あらすじ
海難事故で出会った宣教師の行為に心打たれた辻口は、キリスト教に惹かれていく。しかし夏枝を許せず、陽子への愛情も生まれない。夏枝は陽子に気づかれないように冷たい仕打ちを続けている。兄・徹は陽子に愛情をそそぐが、思いを自制するために友人・北原に陽子を紹介した。北原と陽子は心通わせるが、夏枝は複雑な嫉妬心から、2人に陽子の出生の秘密をぶちまけてしまう。人間の愛と罪と赦しに真正面から向き合う不朽の名作。
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Posted by ブクログ
とんでもない小説を知ってしまった!
イエスキリストの「汝の敵を愛せよ」という言葉をテーマに登場人物は皆がそれぞれに許してほしい、許したいと思っているような罪を抱えている。妬んだり僻んだりして生きていく中で、人は人を許すことができるのか。
陽子は唯一純粋無垢な人物として育つのだが、原罪として自分の血が汚れていることが自分で許せない。汚れた感情が内にあるのだと。
そんな陽子がどうなっていくのかは続・氷点ではっきりするのかな?
正木の自殺理由は私も全く同じことを考えてしまうな。
この世で何者でもない自分の生きる価値とはなんなんだろうと嫌になるときもあるけど、それでも前を向いて生きていたい。
本ではアイヌ差別についても触れていて私自身が不勉強で調べてみた。
明治以降の同化政策によって生まれた偏見と記載されていて令和になっても差別は続いているようで、情けなく感じた。
小説自体は昭和時代に書かれているものだけれど、非常に読みやすい。
それぞれの登場人物の心情が分かりやすいのは、話し言葉のあとにカッコ書きで心情も合わせて書かれているからだと思う。こんな風に書かれている本はあまり見ないなと感じた。
エンタメなんだけれどもテーマは重く、著者が読者へ問題提起しているような思いが、本に込められていて素晴らしかったです!
Posted by ブクログ
とにかく夏枝が可哀想だとしか思えなかった。少し浮ついた気分を楽しんでいたけど彼女に不倫をする勇気はないですよね。
それよりロリコン夫の論理と性欲キモすぎです。
遺書にもあった通り娘を殺した男の娘を育てられるのは並大抵のことじゃないと思う。たまに男にちやほやされることでの憂さ晴らし位可愛いものだと思います。
辰子さんのわかってる風な寄り添い方も嫌でした。
Posted by ブクログ
原罪という難しいテーマだった。あまりに辛い展開で、読んでいて苦しかった。
啓造も夏枝も自分勝手で意地悪い人間に思われるが、嫌悪感を感じながらも、最後まで嫌いになれなかった。第三者として綺麗事を言うのは簡単だ。でも、自分が啓造や夏枝の立場だったら、どうだったろうか。自分はこの2人を馬鹿にできるほど、立派な人間であるだろうか。
この夫婦に対比して描かれる辰子や北原だって、一見よくできた人間のように思われるが、誰かの立場からしたら悪になり得るかもしれない。
何の穢れもなく描かれていたはずの陽子ですら、最後は「ゆるし」を求めて自殺を図ったのだから。
人にはそれぞれ氷点がある。啓造も夏枝も陽子も、その氷点に達してしまった。
妻の裏切りを許せないという、何ら特殊でもない誰の心にも生じ得る憎しみが、この悲劇を生んだのだと思うと、人が人と関わり合い生きることの難しさを、改めて感じられた。
Posted by ブクログ
最後の10ページほどが「えぇ!?」の連続だった…。
序盤は夏枝の事がどんどん嫌いになってしまって。あまりに身勝手だし、どうして息子の友達に色目を使うのかも分からないし。
けれど高木の告白で、夏枝も振り回され過ぎてて、でも皆が悪いのよ。陽子以外の大人が。
なんとも言えない気持ちになりました。
そこで終わるの!?という驚き。
続編があるようなので、読んでみようかな。
でもスッキリ出来るのかな…。
Posted by ブクログ
最後の最後でちょっと分かった気がした。正しくまっとうに生き、誠実さを忘れず、嫌がらせをされても明るく笑い飛ばし、他人の心の汚い部分を垣間見ても信じず、徹頭徹尾善意の人であり続ける、そのような人が自分に拭いきれない罪が最初から課せられていたことに気づいたら、それにどう対応するであろうか、ということなのかもしれない。
ただ、それだけがテーマなのだったら、話の前半部分ほとんど必要ないような気もする。そのくらいほぼすべての登場人物が意味のないことにこだわり続け、誰も気にしていないようなプライドを必死に守って、傷つける必要もない人を傷つけていた。どいつもこいつも大したことないのに、自分は大したことない人間って分かってない。いや一応それっぽいこと考えはするんだけど(キリスト教だのなんだのご大層に引き合いに出して)、考えるだけで全然改めていない。それは結局、自分のくだらなさをちゃんと引き受けられていないということだと思う。
生まれてすぐ実親から引き離され、経済的には豊かであるがお世辞にも温かいと言えない陰湿な性格の夫婦によって育てられた陽子があんなに屈託なく素直な良い子に育つというのもかなりファンタジーだと思う。
続編は読まないな。
Posted by ブクログ
上下通しての感想です。
ずっと通して重い気分で読んでいました。特に、夏枝と村井がダメでした。
優柔不断な啓造も理解不能でした。
村井が酒に酔って辻口家で「松崎由香子が死んだ」という話をする場面があります。
言う方も言う方だし、言わせる方も言わせる方と思いました。
なぜ啓造はあんなセリフを吐かせる前に追い出さないのか不思議でした。
陽子、徹、達子が救いでしたが。
最後で盛り返したのでようやく☆3です。
原罪がテーマということですが、陽子が罪の根本に悩んだという点を指しているのでしょうか。罪の根本とは何でしょうか。
読み込みが浅いのか、よくわかりません…。
ただ、続氷点も読もうと思っています。
陽子が報われてほしいなあ…。
(と言いつつ、旭川に聖地巡礼したいと思う自分がいるw)