あらすじ
日本橋に進出した蔦重は黄表紙で大ヒットを飛ばす。江戸城では意知が斬りつけられ…
「江戸のメディア王」として時代の寵児となった蔦屋重三郎の生涯を描く大河ドラマ「べらぼう ~蔦重栄華乃夢噺~」を完全小説化、ノベライス第3巻。
吉原の耕書堂を人気店にした蔦重こと蔦屋重三郎は、さらに本屋の中心地・日本橋への進出を画策する。老舗の地本問屋・丸屋を買い取ろうとするが、吉原者は見附内の屋敷を買うことはできない定めがあった。それでも蔦重は浅間山噴火の際に、日本橋の人々の役に立とうと奔走する。それを見た丸屋の女将・ていは、だんたんと蔦重を認め、店は蔦重に譲り、自分は出ていく、と言う。それを聞いた蔦重は、それならば夫婦にならないか、とていに提案するのだった。蔦重は大田南畝や山東京伝など仲間たちとともに黄表紙を刊行、その中の『江戸生艶気樺焼』は空前のヒットとなる。
江戸の田沼屋敷では田沼意次とその嫡男・意知が、蝦夷地を幕府直轄地にせんと画策していた。意知は情報を集めようと、花雲助と名乗り色男を演じながら吉原に探りを入れる。そこで花魁の誰袖と出会った意知は、いつしか誰袖と心を通わせ、身請けの約束をするのだった。そんな折、田沼親子の失脚を狙い暗躍する何者かが、意知が佐野政言の出世を阻んでいると吹き込み、乱心した佐野は江戸城内で刀を振りかざし、意知に斬りつける。
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Posted by ブクログ
“江戸のメディア王”蔦重こと蔦屋重三郎の生涯を題材にした大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(森下佳子, 2025)の小説版第3巻。
「浅間焼け」の火山灰が降る日本橋通油町で蔦重が活躍する第25章「灰の雨降る日本橋」から、新たな老中 松平定信によって「蔦屋」と恋川春町に危険が迫る第36章「鸚鵡のけりは鴨」までを収録。
脂が乗りに乗り、しかしながら商才や幸運に翳りが表れ始める蔦重。べらぼうに型破りで天才的な商人で、べらぼうに世間知らずの朴念仁——テレビドラマと比べると劣るが、イカしているしイタい彼の為人や生き様が伝わる。
自らが「天」になろうと企む、顔はいいのになんかむかつくあの男の存在感が前2巻より増してきた。
本作及びテレビドラマ内での「浅間焼け」を機に一気に露顕し悪化した米不足や物価高騰の描写は、令和の現代とあまりに似通いすぎていて不気味だった。……もしや作者は未来人なのか?!
第34章「ありがた山とかたじけ茄子」での、“ふんどしの守”に書を以て抗わんと決意する蔦重とお抱え作家たちによる「屁! 屁! 屁! 屁!」の場面はあっさりと終わる。テレビドラマ視聴の記憶の再生・補完を兼ねて読んではいるが、少し寂しい。