【感想・ネタバレ】知恵の樹のレビュー

あらすじ

エネルギーや物質を環境から受け入れはするものの外部システムの作動には関知せず、自己は自身をもとに自らを創出する―本書は、システムが自分自身の組織を形成し変化させていく閉じた環のなかにとどまり、その循環をよき環としてとらえなおそうという、まったく新しい生物学の原理“オートポイエーシス理論”の初歩的で原理的な入門書。生物のあいだの円環を意識しながら、生命の世界に対するしなやかな感性と、生物を制御対象ではなく自律主体として見る柔軟な視線でとらえるこの認識論は、1973年、チリのアジェンデ政権下における知的沸騰のなかで生まれ、社会や法律、現代思想に大きな影響を与えた。序文 浅田彰

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Posted by ブクログ

ネタバレ

       -2009.02.24

システムが自分自身の組織を形成し変化させていく閉じた環のなかにとどまり、その徤環をよき環として捉え直そうというオートポイエーシス論の提唱者たる二人の原理的入門の書。

<いかにして知るのか>を知る

ぼくらの経験が、いかにぼくらの<構造>にしっかりと結びついているか-
ぼくらは世界の「空間」-客観的・外在的な-を見るわけじやない。ぼくら自身の個別の視野を、生きているのだ。
反省的思考-Reflection-[=反映]とは、ぼくらが<いかにして知るのか>を知るプロセスのことだ。
それは自分自身に向かって帰還してゆく行為だともいえる。それは自分の盲目性を見いだし、他人の確信や知識[認識]にしたところで、ぼくら自身のそれと同じくらい、困った、頼りないものだと認識するための、唯一の機会なのだ。
ぼくらが<いること>「存在」と、<おこなうこと>「行動」と、<知ること>「認識」の、この継ぎ目のない偶発的同時性がふくみもつ意味に、気づくということ。
外部にあるいかなるものについての経験も、「そのもの」が<描写>の中に立ち現れてくることを可能にする人間の構造によって、特別のやり方で価値づけられて【有効化されて】 いるのだ。
アクションと経験のこの円環性、この連結、ある特定の<ありかた>「存在様式」と世界の見え方とのこの分離不可能性は、ぼくらに、それぞれの認識行為はひとつの世界を生起させるということを教える。
これらのことは次のようなアフォリズムに要約されることになろう-
「すべての行動は認識であり、すべての認識は行動である」と。

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2022年10月23日

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