【感想・ネタバレ】震災と鉄道のレビュー

あらすじ

「早々に当日復旧を断念したJR東日本の決断は正しかったのか?」
「日本全国の海沿いの路線は、内陸に付け替えるべきか?」
「地元住民にとって、バスはローカル線の代替になりうるのか?」
「災害対策にならないリニア建設で誰が恩恵を受けるのか?」…
シリーズ10万部突破の『鉄道ひとつばなし』(講談社)の著者が「震災」を語る。今、鉄道の視点から、現代日本を問う!

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Posted by ブクログ

JR東日本が東北地方の被災したローカル線より、収益だけを考えて新幹線復旧を優先したとしたら悲しい。国鉄時代の採算を度外視したかのような経営から分割民営化して赤字路線を切り捨てる経営にシフトした極端さは、実際に被災地でレールが外されたままの鉄道敷を目の当たりにして実感した。逆にJR貨物が日本海側を大きく迂回して被災地に燃料などを大量輸送したことに感動。鉄道ファンとして、鉄道には大量輸送が可能なことなどの物的な役割、沿線住民にとっての精神的役割を果たしてほしいと切に願う。

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2015年02月25日

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ネタバレ

震災をきっかけに、鉄道の目的は何なのかということについて論じている。著者は本来政治学者だが、趣味の鉄道に関する著作は多い。専門家とは違った視点で論じていて面白い。
鉄道とは、人々のコミュニケーションの場としての役割も果たしており、目的地へ移動するためだけの手段ではない、という考え方が新鮮で面白い。

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2013年04月11日

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「震災」と「鉄道」では,後者の方に重きがある内容です.ただ,鉄道事業の現状を通して,震災後の鉄道事業をどう復興するべきかを論じています.

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2012年11月07日

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昨年の震災時で、被害を受けた鉄道のその後の復旧を大企業「JR東日本」と中小企業「三陸鉄道」の視点から論じつつ、日本の鉄道神話の幻想を指摘した点は成るほどと感じました。

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2012年06月07日

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JR東日本批判本
著者の思い・思想によるところが大きい
ひとつの考え方ではある
整備新幹線、地方線

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2012年06月01日

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ネタバレ

 2011.3.11の東日本大震災による鉄道被害とその後の復興についての苛立ちを綴った、言わばJR東日本・JR東海への批判の本である。
 特に、震災前からJRは国鉄時代の地方の赤字を抱えたローカル線を次々と廃線し、または第三セクターに売却して国鉄時代の鉄道ネットワーク網から寸断させてきた。そして、地方在来線の運行本数を減らして地域の足を奪ったあげくに、新幹線を通して言わば「地点から地点へ移動するための手段」を通して、日本が特有に抱えてきた、鉄道が有する公共性・コミュニティ機能を次々と壊滅に至らしめたと、痛烈に批判する。その批判の手は現在計画が進められているリニア新幹線にも及ぶ。リニアだろうが新幹線だろうが、要は東京(名古屋)へ行くための利便性を高めるために過ぎず、新幹線が開通しても通過する駅には何ら恩恵を与えず、ストロー効果により余計に地方が疲弊していくと、その忸怩たる思いを赤裸々に綴る。
 そう、鉄道を使って地域を独占的にコントロールしてきた構図は、まさに東京電力と変わらないではないか、とその鉄道事業の社会的責務を東日本大震災が起こっても全然果たしていないと、氏は批判を重ねる。そして、鉄道が日本で果たしてきた公共性や余暇の機能を取り戻すことが、震災の復興だけでなく、今後の高齢化・少子化・人口減少社会の日本で欠かせないことであると、本書では強調されている。
 日頃、電車通勤で苦しんでいる身としては、JRの姿勢に疑問を呈することも少なくない(特に夜のラッシュ時での私鉄との運行本数の差)。やはり巨大な企業だから様々なニーズに対応しきれないのだろうか。

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2011年11月27日

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震災と鉄道は今年もっともホットな話題である。
インフラ、環境、経済、交通、電力、安全、インフラ、技術、文化、幸福に関する国家観が問われるテーマである。今、世界は信用を失う出来事で満ち溢れ、今までの安心・安定した世界が、壊れていっている。日本は未曾有の大災害で破壊尽くされた感があるが、その他の国家は自滅に近い形で、崩れつつある。国家さえも崩れ落ちれば、この世にはもう信用できるものがないのかもしれない。間近にいる人間さえ信用できない世の中で国家は自らを定義できるのだろうか。
鉄道が象徴的なのは、インターネットができるずっと前から、鉄道はネットワークを築くことが目的であったということだ。道路はもちろんそうなのだが、道は点と点をつなぎ線にする役割を果たす。それが網の目状に張り巡らされネットワークを築く。ここには、交流があり、信用がある。東日本大震災によって寸断された東北海岸の鉄道線をフォローするのは、新潟・山形・秋田の鉄道路線であり、道路である。ネットワークを築く意味はそういうところにある。経営だけの意味で路線を考えていては、保障された生活は守れない。震災という強力な分断の力に対抗できるのは、もう一度ネットワークを構築しなおすような信用の力しかない。今、日本に求められているのはその力であり、今世界が失いつつあるのはその力である。
また、著者の「リニア鉄道」に対する意見も今まで考えたことがなかったが一理はある。速度ばかりを追い求めるのではなく、ゆっくりと観光ができるような特別急行を作れというものだ。だが、それは、両立できると思う。世界最高最速の世界一安全な乗り物を作る気概がなく、豊かな生活は得られない。ゆっくり旅をする楽しみもまた豊かな生活であるかもしれないが、世界一という自負心を持てることはそれもまた豊かな生活である。
震災に負けない世界一すばらしい社会を作ろう。
鉄道建設にはその可能性があるといえる。

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2011年11月11日

Posted by ブクログ

 原さんは政治学者でてっちゃん。

 小生も、鉄道は好きで、世田谷線沿線にマンションを購入し、毎日ご機嫌で世田谷線に乗っている。

 原さんは、てっちゃんとして、今のJRの体質を厳しく批判している。

①東日本大震災の際のJR東日本の対応について、「帰宅難民」をできるだけ減らすためにも、JR東日本は私鉄各社と連絡をとりつつ、私鉄への影響が大きい山手線を優先して動かすべきでした。(p29)

 原さんによれば、東京大空襲や広島原発のときにも、国鉄は翌日から動き出したとのこと。それに比べて、JR東日本の対応はひどかった。

②ディーゼルの機能が向上してきたことを踏まえ、電車の電力消費によるCO2排出量とディーゼルのCO2排出量を比較し、エネルギー効率やコスト面、災害時のリスクなどを総合的に考慮して、両者をベストミックスで使い分ける。(p37)

 こういう発想は、コジェネなどをつかった面的エネルギー利用の発想と近いと思う。

③リニアについて地震時の代替手段となるという主張に対して、既存の路線に必要な対策を施せば、9兆円もかけて長大なトンネルを掘らなくても済みます。(p161)

 リニアについては、JR東海が自費で整備するのであまり目が行き届かないが、そんな国家プロジェクトを一つの会社ができるということは、東海道新幹線の料金が不当に高すぎるのではないか。

 そういう意味では、リニアの整備費用は新幹線利用者である国民の負担だとも考えられる。

 いずれにしても、てっちゃんにして政治学者の原さんの意見がとてもユニーク。

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2011年10月30日

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東日本大震災後の鉄道の復旧について、JRと民鉄の温度差や鉄道のもつ意義などの視点で論考していく、と思いきや、後半は高速化と単一化していく鉄道政策の批判になってしまった。それはそれで大切な論考だけれども、それは別の場所で論じてほしかった。

この本が出されたのは、震災の年。
三陸鉄道は全線で運転再開を果たした一方で、JRの路線は復旧に格差があり、この論考で恐れている人口の流出が見られている。
それだけに、その点に集中して掘り下げきらなかったのは残念。

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2018年09月28日

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20140410 災害と鉄道、どんな問題が有るのか分かりやすく解説されている。一部鉄オタな内容もあり距離を置いて読んだ方が良いかも。リニアの問題点についてもう少し解説してもらいたかった。

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2014年04月10日

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東日本大震災における各ローカル線とJR東日本の対応について、また今後の鉄道の役割についてまとめた本。全体的にJRに対して否定的なスタンスであるのは割り引く必要があるものの、鉄道を単にA地点からB地点まで乗客を輸送する手段と定義することなく、地域における多面的役割を担っているという言説は示唆に富む。

この本のなかに挙げられていた、盛岡~宮古~釜石を結ぶJR山田線のポテンシャルについては頷ける。イーハトーブの里として風光明媚な塩の道=宮古街道から三陸海岸に抜ける路線は、スローな展望列車などで巡るには非常に魅力的である。首都圏から盛岡駅までは2時間半でアクセスできるので、宮沢賢治や柳田国男の物語と併せて巡る旅を企画すればウケるように思う。

一方でJR東日本という巨大企業にとっては、ドル箱である首都圏の鉄道での収益力を強化していくことが事業者としての利益に適い、駅ナカビジネスを推進したり首都圏での私鉄各線との競争に勝つことが至上命題となっている。黒字企業のJR東日本は山田線のような赤字路線を復旧させるのにも自主財源で行なう必要があり、赤字路線を復活させるのは及び腰であるという。

地方都市の駅前商店街の衰退などという問題と、JR民営化は密接に関係している。民間事業者として赤字のローカル線の本数を減らしていかざるを得なくなり、実際に北海道ではかなりの鉄道が廃止されている。また、新幹線が各地へと延伸することで、並行して走る在来線は第3セクターとなって、日常的に利用する地元客にとって割高な切符を購入せざるを得ない状況となっている。

国土の均衡な発展を唱えて日本中の鉄道網を整備する計画をつくった1970年代から約40年、現実に整備が進められた結果、交通インフラでは大きな格差が生まれている。計画ありきでこのまま効率化を進めていってよいのか、東日本大震災という自然災害を契機に、再び考え直すべきタイミングに来ているのだと思う。

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2013年05月25日

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三陸鉄道だけじゃなく、本気で東北沿岸を青春18きっぷで行きたくなったけど、JR線がまだ復旧してないのよね…(´Д` )
作者の熱い思い入れを感じる本。
電化してないディーゼルも久しぶりにのってみたいなぁ。

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2012年03月03日

Posted by ブクログ

「震災と鉄道」というタイトルからもっと震災との関連を深めて書くのかと期待していたのですが、そこは期待はずれ。ただ、3.11時の関東圏でのJR東日本の動きなどについての記載はそれなりにあり「震災とJR東日本」的な面は若干ある一冊。

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2012年01月18日

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● しかも三陸鉄道は、運転を再開した2011年3月16日から3月31日まで、運賃を無料にしています。関東大震災の際、鉄道省がとったのと同じ措置をとったわけです。いや、国有鉄道ならまだしも、経営の苦しい第三セクターが採算を度外視してまで、地元住民の足となるために復旧を急いだことに、私は深い感銘を受けました。前述したようなJR東日本の態度とは実に対照的ではありませんか。

● 特急はもちろん、福岡近郊の通勤区間を走る電車にまで、窓が大きくて景色が見やすい座席を備えた車両を投入しているJR九州は、「自分たちの持っている路線から見える風景はすべて財産だ」と思っているのかもしれません。

● 日本の鉄道には、「移動を楽しむ」という発想が足りないと私は思います。モーレツサラリーマンの時代はとっくに終わったのに、新幹線優先のJR東海は、「移動中の時間はご退屈様でしょうが、いましばらくご辛抱を」と言わんばかりです。

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2012年01月06日

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最近お気に入りの原武史先生の新書本。
鉄道から色々なことに話がおよぶものなのですね。勉強になりました。

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2011年12月04日

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やはぶさもリニアも東京に近くなることだけがメリットで通り過ぎるだけの街が多過ぎる。街に鉄道が走ることは日常の安心を生み出し、車窓は観光資産という速さだけでない鉄道の一面を支持したいです。

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2011年12月01日

Posted by ブクログ

この国のかたちが復興を通して見えてきます。
鉄道に関して、イギリスの歴史学者のトニー・ジャットの『荒廃する世界のなかで』(みすず書房、2010年)でヨーロッパ大陸の大部分の国とイギリスやアメリカ型の政策の違いとして社会共有性と効率性の重視の違いがあることをあげていました。鉄道という公共性が失われ、自動車という個人主義へと向かうのでしょうか。

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2011年11月24日

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