【感想・ネタバレ】第二次世界大戦 4のレビュー

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Posted by ブクログ 2018年10月17日

シチリア島侵攻から戦後1957年現在まで
戦争勝利への努力に代わって戦後体制への様々な取り組みは
現在へと直接つづいているだけに、その業績を評価することは現在難しい。
現在において著者が英国史においてドイツに屈せず勝利を得た点で最大限に評価されているが
これを日本人でしかない身がわかったきになるのは...続きを読む難しいところである。
やはり日本人らしく日本について書かれている点からつまされるべきか。
「このときまで、われわれは激烈な空襲と大部隊の侵攻とによって日本本土を攻撃するという考えを固めていた。まっとうな戦闘においてのみならず、あらゆる穴や防空壕においても、サムライの捨身精神で死ぬまで戦う日本軍の無謀な抵抗のことを、われわれは考えていた。私の心には沖縄の情景が浮かんでいた。そこでは(引用者注・原文まま)数千名の日本人が、指揮官たちがハラキリの儀式を荘重に行った後、降服を選ばずに一列になって手榴弾で自爆する光景であった。日本軍の抵抗を一人ずつ押え、その国土を一歩ずつ征服するには、百万のアメリカ兵の命とその半数のイギリス兵の生命を犠牲にする必要があるかもしれなかった。(P432より)」
「一方、空と海から日本に対する破壊的攻撃がつづいていた。七月の終わりまでには日本海軍は事実上消滅した。日本本土は混沌のなかにあり、崩壊寸前だった。外交官たちは、天皇の権限の下での即時降服以外に日本を完全な崩壊から救うすべはないと確信していたが、実権は依然として軍部の手にあり、彼らは敗北を認めるよりは国民に集団自決をさせる決意を固めていた。恐るべき破壊に直面しながらもこの気違いじみた階級は何の反応もみせず、情勢を有利に転換するなんらかの奇跡を公然と信じつづけていた。(P434-435より)」
「日本の運命が原子爆弾によって決定したと考えるなら、それは間違いであろう。日本の敗北は最初の原爆が投下される前に確定していたのであり、圧倒的な海軍力によってもたらされたものなのである。最後の攻撃の拠点となっていた海洋基地を押え、突撃に出ることなく本土軍に降伏を強制することが出来たのは、ただ海軍力おかげだったのである、日本の艦船は壊滅していた。日本は五百五十万トン以上の艦船を擁して戦争に入り、その後、分捕りや建造によってそれをかなり増大させていたが、しかし輸送船団の組織や護衛が不十分で、有機的でなかった。日本艦船は八百五十万トン以上が沈められたが、そのうち五百万トンは潜水艦の犠牲になった。同様に海に依存している島国としてのわが国は、この教訓を読み取ることが出来る。(P436-437より)」
この日本について書かれた三点の描写を抜き出しても
あるいは矛盾しているかのような著者の複雑な立場と物事の捉え方をみることができる。
愚者は自身の経験から学ぶ。現在でも何ら変わらない。
己の正しさを疑うのは困難である。
だが自身の行動の責任は自身が取らなければ社会は成り立たないし
その成員である資格はない。

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Posted by ブクログ 2015年10月24日

第3巻でのアラメイン、スターリングラードが第二次世界大戦の転機だったとすればそれを決定付けたのがオーバーロード作戦、ノルマンディー上陸だ。独ソ開戦以来ソビエトが求め続けた西ヨーロッパでの第二戦線に対しチャーチルは慎重だった。この本では何度もチャーチルがオーバーロード作戦の邪魔をしたという風評に反論し...続きを読むている。チャーチルが考えた作戦実行の前提条件は3つ。ドイツ空軍力の削減、北部フランスに独軍12師団を動員させず今後2ヶ月以内に15師団を整備させない、そして大部隊を海岸に維持するために少なくとも2つの人工港を作ることだ。

ロンメルのアフリカ軍団を潰走させ、大きな被害を受け続けたUーボートに対しても1943年後半には優位に立っている。地中海を制覇したことでイタリア侵攻が始まった。7月には米空軍がローマを爆撃し、25日ムッソリーニが失脚した。ムッソリーニがいなければ共産主義のイタリアが異なる危険と不幸をもたらしたというのがチャーチルの読みであり、エチオピアを侵略しヒトラーに賭けて参戦したことがイタリアに不幸を呼び込んだ。

ティルピッツ、シャルンホルストと言う2大戦艦も10月には無力化し、大西洋の制海権を連合国が握り米軍の兵と物資がヨーロッパ戦線に運ばれる準備が整った。チャーチルの主張はオーバーロード作戦に向けて上陸艇を準備することであり、またドイツ軍を分散させるためにイタリアへも上陸しローマへ向かう。そして上陸場所はカレー海峡とドイツに信じ込ませた。

DデイとHアワーは早朝月明かりを利用して海岸に接近し、高潮の3時間前ー接岸しやすく、海岸を歩き過ぎないーことで決められた、それが6/5〜7の3日間でもし天候が悪ければ2週間後に延期される。兵員17万、車両2万、食料数千tが船に積み込まれたが、5日は延期された。ドイツの気象官は荒天が数日続き侵攻は不可能と予想した。イタリアでは4日ローマが陥落、5日午後9時15分気象予報官は6日朝一次天候が回復すると予想した。天候は賭けになるが2週間後まで上陸地点を秘密にできるか?そしてDデイは6日と決まった。

ノルマンディー上陸作戦の描写そのものは全くと言っていいほど無い。チャーチルが見ているものはむしろ特に石油の補給線であり、次にどの港を確保するかだ。8/24ついにパリが解放された。この間のエピソードには映画になったヒトラー暗殺作戦「ワルキューレ」が7/20に決行されている。

この後も戦闘は続くのだが第4巻の後半ではむしろ戦後体制をどうするのかについて英米とソビエトとの駆け引きが続いている。国連安保理の常任理事国の拒否権が生まれたのもこの交渉の中からで、3国が一致した政策を取ることで英米とソビエト間に亀裂を生まないようにするのが目的の一つであった。「最大の危険はわれわれの間で抗争を起こすことである」。また国連の議決権について小国でも1票は1票とするのでは安全が保てないというチャーチルの考えも見て取れる。

「西ヨーロッパがやむを得ない以上にロシアに押さえられるのは望ましくない」。45年4月にルーズベルト大統領が亡くなり就任したてのトルーマンはまだ事態を把握しきれていなかった。アメリカは世界の運命を左右できる立場だったが真の一貫した構想を持ち合わせていなかった。イギリスは単独で決定的な行動を取ることはできなかった。チャーチルが警告と弁明しかできなかったと書いているのは英米が一致した行動をとり、簡単に軍を引かなければ東欧全てをロシアの勢力圏に置くことは無かったとの後悔があるのだろう。

例えばポーランドは常にヨーロッパからロシア侵略の道だったため東部はソビエト領に西部はドイツからポーランド領に国境が書き換えられた。ポーランド人による民主的な政府を主張する英米に対しスターリンは「親ソ」政府を要求した。チャーチルは米軍が引かないように要請したが結果として東欧全てはソビエトの支配下に収まり鉄のカーテンが降ろされた。

最後のエピソードは原爆の開発成功によりこれまでの戦争の常識が通じなくなってしまったことと日本の全面降伏だ。チャーチルは対日戦が長引くことによる損害を押さえるために必要だったと書き、また日本には大量のビラを撒いて無条件降伏するように警告したとしている。しかしチャーチルも書いているように原爆なしでも日本の海軍は壊滅し、物資も輸送できず日本が負けるのは時間の問題だった。

「一、二回の激烈な衝撃のうちに全戦争が終結する光景が浮かんだ。それは実際、快く輝かしいものに思われた。私が瞬間に思い浮かべたのは、私が常にその勇気に感嘆してきた日本人が、このほとんど超自然的な兵器の出現のなかに彼らの名誉を救う口実を見出し、最後の1人まで戦って戦死する義務から免れるだろうということだった。」後半は言い訳としてもこれが本音だろう。

7/26選挙に負けたチャーチルは終戦を迎えることなく直ぐに首相を辞任した。この本の執筆後エピローグでチャーチルは1946年の講演を紹介しヨーロッパ再生の第一歩は独仏両国のパートナーシップでありヨーロッパ合衆国構想にまで言及している。

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Posted by ブクログ 2020年07月25日

最終巻では、いよいよアメリカの参戦により独伊日が敗戦へと向かっていく様子が描かれます。ナチスドイツの退潮に伴いソ連が中・東欧、日本での勢力拡大をもくろむ中で、欧州での民主主義が共産主義により侵食されることを懸念したチャーチルは、米国の介入を求めます。しかし、ルーズベルトの死とトルーマンの承継の狭間で...続きを読む時機を逸することとなり、結果として彼自身が名付けた「鉄のカーテン」がバルト海のシュテッティンからアドリア海のトリエステの下ろされることとなります。東西ドイツは分断され、この後約半世紀にわたる東西冷戦時代が幕開けることとなります。この過程で、英国の介入によりギリシアは民主主義を維持する一方、ポーランドはソ連の共産圏に飲み込まれる結果となり、明暗を分けます。

広島・長崎での原爆使用に関しては、英米の意見は日本の降伏を強いるために不可欠という点で全く一致していたといいます。チャーチルの言を借りれば、その使用は「彼らの名誉を救う口実を見出し、最後の一人まで戦って戦死するという義務から逃れるだろう」と正当化されています。無条件降伏の最後通牒は、7月26日に公表されたものの日本政府に拒否され、8月6日と9日の原爆投下をへて、ようやく降伏を受け入れることとなります。この経緯については、後世にその過程がより精査される日が訪れるような思いがします。

欧州大陸の復興について、チャーチルは仏独のパートナーシップの重要性を指摘し、ヨーロッパ合衆国に関する構想に言及しています。さらに、大戦後の世界統治機構としての国連や、北大西洋条約機構の重要性を示唆しするとともに、朝鮮戦争、イスラエル建国に伴う中東の不安定化に触れています。これらの地域諸問題は、今日にも一向に解消する兆候は無く、今後も政治・外交関係の中心課題であり続けることでしょう。

同年7月の英国下院選挙でチャーチルは破れ首相を辞任することとなるのですが、その前にチャーチルは、投票の結果についての幻覚を見た、とのたまわっています。以前の爆風を予知したエピソードと言い、彼には常人に無い霊感が備わっていたように思いました。

終戦前の1945年4月にルーズベルトは逝去しますが、チャーチルは盟友の死を悼んでいます。次のトルーマンに関しては、朝鮮戦争への介入を英断と評したり、マーシャルプランがいかに西欧諸国を共産主義への傾倒から救ったかを強調したりと、彼の米国に対する信頼がいかに強いものであったかが覗えます。

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Posted by ブクログ 2020年02月13日

最終巻。イタリアに侵攻して、オーバーロード作戦を実施し、ドイツを追い詰めていく。一方で終戦が見えてくると共産主義国のソ連との確執が露わになってくる。共通の敵がいる間は良いが、どう終わらせるか、イギリスの正義をどう実現していくかの舵取りが難しい。そんな中、盟友のルーズベルトが死にトルーマンに替わる。自...続きを読む身も最後の局面では選挙に負けて最後まで戦争の結末に関与出来なくなる。結局ヒトラードイツがスターリンソ連に置き換わっただけなのか。ヒトラーとの戦争に勝つと言う事に専念して窮地を救ったチャーチルはすごい。でも、原爆の使用には躊躇しないし、そもそも世界中に植民地を作りまくった帝国イギリスに対しての振り返りはない。こちら側から見ると一言言いたくなる。エピローグにあるが、アメリカとはイギリスが同意しない限りは絶対に核兵器は使用しないと言う取り決めだった。戦争を早く終わらせる為には原爆の力は必要だった。終戦後8年経ってもその部分への疑念は一切ない。ヨーロッパの側からの第二次世界大戦の流れが分かって良かった。

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Posted by ブクログ 2012年08月15日

第二次世界大戦を連合国の勝利に導いた、イギリスの首相、ウィンストン・S・チヤーチルの回顧録である。
第一刊から第四刊まで読んでみて、改めて、チャーチルの指導者としての、国際情勢の先をみる鋭さには驚かさせられる。世界の指導者でこの時代以後も、これほど世界情勢を的確に見れる人はいない。第一刊の序文で、チ...続きを読むャーチルは第一次世界大戦の戦禍を免れて、世界に残されたものを破壊尽くしたこんどの戦争ほど、防止することが容易だった戦争はかってなかったと述べている。1936年のドイツのラインラント再占領までに対して、英、仏が断固たる意志と行動を示せば、あるいは、この戦争は防げたかもしれない。また1939年でも、スタリーンのソビエトを英、仏側に引き止めることができれば、戦争の局面は変わっていたであろう。彼は戦争末期、ドイツが降伏した後、ソ連との東西冷戦が始まることを予見していたが、米国が太平洋での対日戦の集結を残していたのと、余命わずかのルーズベルト大統領の体調も相俟って、米国に戦後の冷戦が、始まりつつあることを認識させることはできなかった。第四刊のエピローグで1946年の秋、ジュネーブで、欧州の平和には仏独両国のパートナーシップが重要であると、今のEUの設立の趣旨と、同じ考えを述べている。戦争の指揮官としては、作戦の失敗はあったかもしれないが、国際問題に対する、卓越した認識、国民を指導者として導く不屈の闘志、ユーモアのセンス、英国は、危機にあったとき、最高のリーダーを輩出したと言える。、今の日本の必要な指導者は、チャーチルのような、国際情勢に対する深い洞察力と、強靭な意志力持った人が必要であろう。

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Posted by ブクログ 2019年08月12日

長かった。なんとか読み終わった。
ソ連の脅威、ヒトラー・ムッソリーニという独裁者の最期、ルーズベルトの衰弱、原爆の開発及び投下。劇的な幕切れで大戦は終わる。

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Posted by ブクログ 2013年08月29日

長かった。 (−_−;)
途中で何度やめようと思ったことか。
ストレスなく読むには私には教養がなさ過ぎました。

ヨーロッパを中心とした第二次世界大戦の、主要な場所、戦闘とその計画、重要な会談等々が頭に入ってないと
読んでいて、もうワケワカラン。

チャーチルさん、宰相の書く文章じゃないっ...続きを読むす。
こまかすぎます。

加えて日本語訳も分かりづらい。
ずいぶん昔に訳されたっきりみたいです。抄訳が読みたかった。

でも読んで良かった。
本書を読んで、自分は日本から見た第二次世界大戦しか知らなかったという事がよく分かった。

アメリカって、太平洋だけでなく
ヨーロッパでも戦ってたんだね~。

ノルマンディー上陸作戦というのが、だいたい何なのかようやく分かった。

本シリーズ読破は今年の目標30個のうちの一つでした。
次はベストアンドプライテストで、ベトナム戦争について理解を深める。

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