あらすじ
「株式」をめぐる歴史を分解したら、現代の経営の課題が見えてきた!
英国東インド会社まで遡り、株式会社の存在意義と経営の在り方をめぐる社会・株主と経営者・時の権力者とのせめぎ合いの歴史を、数々のエピソードとともに追跡。
◇会社の活動範囲の制限から社会的責任論へとつながった「定款の壁」をめぐる争い
◇公害や偽装、情報漏洩など、法人の法的責任を問う制度が抱える問題
◇株主の有限責任制とホールディングスの責任という「抜け道」をめぐる今日的課題
◇株式を売る権利をめぐる切実な要請と、株式譲渡自由の原則により成立した証券市場に受け継がれる自治の気風
◇アダム・スミスが喝破した「所有と経営の分離」が内包する問題、その解決策としてのコーポレート・ガバナンスの核心である株主総会の意義
◇「万能主義」から「限定主義」そして「経営にモノを言う」新たなステージへと変化し続ける株主総会
◇変わる株主(社会)と経営者との関係のもと、これからの株式会社の在り方
などをテーマに、現代のビジネス社会にとって重要な課題を解説。プロ株主(総会屋)との対峙、PL、役員の解任や経営権をめぐる争いなど当事者としての豊富な経験に基づく内容は読み物としても面白く、法務関係者だけでなく、すべてのビジネス人に読んでほしい一冊。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
中島先生は、会社法の専門家だけれど、この本は株式会社の歴史を紐解きながら、会社法の枠にとらわれず、「株式会社のそもそも」について語っており、とても勉強になった。
第8章で、株式会社の目的は「人々の役に立つこと」であることを真正面から語っているが、そのことを最初からすんなりと腹落ちできる会社員が果たしてどれくらいいるのだろうか?と考えてしまった。
この目的をしっかりと腹落ちしていれば、一見面倒臭いIR活動も、従業員を大事にするためのハラスメントの撲滅も、みなすんなりと入ってくる。会社の公共性は、決して美麗文句ではなく、会社の本質なのだ。
本書を読んで発見だったのは、1856年に「株式有限責任制」が確立する前、例えば東インド会社の時代には、出資者は無限責任を負っていたこと。つまり追加出資責任と会社債権者に対する連帯責任を負っていたということ。
Posted by ブクログ
弁護士中島先生の渾身の一冊。
商法・会社法の歴史を学ぶにはもうこれ一冊で良いのではないだろうか。(他にちゃんと読んだことはないけど。)
最近、佐藤直人弁護士も会社法の歴史やガバナンスを振り返る本を出しているが、合わせて読むとより効果的かも。
中島先生はリアル総会派であることが分かる一冊でした(笑)
もちろん、きちんとした歴史的背景を示しながら解説してくれます。
Posted by ブクログ
2025.03.05
忙しい人は第8章だけでも。
株式会社の歴史、取締役、会社法の原理、株主とは何かなど丁寧に記されている良書。
読む価値あり。投資うんぬんは別として資本主義の社会に生きる人には読む価値アリ。
Posted by ブクログ
株式会社の成り立ちについてよく分かる本。
会社法もしっかりと頭に入ってくる。
最近知財について勉強していたのだが、まさかこの本で特許の原型を作ったのがエリザベス1世だと知るとは思っていなかった。
Posted by ブクログ
個別株取引をしている人が面白く読めそうな本。
会社法の歴史を紹介しつつ、エッセンスを学べると思う。
個人的には7章、8章が面白かった。
8章はかなり今日の話題が多い。