あらすじ
海難事故で出会った宣教師の行為に心打たれた辻口は、キリスト教に惹かれていく。しかし夏枝を許せず、陽子への愛情も生まれない。夏枝は陽子に気づかれないように冷たい仕打ちを続けている。兄・徹は陽子に愛情をそそぐが、思いを自制するために友人・北原に陽子を紹介した。北原と陽子は心通わせるが、夏枝は複雑な嫉妬心から、2人に陽子の出生の秘密をぶちまけてしまう。人間の愛と罪と赦しに真正面から向き合う不朽の名作。
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Posted by ブクログ
とにかく夏枝が可哀想だとしか思えなかった。少し浮ついた気分を楽しんでいたけど彼女に不倫をする勇気はないですよね。
それよりロリコン夫の論理と性欲キモすぎです。
遺書にもあった通り娘を殺した男の娘を育てられるのは並大抵のことじゃないと思う。たまに男にちやほやされることでの憂さ晴らし位可愛いものだと思います。
辰子さんのわかってる風な寄り添い方も嫌でした。
Posted by ブクログ
原罪という難しいテーマだった。あまりに辛い展開で、読んでいて苦しかった。
啓造も夏枝も自分勝手で意地悪い人間に思われるが、嫌悪感を感じながらも、最後まで嫌いになれなかった。第三者として綺麗事を言うのは簡単だ。でも、自分が啓造や夏枝の立場だったら、どうだったろうか。自分はこの2人を馬鹿にできるほど、立派な人間であるだろうか。
この夫婦に対比して描かれる辰子や北原だって、一見よくできた人間のように思われるが、誰かの立場からしたら悪になり得るかもしれない。
何の穢れもなく描かれていたはずの陽子ですら、最後は「ゆるし」を求めて自殺を図ったのだから。
人にはそれぞれ氷点がある。啓造も夏枝も陽子も、その氷点に達してしまった。
妻の裏切りを許せないという、何ら特殊でもない誰の心にも生じ得る憎しみが、この悲劇を生んだのだと思うと、人が人と関わり合い生きることの難しさを、改めて感じられた。
Posted by ブクログ
最後の10ページほどが「えぇ!?」の連続だった…。
序盤は夏枝の事がどんどん嫌いになってしまって。あまりに身勝手だし、どうして息子の友達に色目を使うのかも分からないし。
けれど高木の告白で、夏枝も振り回され過ぎてて、でも皆が悪いのよ。陽子以外の大人が。
なんとも言えない気持ちになりました。
そこで終わるの!?という驚き。
続編があるようなので、読んでみようかな。
でもスッキリ出来るのかな…。
Posted by ブクログ
えええー!ここで終わるのかー!!!
読む手が止まらず、残りページがどんどん少なくなっていくのに、物語は終わらない!嫌な予感がどんどん募り、結局ここで終わるのかー!!
という感じでした。
でも、続編があるとか????
今すぐポチります。
Posted by ブクログ
この本の主題は「汝の敵を愛せ」るか?許せるか?
結局陽子はルリ子殺しの犯人の子ではなかったが、最後まで 夏江は敵を愛せなかった。
一番人間らしいのかもしれない。
神様 でなければ敵は愛せないよと思う。
敬三 も 不貞をはたらいたと思われる夏枝を許せなかった。
徹は陽子の父のこと知っても陽子を愛したが、兄弟という立場と親の夏枝の立場とは違いすぎるからだからだろう。
陽子が自殺をした後、他の人がどんなことがあっても陽子は自殺したんじゃないか言っていたが同感。
強い人って何かあったらポキッと折れてしまうから。柳のようにしなやかに生きたいもんだ。
Posted by ブクログ
夏枝さんに終始イラッとしつつも、自分の中にも見たくない夏枝さんがいる。
啓造の本音と建前だって、同じような状況になったら案外自然なことなんじゃないかな。
高木さんが啓造を買っていても、全信頼では対しないところ(悪意は全くないが保険をかける的な…)もビジネスの場では頻繁にあることと感じた。
陽子の氷点も、その年頃なら当然の帰結じゃないかと。
金持ちと貧乏、(現世でいう)罪人とその他の人、親と子、対立項は探せばいくらでも見つけられるけど、神(生死)の前には人は皆等しいと思いたい。
そして「自分は条件付きで他者によくしていることを忘れない。そして相手も自分もそれは相手の立場を思えば無理ないことかもしれない、だから話し合おう」の方向に持っていける人間になりたいと強く思わせてもらった。
Posted by ブクログ
「夏枝ーー!そこまでするか!?」と、終始イライラしました。
自己愛と他責思考が強すぎます。
北原にまで色目を使って、陽子に嫉妬して仲を裂こうとするとか、呆れます。
啓造は、自分の罪深さと自己中心さを自覚した描写があり、少しこちらの気持ちがスッキリしました。
一方「自分の中の罪の可能性」を見出した陽子は、自殺を図ってしまいます。
そこからラストまで、怒涛の展開が続いて、ページをめくる手が止まりませんでした。
「原罪」がテーマだという本作。
自分の罪とは?考えさせられます。