あらすじ
アイドルになりたくて仕方がなかったあたしとアイドルに憧れたことのない相方、元アイドルの母親のせいで注目される子供たち、親友の推しに顔を似せていく女子大生。アイドルは色んなものを覆い隠して、私たちに微笑みかけてくる。曖昧に乱暴に過ぎていく毎日に推しがいてくれてよかった。「女による女のためのR-18文学賞」読者賞受賞作を含む珠玉の短編集。『くたばれ地下アイドル』改題。(解説・吉川トリコ)
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Posted by ブクログ
現役地下アイドル、現役アイドル、元アイドルの子ども、アイドルファンの話。
アイドルと言っても、人それぞれ立場によっての考え方の違いがリアルに描かれていた。
アイドルになりたいと幼稚園の頃に思っていたのを思い出す。ゲームの中のアイドルに憧れてのことだった。
そんな昔のことも思い出し、タイトルに惹かれたため、本作を読んでみました。
今は、推し活が社会的に流行している中で、どのように推しを応援するのがいいのか。という推しとの向き合い方も考えさせられる1冊だった。
とても、スラスラ読めるので、隙間時間に読める1冊です!
Posted by ブクログ
思ったよりも薄い文庫本だったので、なんだすぐ読み終わりそうだな〜♪と思ったらそんなことなかった。ひとつひとつの話がとても読み応えがある短編集でした。
アイドルそのものの人たち、アイドル周辺の人たち、アイドルを推している人たち、色んな立場の人が描かれているので、誰かのどこかの感情には思い当たる節が。
アイドル当事者やその周辺の人たちの話では、想像がつくようでつかなかったこともあって面白かった。
⚪︎犬は吠えるがアイドルは続く
義務教育を終えていないような若い頃から芸能界に入ると、人間関係が逆に狭まって特殊になりすぎてこういうことが起きるのかもしれない。狭すぎて特殊すぎて普通に生きてたら恋愛の対象にはなり得ない人を好きになってしまう…?
イメージカラーが白と黒、見た目も正反対な女の子2人組アイドル。文字の並びだけで気になってしまう!ノンシャランのパフォーマンス見てみたかった。
⚪︎君の好きな顔
冒頭の語りからは思いもよらない方向に晶と夏子が進んでいくのが面白かった。夏子が顔真似をして晶との関係性が大きく動くのか…?と思いきやそうでもなく、結果的に夏子だけが大きく変わっているのがなんとも言えなかった。自分の生活のほぼ全てを捧げてきたことがある瞬間から馬鹿げて思えてしまう時って本当にある。
⚪︎アイドルの子どもたち
ほんとーにタイトルそのまんま。どんなにセックスしてもなんかの拍子に会えなくなるってあるあるだけど、やっぱり切ない。
自分たちのことがネットに流出してものすごい速さで周りが変わっていくのに対して、当事者はその速さに置いていかれていて、かえってとてもゆっくりと状況に呑み込まれていく感じがリアルな気がした。これも正常性バイアスなのかな?
Posted by ブクログ
どの話もあんまり登場人物に共感できなかったな…てか色々生々しくて好きじゃないなーって思いながら読んでた
最後の話、主人公が無銭オタク(CDとかグッズ買わないけどライブには行く)なのも現実でその是非をTwitterで見たな、と思い出してモヤっとした
でも確かにCD買わなきゃ、ブログ読まなきゃ、って義務的になると辛く感じることは私もあるな…
オタクは仕事じゃないんだからスキャンダル出ても傷つかないくらい浅く推すくらいがちょうどいいってのも確かにな…と思わされた
ちなみにアイドルのライブで遠征した帰りの新幹線で読んでた
Posted by ブクログ
ちょっと面白い話と、さして印象に残らない話が混じってた。
長編にしたらもっと面白いだろうなと思う話もいくつかあった。
辻村深月さんが選考委員としてコメントしているのを見て購入を決めたけれど、辻村深月さんっぽかった‥生々しさと、トゲトゲとした感情?が苦しいくらい伝わってくる感じ。
R-18文学賞読者賞を取ったとのことで、初めてこの賞を知った。調べてみたら、女性の作家さんが書く、大人の女性に向けた本とのこと。
私にピッタリ!!!ここの本もたくさん読んでみようかなと思った。
作品について、それぞれ感想。
◯くたばれ地下アイドル
これは、あんまり好きじゃない‥ずっと気持ち悪いし、胸糞悪い。
◯犬は吠えるがアイドルは続く
タイトルを書きながら、タイトルと作品のつながりが全然わからなかったな‥と気づいた。笑
アイドルとして才能がある希さんの方が、一般人への憧れがあって、極力高校に通おうとしたり、大学に通ったり、恋愛をしていた一方で、本気でアイドルに向き合っていて、アイドル以外の何も得られなかった女性は結局希さんに負ける‥
だも、希さん側の苦悩も書かれていて、どっちも不幸なのかな‥と思った。
この切なさがすごく伝わってきてよかった。
◯君の好きな顔
女友達が本当に好きで、その子に近づくために、はたから見たらアホみたいな努力を頑張ってする、その女の子の苦しい感情が伝わってきて良かった。
これは、アイドルよりも、女性同士の関係に焦点が当てられていた印象
◯アイドルの子どもたち
元同じアイドルの子供達同士の恋愛なんて、ゴシップとしてはとんでもないネタで、なんだが遠いことのように感じちゃうけど、高校生が普通に出会って、なんとなくそういう関係になって、デート行って、エッチなことして、写真撮って‥って、高校生が普通の恋愛してるだけなんだよなあと思った。
性の部分に焦点が当てられすぎていた気はするけど、日常感を出すエッセンスだったんだと思う。
面白かった。
◯寄る辺なくはない私たちの日常生活にアイドルがいるということ
これは推しがいる人しかわからない感情だなと思う。
この女性は、推しを浅く好きだったはずなのに、アンチコメを見ただけで仕事を早退させられるほど病んで、自分が意外とアイドルにハマっていたと知るという話。
私は、ケーポップの女性アイドルが好きで、この女性と同じで、推しのためにお金を落とすこともしない。
でも、私はお金を落とさない分、推しに熱愛が出ても、病まないし(そもそも私が異性愛者だし)、推しはよく叩かれているけど何も思わない。
私は、実はオタクじゃないのかな?と思った。