恋愛をしていた一方で、本気でアイドルに向き合っていて、アイドル以外の何も得られなかった女性は結局希さんに負ける‥
だも、希さん側の苦悩も書かれていて、どっちも不幸なのかな‥と思った。
この切なさがすごく伝わってきてよかった。
◯君の好きな顔
女友達が本当に好きで、その子に近づくために、はたから見たらアホみたいな努力を頑張ってする、その女の子の苦しい感情が伝わってきて良かった。
これは、アイドルよりも、女性同士の関係に焦点が当てられていた印象
◯アイドルの子どもたち
元同じアイドルの子供達同士の恋愛なんて、ゴシップとしてはとんでもないネタで、なんだが遠いことのように感じちゃうけど、高校生が普通に出会って、なんとなくそういう関係になって、デート行って、エッチなことして、写真撮って‥って、高校生が普通の恋愛してるだけなんだよなあと思った。
性の部分に焦点が当てられすぎていた気はするけど、日常感を出すエッセンスだったんだと思う。
面白かった。
◯寄る辺なくはない私たちの日常生活にアイドルがいるということ
これは推しがいる人しかわからない感情だなと思う。
この女性は、推しを浅く好きだったはずなのに、アンチコメを見ただけで仕事を早退させられるほど病んで、自分が意外とアイドルにハマっていたと知るという話。
私は、ケーポップの女性アイドルが好きで、この女性と同じで、推しのためにお金を落とすこともしない。
でも、私はお金を落とさない分、推しに熱愛が出ても、病まないし(そもそも私が異性愛者だし)、推しはよく叩かれているけど何も思わない。
私は、実はオタクじゃないのかな?と思った。
Posted by ブクログ
テーマがアイドルであまり知らない部分も多かったのですが、一つ一つのお話が刺激的でインパクトが強い印象でした。
アイドルとして生きる者たちの葛藤が多く描かれているが、逆にアイドルを推す人たちの目線も
描かれているので、読者の中には、感情移入されるのかと思います。