あらすじ
辻口病院長夫人・夏枝が青年医師・村井と逢い引きしている間に、3歳の娘ルリ子は殺害された。「汝の敵を愛せよ」という聖書の教えと妻への復讐心から、辻口は極秘に犯人の娘・陽子を養子に迎える。何も知らない夏枝と長男・徹に愛され、すくすくと育つ陽子。やがて、辻口の行いに気づくことになった夏枝は、激しい憎しみと苦しさから、陽子の喉に手をかけた――。愛と罪と赦しをテーマにした著者の代表作であるロングセラー。
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Posted by ブクログ
この家族に出会わなかったら、違う幸せがあったんだろうか。最後はそう、考えされられた。辻口家族の一悶着に完全に巻き込まれた陽子。読んでいて、本当に辛かった。辛いという言葉だけでは、表現しきれない。それでも陽子のまっすぐな性格がまた辛くさせる。それでも陽子の近くに辰子がいてくれてよかったって、心から思った。一人でも支えになる人がいると、ほっとする。それにしても私も高木の言葉を本当だろうと、信用してしまった一人。いやいや、そんなことをしなければ、幸せだっただろうよ。いやいやいや、元をたどると、夏枝が…。
いやでも、犯人が1番か?…。
続・氷点も読みたい。
Posted by ブクログ
登場人物が少なく、心理描写も細かいのでとても読みやすい。善と悪とどちらともつかない感情の狭間で生きる葛藤をとてもリアルに描いていると思う。
陽子に幸せになってほしい。
Posted by ブクログ
久しぶりに一気読みした。内容はもちろんのこと、文章が美しい。言葉のひらきと閉じが使い分けられていて、読んでいて心地よい。また、心情の描写が深く、読んでいて引き込まれる。夫婦のすれ違いや、陽子と徹の気持ち、誰にも共感できるからこそ辛い。下巻も大切に読もう。
Posted by ブクログ
評価の高いこちらの小説。
一度は読んでおこうと思い、手にしました。
思った以上に、ドロドロとした愛憎劇が繰り広げられています。
村井・夏枝・啓造の、なんと身勝手なことか!
まず村井が最低なのは言うまでもないとして。
啓造は、愛娘を失ったことと嫉妬心で苦しむことには同情します。が、だからといって復讐として、そこまでやります?
長男である徹の気持ちは考えない?
とりあえず、言葉を飲み込まないで、気になることは口に出して聞きなよ、と何度も思いました。
夏枝は、利己的で心の底では子どものことなんて考えていない。自分大好き人間のように感じました。
村井に対する気持ちも、外見が醜くなるとスッと冷めたりして、変わり身の早さに呆れてしまいます。
このような大人達に振り回される、ルリ子・徹・陽子が不憫でなりませんでした。
そのような中、サッパリした心持ちの辰子さんが心の支えでした。
終始イライラしながら読みましたが、読むのをやめようとは全く思わず。
それどころか、先が気になってどんどん読んでしまいました!
このままの勢いで、下巻を読もうと思います。
Posted by ブクログ
宮部みゆきさんとどなたかの対談動画を拝見し、そこでこの本が紹介されており、手に取りました。
感想…。
なんだこの夫婦!?が率直な思い。
人間の愛と罪と赦しに真正面からむきあう不朽の名作…と背表紙に記されてはいるが、幼い妻夏枝と嫉妬深い夫啓造のヤバイ夫婦の物語としか…。一昔前の昼ドラのようです。
とりあえず気になるので下巻も読みます。
Posted by ブクログ
昭和の話題本として一度は読んでおかなくちゃ‥てことで読み始めたが‥ちょっと期待が大きすぎた。「細川ガラシャ夫人」を読んだ後だけにどれほどの重厚な内容なんだろうと思ったら‥
ちょっとあり得ない設定。
娘を殺した犯人の子供を引き取って育てるって、どういう心理状態なの?コンプライアンス的にアウトでしょう。しかも妻の浮気の腹いせに犯人の子を育てさせるって、オカルトだわ。夫が夫なら妻も妻で、精神的な未熟度を次々見せてくれる。息子の友達が本気で女性としての自分を好きになってくれると思ってるから恥ずかしい。その彼が娘陽子のことを好きになり、陽子が幸せになることが許せない。やがて自分が殺人犯の娘であることを知った陽子は自殺を図る。
話は荒唐無稽だけど、余計な修飾や背景説明にページを割いていないのでサクサク読めるし、どうなっちゃうんだろうと早く読み進みたくなる。新聞小説だったようだが、これは読者は毎日楽しみだったことでしょう。
「汝の敵を愛せよ」という聖書引用の言葉を頭の中で反復し、犯人の子を引き取った啓造。なんかはきちがえてるんだよねぇ。犯罪者の家族は十字架を背負って生きなければいけないんだろうか。ちゃんと守られているんだろうか。そちらの方が気になる。
読書は心を浄化させてくれる。煩悩というものがいかに馬鹿げたものなのかということが俯瞰で見るとよくわかる。若者はもっと本を読むべきだ。