【感想・ネタバレ】あの国の本当の思惑を見抜く 地政学のレビュー

あらすじ

地形的に見ると、アメリカもロシアも中国も弱い。
だから、戦争をやめられない。

近年、「世界情勢を理解したい」という需要が増えています。
ロシアのウクライナ侵攻、パレスチナ・イスラエル戦争、中国の台湾・尖閣諸島・南シナ海での野心的行動など、ニュースで不安定な国際情勢にまつわる話題を見聞きしない日はありません。

国際政治を考える上で、まず見るべきものは何でしょうか?
歴史、文化、統計、報道――どれも重要です。
しかし、本書はそれが「地理」であると考えます。

ニュースを普段見ていると、外国首脳の発言や人々の意見ばかりが目に入ります。
それらを見ていると、世界情勢を動かしているのは「人間の意志」だとつい思いがちです。
しかし、人間の思考や行動は、私たちが思っている以上に地理に動かされています。
それも、気づかないうちに。

地理を基準に世界を眺めると、次のようなさまざまな事実が見えてきます。

●アメリカは広い海で隔てられるので「攻められづらい」国だが、同時に他国を「攻めづらい」国でもある
●ロシアはヨーロッパの大国と平らな地形で繋がっているせいで、領土を拡大し続けなければならない
●対立を深めるアメリカと中国は、実は国土や隣国との関係など、「似た者同士」である
●日本にとって朝鮮半島はユーラシア大陸との「橋」。朝鮮半島の安全を確保することは伝統的な地政学的課題

寒い場所では、港が流氷で閉ざされて、貿易ができません。
「国を守ろう」と思っても、地形が平坦だとかなり苦労します。
地理が「檻」だとすれば、国は「囚人」です。
囚人に何ができて、何ができないかを知るには、まず檻の形を知らなければならないのです。

本書は、地政学動画において平均再生回数150万回という圧倒的な支持を得る著者・社會部部長が、不変の地政学の法則を解説する1冊。
「海と陸」というシンプルな切り口を中心に、これまで世界で起きてきたことの真の理由を知り、今の世界で起きていることを「自分の頭で考えられるようになる」本です。

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Posted by ブクログ

・地理の宿命を人間の意思で克服することは可能
・理想を捨てず、現実を見る


---以下要約---
■ 序章:なぜ今「地政学」を学ぶのか
・国際情勢がますます「地理・地形・資源・陸海・国境」の制約に左右されるようになってきている。
・特に冷戦終結後、経済成長・グローバル化が強調されたが、最近は安全保障・地政学的要因が再び重要になっている。
・「地理とは檻である。国という囚人がその檻の中で何をできるかを考えねばならない」――筆者のメタファー。
・本書の軸として「海/陸」という二元の切り口を用い、国の思惑・行動を地理条件から読み解く。

■ 第1章:アメリカ ― 強そうで弱い国
・海洋国家としての優位性(海上交通路の支配・大洋の自在性)を持つが、典型的な“島状”ではなくユーラシア大陸に隣接し、「大陸プレッシャー」に曝される。
・広大な国土・多様な気候・複数の隣国との関係――それゆえ「万能」ではなく、制約も抱える。つまり強大だが“弱点”も内包している。
・アメリカの外交・軍事的行動の背後には、海洋国家としての「外圧を防ぐ/外へ拡張する」という構造的ロジックがある。

■ 第2章:ロシア ― “平野に呪われた”国
・ロシアは広大な平原(ユーラシア大陸内陸部)を抱えるため、防衛線が長距離化し、外部からの侵入に常に曝されてきた。
・また、寒冷地域・港が冬季に閉ざされるという地理条件が、外への展開・経済的開放の妨げになっている。
・このような“陸国家”の構造は、領土拡大・影響圏確保を国家戦略化させ、結果として対抗軸を生みやすい。

■ 第3章:中国 ― “海洋国家になろうとする大陸国家”
・中国は元来、広大な大陸国家としての地理を背景にしてきたが、21世紀において“海へのアクセス・海洋プレーヤー”になろうとしている。
・その変化は、隣接海域(南シナ海、東シナ海)および海上交通路支配志向という形で現れており、従来の「大陸国家の論理」と「海洋国家の論理」が混じり合う。
・これにより、中国の行動解釈には「内部構造(人口・資源・経済) × 外部地理(海洋アクセス・近隣諸国)」という二重レンズが必要となる。

■ 第4章:日本 ― “大陸国家になろうとした海洋国家”
・日本は典型的な海洋国家:島国で、海洋交通・海洋資源・対外依存度が高い。だが、地政学的に“ユーラシア大陸との橋”としての位置も持つ(=朝鮮半島・台湾海峡を通じて大陸と関わる)。
・そのため、日本の安全保障・外交戦略には「海洋国家としての強みを保持しつつ、大陸プレッシャーとどう折り合うか」が鍵となる。
・日本の思惑を読むには、「島国だからこうだ」「大陸だからこうだ」という単純な線引きではなく、交差する位置性を理解することが必要。

■ 終章:地政学から得られること
・地政学を知ることで、国(あるいは国家群)の行動・意図・限界を「なぜそのように動くか」という構造的な背景から理解できる。
・単なる「この国は強い/あの国は弱い」というステレオタイプではなく、地理・地形・アクセス・資源・隣国関係など“枠組み”を押さえた分析が可能となる。
・自分の頭で“なぜこの国がこの選択をしたのか”を考える習慣がつく。地理こそが「選択の枠(檻)」を決めており、その枠を知らずして判断を下すことは危うい。
・また、国家だけでなく個人や企業、キャリア構築においても、同じような“地理的・構造的制約”の視点を持つことが有効。

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2025年11月23日

Posted by ブクログ

単純にここに、この国があるからという説明ではなく、だからこういう争いが起きるなど、過去の歴史も含めての説明があるので、他の本屋で売られている地政学書より深く知ることができると感じた。

これをきっかけにYouTubeも見たが、面白くて一気見状態だった。
当時の国のトップはどう考えていたのかの説明も面白かった。
ただの想像ではなく、多くの資料を基に検証しているので説得力がある。

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2025年11月18日

Posted by ブクログ

全国民必読の書である。

なぜ中国が尖閣諸島の領有権を主張するのか
ロシアはなぜウクライナ侵攻したのか

国際ニュースを理解する上で、地政学の考え方を通してわかりやすいガイドとなる本書。
アメリカ、中国、ロシア、日本、それぞれの視点を比較すると、どの国もベースには生存と不安がある、という本質が印象的であった。まずその本質をお互い理解することが、世界平和への第一歩であるように思う。

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2025年11月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地政学の本を初めて読みました。
きっかけは沈黙の艦隊の映画を一緒に見た主人がこちらとリヴィアサンなどを買い始めた為です。

とても読みやすく面白かったです。なぜ中国は尖閣諸島を狙うのか、なぜロシアはウクライナに侵攻したかなど相手の立場になって考えると相手には相手の道理があり戦争するから悪い国と一概に言えないのだと思いました。
作中の偉人が伝えた善い人と悪い人は区別できない。は自分の小さな人間関係でも当てはまるなと思いました。自分自身もお互い理想と現実を知り対話していきたいと思いました。
漫画の国境のない世界を伝えた海江田。現実にならないかなと思いました。

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2025年11月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

地政学について何も知らない初心者ですが、わかりやすく書かれていて読み切ることができました。(地図と睨めっこしながらですが…)
何も知らないと理想主義で戦争をする国が悪いという思想になってしまいます。しかし、それぞれの国にそれぞれの考え、不安があり、お互いに考慮する必要があることがわかりました。
注意して読んでいるつもりでも、日本の領土拡大などに関する内容ではそれが正しいことのように感じたり、他国の行動が間違ったことをしていると感じたり、、
相手の視点・状況をよく理解することが必要!そのための各国の弱点や地政学的に重要な土地など、知っておくべき情報が沢山含まれていました。

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2025年10月26日

Posted by ブクログ

世界情勢の見方が変わる一冊でした。
アメリカは世界中に基地を置いていますが、実はそれほど恐れられていないこと。
むしろ、中国やロシアのほうが各国から警戒されていること。
そして、日本やアメリカのように海に囲まれた国が持つ地理的な利点の大きさ——。
本書は、こうした事実を地理的な観点から分かりやすく説明してくれています。

読んで感じたのは、「先制攻撃こそ最大の防御」という考えこそが、戦争の根本的な原因だということです。
ロシアとウクライナの戦争も、この発想から始まったように思います。
ただ、自分はこの考え方を古いものだと感じました。
とはいえ、台湾有事が懸念される今、隣国を完全に信じ切るのも難しいのが現実です。
結局のところ、昔も今も「軍備を強化せざるを得ない」という状況は変わらないのかもしれません。

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2025年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

世界情勢が不安定な時は地政学の本が多く出典される。それほど土地の制約と戦争は関連があることがよくわかる本。各国の地政学から見た立場がよくわかる。今まで読んだ地政学の本の中で一番好きかも。

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

数年前にとあるテレビ番組でシーパワーとランドパワーというワードを初めて聞いてから
地政学について学びたいとずっと思っていた。
私は近代史が好きだが、戦争を始めた国の思惑というのが
地政学を通して理解できるということが分かった。
この本には、世界の覇権を握るアメリカ、中国、ロシアの地政学的観点からの歴史、
日本の歴史について書かれている。
歴史の専門家ではないので素人の説明になるが
アメリカが太平洋を重視する理由や、中国が台湾にこだわる理由など。
もともと旧ソ連に興味があった私からするとロシアのパートは知らなかったことを知れた。
ロシアは大国で強いというイメージが先行するが、実は東西南と多くの周辺国と国境を接しているがゆえに脆く常に隣国から攻められる可能性があり、そしてそれに苦戦した過去(遊牧民だったりナポレオンのロシア遠征やスターリングラードの戦い)があったからこそ常に周辺国から攻められるリスクが高いため領土を拡大し続けようとしていること、ウクライナのNATO加入を嫌がる理由が地政学的な観点により納得できた。
シーパワーの国とランドパワーの国はそれぞれ強み・弱みが違う。
例えば、広大な領土を持ったモンゴル帝国は、日本を占領できなかったのは
大嵐が来たからと言われているが、騎馬能力の高いくにが海を越えると
その強みが生かされないため。
シーパワーの日本がランドパワーの中国に戦争で勝てなかったも
やはり自分の強み以外のところで戦おうとしてその強みが生かされなかったという
風に書かれてあって、地政学観点から歴史をたどるとなんて面白いんだろうと思った。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

まずは何より説明が分かりやすくて理解できない部分がなかったのが素晴らしいなと思いました。
外交や安全保障などの問題は確かに自国目線で考えることがほとんどですが、どの国もその国特有の問題や弱さを抱えていて、それを解消するための行動が現状の問題に繋がっていると考えれば、他国からの視点が重要になるというのも腑に落ちました。
普段ニュースを見ていると、起きた出来事の説明やそれぞれの国のトップの発言などがほとんどですが、それぞれの国の行動の根っこには地政学が深く関係していることがよくわかり、とても勉強になりました。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

あー、面白すぎる。目から鱗の地政学。
漫画キングダムであった地形の利を活かした戦略とか孫子の教えは、そのまま現代の世界勢力の均衡図にも直結してるという事ですな。

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2025年10月05日

Posted by ブクログ

国際情勢を理解するためにはまず地理を見る必要がある、と腑に落ちた。人間の意志や政策を超えて、地理が国家を動かしていることがよくわかる。地政学への理解が一段深まった。良書!

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2025年09月28日

Posted by ブクログ

海洋国家と大陸国家という地理的特徴に基づいて地政学を説いたもの。聞けばなるほど、そして結論はお互いよく話そう、という普遍的なものだが、シンプルな結論で腹落ちした。

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

ここ十数年の情勢しか語らない地政学本も多いが、この本はより長期的視点で説明しており、説得力が高く好感が持てる

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2025年09月15日

Posted by ブクログ

もっと早く読めばよかった。経済的利害や思想対立といった側面だけではよく理解できなかった各国の行動が、地理的要因という側面で見てみるとよく理解できた。
この視点をもって、もう一度、歴史を学びたいと思う。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

なぜ戦争が起きるのか。
国際関係について、私は何も知らなかったと実感した。戦争の火種はそこかしこにあって、ひとつ歯車が狂えば攻撃され、国を守るために戦争は起こる。この世界はそんな危ういものだったなんて。

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2025年12月05日

Posted by ブクログ

面白かった

朝鮮と日本の関係が豊臣秀吉から根深いってことや、大陸国家は隣国に苦しめられてた、遊牧民がパワーバランスに影響していたなど
世界史の知識とつながっていくのが面白い

ロシアがウクライナを、中国が台湾の必要性がわかって、ニュースの背景や意味がわかり勉強になった

誰かに話したくなる本でした

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2025年11月17日

Posted by ブクログ

今までの疑問が解消された
世界を見る目が変わる
本当に読んで良かったし、もっと深いものがあるなら読みたい

地政学面白い!

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

地政学の本はこれまでに50冊以上読んできていますが、この本の著者のものは初めてです。Yutubeで地政学の観点からの解説をしている有名な人のようです。この本では、各国(アメリカ、ロシア、中国、日本)について、戦争を起こした理由を解説しています。

日本が、日清戦争・日露戦争で獲得した領土、太平洋戦争で真珠湾攻撃をしたのかも理解できました、それが良いことかどうかは別として。戦後、地政学を学ぶことが禁止されていた理由もわかりました。その国の置かれている地理的な状況によって、国の振る舞うべき内容が異なっていることも理解できました。

以下は気になったポイントです。

・アメリカはなぜ特別なのか IT に強いから、経済力があるから、民主主義を愛するから、これらを全て凌駕するアメリカの特徴が、2つの大きな海に守られていることである。南北は弱き 隣国に、東西は魚に囲まれている、この特殊な地理的安全性 こそがアメリカの力の源泉である とドイツ 首相 ビスマルクは言った(はしがき)

・世界情勢を動かしているのは 人間の医師だと思いがちであるか、人間の思考や行動は私たちが思っている以上に「地理」に動かされている (はしがき2)

・2000年代の争いの多くは 民族対立や思想 対立 、 特に イスラム過激派との戦いが占めており、領土 や了解といった 恣意的要素はあまり大きな争点ではなかった。それに対して2010年代は、 単位 紛争の数が増えただけでなく、争いの主体が思想から地理へと移った点で それまでと大きく異なる。これはロシアのクリミア侵攻 や中国の海洋進出 をイメージすると良い。必然的に 地理的観点から大国間 争いを考察する地政学に関心が集まる 土台を形成した(p31)

・地政学が誕生した この時期(1904年頃)のイギリスとドイツの関係は、現在のアメリカと中国の関係によく似ている(p32)

・手段とは、目標を達成するための方法 、 目標とは目的を達成するために必要な 結果、目的とは 最終的に実現したいことである。言い換えると手段とは、どのように達成するのか、目標とは何を達成するのか、目的はなぜそれを達成したいかである(p35)

・ 現在の世界ではアメリカに立ち向かう 対抗 連合が存在しない。冷戦が終わってからアメリカは唯一の超大国 として 絶大な勢力を誇っている にもかかわらず世界には複数の国が協力してアメリカを抑えようとする動きが見られない。アメリカに対抗する国々は存在する、 イラン・北朝鮮・ロシア・中国は その最たる例であるが 連合は欠如している、基本的には個別に行動しており 対抗 連合 と呼べるほどの団結はしていない(p53) 反米連合が存在しない理由は、アメリカがそれほど圧倒的に強いわけではないから(p100)

・ 北朝鮮の真の恐ろしさは 軍事力ではなく、行動が予想できないところである 。中国やロシア 北朝鮮が 周辺国に警戒されやすい一因は、この判別性の低さにある(p63)

・攻撃・防御 有利性に影響を与える 地理的要素は 3つ とは、 距離 ・地形・海である。距離が短いほど 移動 が簡単なので攻撃 有利、長いほど 移動が難しいので防御 有利になる。 平野などは移動を促すので 攻撃 有利、山・川・森といった自然的障壁 は移動 を妨げるので防御を有利にする。 陸で接する国を攻めるのは容易なので攻撃 有利、海で隔てられた国を攻めるのは困難なので防御 有利になる(p69)

・ 第二次世界大戦の 開始時、日本軍が次々とヨーロッパ諸国のアジア 植民地に上陸し 各地を制圧できたのは、ヨーロッパ諸国が 本国に戦力を引き上げていたから。戦争後期には 形勢が逆転し 、 米軍は日本占領地域の島々への上陸を成功させた。しかし 米軍が上陸したのは 駐屯する日本軍が自給自足できない 小さな島 ばかりで、仏印・蘭印(ベトンナム、ラオス、カンボジア、インドネシア)マレー、台湾など大きな島や陸地は避けた。上陸した、サイパン島・ペリリュー島・ガダルカナル島・硫黄島では、熾烈な戦いを強いられた、大きな島である沖縄では、投入戦力の4割が戦傷した、死者数もアメリカ史上3番目に上る激戦になった(p83)

・ 第二次世界大戦後にアジア諸国が次々と独立したのは、現地の人々が力をつけていたのに加えて、日本軍が戦時中に 軍事訓練と武器を提供したこともあり ヨーロッパ諸国と戦うことができたからである、戦後の脱植民地化は、ヨーロッパ諸国の倫理観が突然 改善した結果ではなく、海という最強の水 堀が攻撃を不利にした結果であった(p85)

・ ウクライナの NATO 加盟への意欲はロシアの目には 脅威に映った、 ウクライナという 緩衝国が NATO の手に渡ってしまえば、 NATO軍はロシアとの国境沿いに展開できることになる。そこで ロシアはウクライナに経済的・軍事的圧力をかけて NATO 加盟を考え直すように 迫った。2014年と2022年に武力攻撃まで加えた上 へ、クリミア半島や 東部を占拠して ウクライナとは切り離された事実上の緩衝地帯を新たに設けた(p93)

・イギリスやアメリカのような海洋国家 の強さを真に支えるのは 、強い 海軍ではなく「 強い陸軍を必要としない環境」である点 アメリカが持つ最大の武器は海軍ではな「海そのもの」である(p96)

・北大西洋同盟の主軸を構成するのは、アメリカ・イギリス・フランスの三国で、それぞれ 役割がある。 アメリカは、兵力・農業・工業の後方基地、 イギリスは外堀を備えた飛行場 、 フランスは防御の能力を備えた 上陸地点である。ヨーロッパの戦力の役割は、アメリカ本土から 主戦力が到着するまで、ヨーロッパが前途が占領されることを防ぐ点にある(p111) この構想を 東アジアに当てはめると 、 アメリカは後方基地、 日本は 飛行場、韓国は 上陸 拠点になる。自衛隊と韓国軍 、 在日・在韓米軍の真の役割は、個別で洗剤 派遣国に対抗することではなく、アメリカ本土からの出演 力が到着するまで 上陸 拠点を残しておくことである(p112)

・ ロシアでは 、エカチェリーナ2世がロシア人に 崇拝されている、彼女はその治世で 周辺の大国と戦争を行い、西に現在のウクライナからリトアニアに至る 東欧 地域を獲得した、最も偉大な功績と言われるのか。クリミア半島を併合したことである。 これらの領土拡大によりロシアは一気に大国の座を手にした (p139) ロシアがクリミア半島にこだわる理由は、ここが 黒海に出入りする上で重要な会場 交通の要衝(チョークポイント) だからで ある(p169)

・モンゴル帝国 が 5300km 離れた キエフ を攻撃できた理由は、ユーラシア大陸を貫く 広大な平野にあった。 モンゴル軍の騎馬部隊は、この天然の高速道路を 悠々 縦断してきた。ロシア人 たちは北の森林地帯に逃げ込み かろうじて モンゴル軍との直接的な戦闘は避けられた、 モンゴル軍の武器である馬と弓は、 森の中では気に引っかかって使えなかったから、こうしてロシア人 たち は 現在のモスクワ あたりに落ち着いて 200年にわたって モンゴル帝国に服従することになった、ロシア人 たち は この支配体制下の下で徐々に勢力を増していき、1480年には服従を正式に 拒否 して、ようやく モンゴル帝国の支配を抜け出した(p145)

・ 結果的に負けたとはいえ 第一次世界大戦でドイツが一時的にでもハートランド支配を確立したことは大きな脅威であった、そこで二度とドイツがハートランドを支配できないよう、東欧に独立国家群を設けることをマッキンダーは訴えた(p155)

・ ロシアの海洋進出を阻む 地理的障壁 は2つある 、第1の障壁は、 戦略的に重要な海域が分散している、ロシアの海岸は北極海・バルト海 ・黒海・太平洋の4つに分かれている、問題なのは 海軍力を分散して配置しなければならない。第2の障壁が 、北極海 を除いて全て 内海に面している。内海とは、陸地に囲まれ 狭い海峡によって しか 概要とつながっていない海 のことである。オホーツク海 は唯一安全な内海である、この戦略的重要性から、ロシアが日本に北方領土を返還する可能性は、今後もかなり低いと言わざるを得ない(p172)

・アメリカや フランスは、 ロシアをSWIFT(国際決済網) から締め出す 制裁を課すことに賛成したが、ドイツを含む ロシアに天然ガスを依存する国々は反対した。その後 同盟国の反発にあったこともあり ドイツは渋々 この制裁に同意したが、 ロシア国営 ガス会社 ガスプロム 傘下の銀行だけは制裁から除外するように求めた。天然ガス代金の支払いにこの銀行との決済システムが必要だったから 。欧州はウクライナへの支援金 よりも多額の代金をロシアに支払っていた(p182)

・アメリカは1898年のスペインとの戦争に勝って、キューバ・プエルトリコからスペインを排除し それぞれに 海軍基調を設けた、これにより アメリカ東海岸からパナマ運河に至る航路が遮断される危険は緩和された。イギリスの領土はまだカリブ海に残っていたものの、2つの大戦でドイツに対抗するため イギリスは海軍力を自ら本国に引き上げた点同時並行でアメリカが海軍力を急速に強化したため、イギリスはアメリカ 地中海での 制海を失った、 この時以来 アメリカ 地中海はアメリカの独壇場であり続けている(p196)

・ロシアの南下政策も、ヨーロッパ・アジア大陸で 領土拡大 → ヨーロッパ 地中海・アジア 地中海の 制海権確保という流れを取っている、アメリカ・ドイツ・日本・ロシアがどれも同じ法則で勢力を拡大した歴史があるので、 中国も日本と同じように アジア 帯域の支配に乗り出すと、 スパイク スマンは予言した。日本の場合は、1) アジア大陸で 領土拡大、2)アジア 地中海の制海権確保、 仏領インドシナ・英領マレーシア・蘭領インドネシア・米領フィリピンを占領、3)オーストラリアの中立化(オーストラリアへの空襲、 ソロモン諸島の占領)(P198)

・ モンゴル帝国が日本と西欧を 制服できなかった理由の一つは、水にあると言われる。日本に関しては、対馬海峡がモンゴル軍の移動を阻害した。欧州の場合は、単に距離が遠いことや 進行直前の指導者の急死が主要因ですが、西欧の大河が凍結しないのもモンゴル軍の行軍を遅らせた要因の一つであった(P211)

・ マラッカ海峡はアジア 地中海で一番どころか、世界で一番重要な 海峡に間違いない。 ここは 中国の総貿易量の60%と輸入 天然ガスの70%が通る 中国にとってのチョークポイントである。かつて中国は 明の時代に マラッカ海峡を支配していたがこの支配は長続きせず、マラッカは その後 、ポルトガル 続いて オランダ 、イギリスに支配された。 現在 マラッカ 海峡にある シンガポールは中立を保っているものの、どちらかといえばアメリカよりで国内の海軍基地をアメリカ軍艦の補給拠点としては 明け渡している一方 中国にはその権利を与えていない (P234)

・台湾有事の際 中国の潜水艦は宮古海峡を出て、 沖縄の南海域で 来園してくる 米軍 改定を攻撃しなければいけない そのためには 宮古海峡の通行を安全にする必要があるが、現状としてその航路上には尖閣諸島があり ここは日本の支配下にある。 そこで中国は宮古海峡までの道を安全にするため 尖閣諸島を奪わなければならない(P242)

・幕末 より前 日本への脅威は、海か陸のどちらか一方からしか来なかった。 白村江の戦いと元寇は大陸から、朝鮮出兵 は海からの脅威にそれぞれ 対応した結果であった。しかし 幕末には、 ロシアが大陸から、アメリカ・イギリス・フランス などの 欧米列強が海から同時に迫ってきた(P271)

・日露戦争で日本は、幕末 以来の安全保障の課題を全て解決した、 遼東半島を取り戻し 満州を中立地地帯化し、韓国を完全に自らの 戦力圏に組み込んだ。日露戦争後の日本は海からも 陸からも 脅かされない 非常に 理想的な状態を確立した(P282)

・ 日清戦争も 日露戦争も朝鮮 戦争も、 名前が違うだけで本質的には同じ戦争であった。日清戦争では、日本が中国と戦い それをアメリカが支援した、朝鮮戦争では立場が入れ替わり、アメリカが中国と戦い それを日本が支援した(P305)

2025年11月11日読破
2025年11月12日作成

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2025年11月16日

Posted by ブクログ

なるほど。。と、思った。
書かれていること全ての正確性に関して検証する能力は自分にはないが、きっとそうなのだろうと思わされる内容だった。

戦争は起こる。必ず。そして、その発声のメカニズムについてもうなずけた。
理屈はなんとなく理解できたが、対応策については何も出てこない。
だからこそ、今もあちこちで戦争が勃発しているわけで。。

少なくとも、知った上で発言するよう心がけねばと思った。

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2025年11月11日

Posted by ブクログ

やっぱり地政学はスッゴク面白い。
非常によくまとまっていて素人にも分かりやすい教科書だと思う。

この本は、アメリカ、中国、ロシアという大国三国と日本の4国に焦点をあてて地政学的にその歴史から国家の現状を教示してくれてる。だからどうしてそういう行動になっちゃうのか?ってのが納得感がある。

相手の事がわからないから不安になるというのは最もな事だから、各国との対話っていうのは基本的なことだけどめっちゃ重要なんだな、、髙市さんに期待してます。

私は日本の事が一番わかってなかった汗
豊臣秀吉がなんで朝鮮出兵したんだろうと思ってたんだが、それが今でも遺恨につなかっているのが恐ろしい。マッカーサーの終戦後の行動も最初は懲罰に重きを置いていたが、復興を重視した形に変換したのも地政学な意味があった、、。満州事変、、あーーー何故やっちまった、、、。

これを読むと今のトランプさんの政策は微妙なんだなってワカル。アメリカファースト。それはいいけど今の政策は今だけ良ければになっちまってる。

ウクライナやNATOの東進もみんな恐い。

だが最も恐いのはこの作者の経歴が不明なところかと。この人の書くこと信じていいのか?元々この方を存じ上げないためそう思いながら読み始めました。有名なYouTuberらしいし登録者数もとても多いし、巻末注釈も多いので大丈夫とは思うが、こういう教科書的な良書を書くなら経歴など著者が見える方が読者としては安心と思うのは私だけ?

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2025年11月09日

Posted by ブクログ

実際にこの本に記載されていることが本当かどうかはわからないが、内容としては説得力があると感じた。

今までどうしてモンゴル帝国が西は東ヨーロッパ辺りにまでしか行っていないのか。また、なぜ遊牧民が強いのか。よくわからなかったが、その理由がよくわかった。

あと、どんなことにも通じるが、身の丈をわきまえるということや、出る杭は打たれる、あまり恨みを買うようなことはやらない。ということが地政学や歴史の観点からもなるほどと合点がいく内容だった。

おすすめできる本です。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

基軸通貨のドルに頼る国とそれ以外の方法で経済を回そうとする国の話。
また、地理がどう国防に影響があるのかを歴史的観点を交えながら、分かりやすく説明をしてくれている。
我が国がドル圏で生き続けるのか?生き続けるためには何をしていかなければならないのか?それを俯瞰的に考えさせてくれる。

残念だったのはほとんどが、北米、EU、中国、ロシアの話になっており、アフリカの視点が無かったことである。
アフリカはロシアと距離感を縮めているので、今後の世界情勢の舵取りに影響が大きいと思う。

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

すごく勉強になりました。歴史と関連づけると腑に落ちることばかり。
基本となる考えとしては
•世界には海洋国家と大陸国家がある
•勢力均衡には一国だけが強くなり過ぎないこと
•隣国を恐れ互いに武力増強してしまう安全保障のジレンマがある
•攻撃有利性があると戦争になりやすい(攻撃することで自分を守ること、逆は防御有利性)
•攻撃、防御の判別性が曖昧だと戦争は起きやすい(行動が予想できない)
以上の考えに地理的な「距離」「地形」「海」が関連して各国の利権であらゆる行動が起こる(絶対悪と考えると戦争になってしまう)。起こす行動の主なものに「戦略縦深」(国の中枢を守るため国境の距離を保つこと)と「緩衝地帯」(国と国と間に第三国をあり、直接国境を接しないようにする地域)を確立すること。
各国、そのために話し合ったり、仲間になったり、喧嘩(戦争)したりしている。
世界が一つの国になれば…と思うのは私だけではないでしょう。

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2025年09月21日

Posted by ブクログ

2025/09/17 2025年12冊目。地政学に興味持っていたので、シンプルに面白かった。読む価値はあると思う。

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2025年09月17日

Posted by ブクログ

・世界が不安定になるとき、地政学は求められる
・争いの主体が思想から地理へと変わった
・「超大国の衰退」という地政学の誕生期と現在の類似点

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2025年09月16日

Posted by ブクログ

国の軍事政策を知る上で地政学が重要な役割を果たしていると理解した。特に緩衝地帯を確保し続けることが平和につながると知ることができた。

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2025年10月16日

Posted by ブクログ

地形が国の運命を決める――「地理」という檻の中で、世界は動いている。

地政学には以前から興味があり、人気のある本ということで手に取りました。
本書では、「国の行動は地理によって制約されている」という視点から、アメリカ・ロシア・中国・日本など各国の思惑を読み解いていきます。

内容としては驚くような新発見というよりも、「そういう理由だったのか」と納得できる説明が多く、非常にわかりやすい印象でした。地理という一見動かない要素が、実は歴史や政治、そして人の意志をも左右しているという考え方には説得力があります。

私はもともと戦略や作戦を考えるのが好きなタイプなので、地政学の思考法が現代のビジネスや組織戦略にも応用できそうだと感じました。国の行動を理解するだけでなく、「地形」という制約の中でどう動くかを考える視点は普遍的です。

一方で、文章だけではイメージが掴みにくい部分もありました。実際の地図や図を見ながら読むと、さらに理解が深まりそうです。地理を「静的な背景」としてではなく、「動的な力」として捉える面白さを改めて感じた一冊でした。

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2025年10月15日

Posted by ブクログ

地理的環境が人間の考え方に大きな影響を与えている。確かにそう(そのような状況)なれば,こう考えちゃいますよねぇ。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

本著は地政学(国や地域の政治・経済・安全保障が、その地理的条件――たとえば地形、資源、隣国との距離や地帯――によって根本的に決定や制約を受ける)を知ることで世界情勢や大陸国家と海洋国家の課題と行動を読み解くことができる入門書である。現代(2025)で今なお続くウクライナやロシアの戦争についても触れており地政学的にどうして戦争が起きるのかを解説する。
地政学とは少なくとも義務教育では習わない。全国を探せばどこかの学校ではカリキュラムの中で教えているところもあるだろう。地政学とは何なのか。何故、小中高で学ばせないのか、地政学の性質として「国家戦略」「軍事・安全保障」などを扱うため、知識が浅い状態で単純化して教えると、偏ったナショナリズムや排外的傾向を助長する危険があるという懸念があるとされている。戦前日本において、地政学が軍事目的で利用された過去があり、第二次世界大戦後はGHQ主導で教育現場から締め出され、現在も「価値中立的・国際協調的立場」を重視する教育方針が続いている事実がある。だが、書店に行けば地政学の本や専門書は多く見られるようになった。学校教育として教えられない理由もあるが、専門家側からの研究の一部として書籍として地政学を展開しているのだろう。地政学を学ぶにあたり多くの知識と分析が必要である。
さて、地政学とは国家間の問題やメリットデメリットだけでは無い。日本国内においても都道府県レベルや町レベルでも地政学的リスクは存在し、メリットデメリット、金融、政治、経済、教育等も存在を含まれている。もっとミクロな話をすると駅周辺だけでも変わってくる。そこにはどういう人が住み、どういう人が営み、どういう経済を回しているのかも紐解くことができるのだ。
土地や場所という力は大きい。同時にリスクもある。私たちは地政学という「地理=運命」ではなく、「地理的条件という客観的背景」を知ることで、現代の国家行動や世界情勢の読み解き方を知り、「地理は国際情勢の“重力”」を分析していく中で感じることで視座が高くなり何故、世界や社会ではどうしてこのようなことが起きているのかを知る手がかりとして知り学ぶことが出来る教養書として良書であるといえよう。

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2025年10月06日

Posted by ブクログ

分かりやすく書こうとされていたとは思うけど、やっぱり興味が湧かない領域の話はすんなり頭に入ってこなかった。

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2025年10月03日

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