あらすじ
16年前、高名な画家だった父を毒殺した容疑で裁判にかけられ、獄中で亡くなった母。でも母は無実だったのです……娘の依頼に心を動かされたポアロは、事件の再調査に着手する。当時の関係者の証言を丹念に集める調査の末に、ポアロが探り当てる事件の真相とは? 過去の殺人をテーマにした代表作。
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Posted by ブクログ
最高傑作に挙げる人が多いのも頷ける物語の完成度となんとも言えない読後感。
静かに罪状を受け入れる無実の淑女…というようなイメージは『杉の柩』と被るものがあり、書かれた時期も近い。この時期のクリスティさんのブームだったのかな。
とは言え内容は対象的と言ってもよく、エリノアの濃厚な心理描写が物語の核だった『杉の柩』と比べ、こちらはキャロライン以外の人物の心理が丁寧に描かれる。
多種多様な人物描写こそクリスティの魅力と思っている自分にはこちらの方が断然好みだった。
特にフィリップとメレディスという全然違うタイプの男ふたりの心理描写は、毎度のことながら「なんで女性なのにこういうこじらせおじさんの心理をリアルに描けるの!?」と驚く。
そして「アンジェラ怪しい!アンジェラ怪しいよー!」と思ったのがクリスティさんの見事なミスリードに乗せられてただけだったと分かる、そういう瞬間がすごく楽しい。
数十年前にクリスティがこれを書いたときに想定した読者に自分がちゃんとなれた喜びというか、時を超えて文によって心が繋がれたような幸福感がある。
「キャロラインはこういう人物です」といろんな人が語ることでキャロラインのパズルのピースが揃っていき、読んでいる間はそんなキャロラインが犯人であることも充分あり得そうに思えてしまうのに、最後ポアロの説明する真実を聞くと最後のピースがばっちりはまった感覚で「あー確かにキャロラインだったらそうするわ」と納得できるようになっている人物造形と構成がほんとに見事でした。
それにしても子豚はあんま関係なかったね。
Posted by ブクログ
母の無実を証明したいというカーラの依頼を受け、16年前の事件をポアロが調べていきます。
愛しているからこそ憎たらしい、人間の感情が特に色濃い作品でした。
当時の記憶を元に、事件に関わっている人々がそれぞれ手記を書いてくれます。ですが、後半になると文章とは真逆の感情が明らかになり、驚きました。
キャロラインをどう思っていたか、フィリップとメレディスが特にそれが顕著でした。
フィリップがキャロラインをいつから好きだったの⁈嫌いだって書いてなかった⁈とギョッとしましたが、確かに読み返せば、嫌いな女性に対して、帽子を着けている姿を『なかなか魅力的』とは書かないでしょうし、文章の所々に彼女への想いが見てとれました。
小さい頃からずっと惹かれていた相手が夜部屋に来てくれて、期待していたのに、やっぱり無理だと言われて、触れることもできずに出ていってしまわれたら、フィリップのプライドはズタボロだよな…そりゃあまあ、やけくそになるよなあ…。と、フィリップの感情はなんとなく理解できます。
逆にメレディスはてっきり、キャロラインのことをずっと愛しているものだと思ってましたが、エルサにプロポーズしてたのか…。その心変わりには納得いきませんでした。
あの子には出てってもらう、というエイミアスの言葉は、絵を描き終えたらエルサとの関係は終わりだという意味で、アンジェラを学校にやるという意味ではありませんでした。【エイミアスはエルサと一緒になるためキャロラインを捨てるつもりである】という今までの前提が大きく崩れる重要なシーンでした。
人物相関が濃厚すぎて忘れてたけれどちゃんとミステリーです。他にも一つ一つの言葉に沢山の意味が含まれています。
『今日のビールはどれも嫌な味』という言葉にきちんと違和感を覚えるポアロが、相変わらず冴えていました。ビールに毒やらマタタビやら、死ぬ前に美味しいビールにありつけなかったエイミアスが少し不憫でした。
今作のキャロラインや、杉の柩のエレノアのような女性が本当に大好きというか、そういう女性に弱いので、後味すっきりとはいかないけれど、少し救われたような気がして安心しました。
緻密なストーリーですが、他の作品と比べて、よりすんなりと内容が入ってきて読みやすく感じました。
Posted by ブクログ
読後の余韻がすごいです。
この作品は読む人によって感想がかなり変わってくると思います。
毒殺による犯行だったのですが、この毒殺がまた少し特殊です。
普通、毒殺は信頼関係にある間柄の人物が行うのですが本作は違います。
被害者にとってどうでもいい取るに足りない人物が毒殺を行なっています。
そこも面白かったです。
また、フーダニットに重きを置いているのも本作の特徴です。
ただし、真犯人が分かってもあまり特別な驚きはありません。
久しぶりに良い作品を読めて満足です。
Posted by ブクログ
1943年原書 桑原千恵子訳
五匹の豚はマザーグースの数え歌
・ポアロ →探偵
・カーラ.ルマルション→21歳の美しい女性
目がキラキラしている
カーラ母がカーラ父を殺して
叔父夫婦に引き取られ
何不自由なく成長
・アミアス.クレイル→カーラ父 画家 芸術家
・カロリン.クレイル→カーラ母
カーラが21歳の時
父母の遺産と母の手紙を受け取る
カーラがポアロに
父母の事件の調査を依頼
(母の手紙には自分は無実だと..)
・ジョン.ラタリー→カーラの婚約者
・モンタギュー.ディブリーチ卿
・クエンティン.フォック
・ジョージ.メイヒュー
・ケレイブ.ジョナサン →弁護士達
・①フィリップ.ブレイク→株仲介人
アミアス親友
・②メレディス.ブレイク→薬草作り
①フィリップの兄
・③エルサ.グリヤー→ アミアス浮気相手
絵のモデル
〜ポアロからみると
まだ蕾のうちに 霜に襲われた花 の様な人
現ディティシャム卿夫人
一度しかない人生を
思うままに生きた方がいいという
"現代流"の思想の人 英雄崇拝者
一方
カロリン.クレイルは
平凡な人の中にも
人物を見つけることが出来る女性
・④アンジェラ.ウォレン
→カーラ母の歳の離れた妹
〜ポアロからみると
不具という引け目をおっていながら
自信と確信から生まれた
気力.能力のある職業婦人
好ましいとは思っていない
「この人の 姉夫婦 の話は面白かった」
・⑤セシリア.ウィリアムズ先生
→アンジェラの家庭教師
〜ポアロからみると
ヴィクトリア朝時代の
厳しい躾を受けていた為
精神 道徳的に拠り所を持ち
嫉みや不満 後悔 等
受け付けない確固とした自分を持っている
『..大部分の子供は親が
世話を焼きすぎるため..
子供を可愛がりすぎて
世話を焼きすぎるのです
...親が愛しながら
必要以上に構わない
健全ななおざり を実行..』
「耳が痛いけれど...素敵な人だ」
『..結婚というものが
大切に扱われなければ
国全体が堕落して
立ち行かなくなります..
.. 結婚という結びつきを
非常に重要に考えております..』
「こういう事を言う
年配の女性に会ってみたい..
と心の底から思った」
最後の犯人当てはやっぱり面白かった
直接話に関係ないけれど
この本を読んで...
小さい頃に身につけた
〈善悪〉とか〈倫理観〉〈常識〉って
一生を通しての
〔羅針盤〕 の様な役割をしていて
人生の終わりまで
〔自分を守る鎧〕 の様なものだな..
と思った
子供を大人になるまで育てる
機会が 又あったとしたら
(絶対にないと思うけれど..)
一番重要な事だと言って
育てたいな...
(個性とか自由とかいうのに
囚われすぎたな..反省..)
...こんな感想が頭に浮かんだ
この小説は
凄く面白かった
こういう小説を又読みたい
と思った
Posted by ブクログ
アガサクリスティー作品は、一番犯人として怪しくない人が犯人という法則があると(個人的に)思っているのだけれど、今回はそれが当てはまらない作品で面白かった。
Posted by ブクログ
ポアロシリーズ㉑
16年前の母の無実を証明して欲しい。と依頼されるポアロ。
物的証拠は何も無い。16年前の裁判の弁護士、検察官の話を聞き、当時の関係者5人からそれぞれに事件の話を聞く。そして思い出せる限り詳しく手紙に書いてもらう。
一つの事件を何度もなぞっているだけのようで、関係者それぞれの知っていること、印象、思いが加わり少しづつ事件の見え方に違いがでる。
そして、一気にポアロの灰色の脳細胞が事件の真相を明らかにする。誰かがフッと耳にしたこと、誰かが何気なく見ていたことが、ポアロにより真実への大事な手がかりと気付かされる。
犯人は16年間、ずっとこの事件に囚われていた事も印象的だった
やっぱり面白い。