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「早々に当日復旧を断念したJR東日本の決断は正しかったのか?」 「日本全国の海沿いの路線は、内陸に付け替えるべきか?」 「地元住民にとって、バスはローカル線の代替になりうるのか?」 「災害対策にならないリニア建設で誰が恩恵を受けるのか?」… シリーズ10万部突破の『鉄道ひとつばなし』(講談社)の著者が「震災」を語る。今、鉄道の視点から、現代日本を問う!
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Posted by ブクログ
JR東日本が東北地方の被災したローカル線より、収益だけを考えて新幹線復旧を優先したとしたら悲しい。国鉄時代の採算を度外視したかのような経営から分割民営化して赤字路線を切り捨てる経営にシフトした極端さは、実際に被災地でレールが外されたままの鉄道敷を目の当たりにして実感した。逆にJR貨物が日本海側を大き...続きを読むく迂回して被災地に燃料などを大量輸送したことに感動。鉄道ファンとして、鉄道には大量輸送が可能なことなどの物的な役割、沿線住民にとっての精神的役割を果たしてほしいと切に願う。
「震災」と「鉄道」では,後者の方に重きがある内容です.ただ,鉄道事業の現状を通して,震災後の鉄道事業をどう復興するべきかを論じています.
昨年の震災時で、被害を受けた鉄道のその後の復旧を大企業「JR東日本」と中小企業「三陸鉄道」の視点から論じつつ、日本の鉄道神話の幻想を指摘した点は成るほどと感じました。
JR東日本批判本 著者の思い・思想によるところが大きい ひとつの考え方ではある 整備新幹線、地方線
震災と鉄道は今年もっともホットな話題である。 インフラ、環境、経済、交通、電力、安全、インフラ、技術、文化、幸福に関する国家観が問われるテーマである。今、世界は信用を失う出来事で満ち溢れ、今までの安心・安定した世界が、壊れていっている。日本は未曾有の大災害で破壊尽くされた感があるが、その他の国家は自...続きを読む滅に近い形で、崩れつつある。国家さえも崩れ落ちれば、この世にはもう信用できるものがないのかもしれない。間近にいる人間さえ信用できない世の中で国家は自らを定義できるのだろうか。 鉄道が象徴的なのは、インターネットができるずっと前から、鉄道はネットワークを築くことが目的であったということだ。道路はもちろんそうなのだが、道は点と点をつなぎ線にする役割を果たす。それが網の目状に張り巡らされネットワークを築く。ここには、交流があり、信用がある。東日本大震災によって寸断された東北海岸の鉄道線をフォローするのは、新潟・山形・秋田の鉄道路線であり、道路である。ネットワークを築く意味はそういうところにある。経営だけの意味で路線を考えていては、保障された生活は守れない。震災という強力な分断の力に対抗できるのは、もう一度ネットワークを構築しなおすような信用の力しかない。今、日本に求められているのはその力であり、今世界が失いつつあるのはその力である。 また、著者の「リニア鉄道」に対する意見も今まで考えたことがなかったが一理はある。速度ばかりを追い求めるのではなく、ゆっくりと観光ができるような特別急行を作れというものだ。だが、それは、両立できると思う。世界最高最速の世界一安全な乗り物を作る気概がなく、豊かな生活は得られない。ゆっくり旅をする楽しみもまた豊かな生活であるかもしれないが、世界一という自負心を持てることはそれもまた豊かな生活である。 震災に負けない世界一すばらしい社会を作ろう。 鉄道建設にはその可能性があるといえる。
原さんは政治学者でてっちゃん。 小生も、鉄道は好きで、世田谷線沿線にマンションを購入し、毎日ご機嫌で世田谷線に乗っている。 原さんは、てっちゃんとして、今のJRの体質を厳しく批判している。 ①東日本大震災の際のJR東日本の対応について、「帰宅難民」をできるだけ減らすためにも、JR東...続きを読む日本は私鉄各社と連絡をとりつつ、私鉄への影響が大きい山手線を優先して動かすべきでした。(p29) 原さんによれば、東京大空襲や広島原発のときにも、国鉄は翌日から動き出したとのこと。それに比べて、JR東日本の対応はひどかった。 ②ディーゼルの機能が向上してきたことを踏まえ、電車の電力消費によるCO2排出量とディーゼルのCO2排出量を比較し、エネルギー効率やコスト面、災害時のリスクなどを総合的に考慮して、両者をベストミックスで使い分ける。(p37) こういう発想は、コジェネなどをつかった面的エネルギー利用の発想と近いと思う。 ③リニアについて地震時の代替手段となるという主張に対して、既存の路線に必要な対策を施せば、9兆円もかけて長大なトンネルを掘らなくても済みます。(p161) リニアについては、JR東海が自費で整備するのであまり目が行き届かないが、そんな国家プロジェクトを一つの会社ができるということは、東海道新幹線の料金が不当に高すぎるのではないか。 そういう意味では、リニアの整備費用は新幹線利用者である国民の負担だとも考えられる。 いずれにしても、てっちゃんにして政治学者の原さんの意見がとてもユニーク。
東日本大震災後の鉄道の復旧について、JRと民鉄の温度差や鉄道のもつ意義などの視点で論考していく、と思いきや、後半は高速化と単一化していく鉄道政策の批判になってしまった。それはそれで大切な論考だけれども、それは別の場所で論じてほしかった。 この本が出されたのは、震災の年。 三陸鉄道は全線で運転再開を...続きを読む果たした一方で、JRの路線は復旧に格差があり、この論考で恐れている人口の流出が見られている。 それだけに、その点に集中して掘り下げきらなかったのは残念。
20140410 災害と鉄道、どんな問題が有るのか分かりやすく解説されている。一部鉄オタな内容もあり距離を置いて読んだ方が良いかも。リニアの問題点についてもう少し解説してもらいたかった。
東日本大震災における各ローカル線とJR東日本の対応について、また今後の鉄道の役割についてまとめた本。全体的にJRに対して否定的なスタンスであるのは割り引く必要があるものの、鉄道を単にA地点からB地点まで乗客を輸送する手段と定義することなく、地域における多面的役割を担っているという言説は示唆に富む。 ...続きを読む この本のなかに挙げられていた、盛岡~宮古~釜石を結ぶJR山田線のポテンシャルについては頷ける。イーハトーブの里として風光明媚な塩の道=宮古街道から三陸海岸に抜ける路線は、スローな展望列車などで巡るには非常に魅力的である。首都圏から盛岡駅までは2時間半でアクセスできるので、宮沢賢治や柳田国男の物語と併せて巡る旅を企画すればウケるように思う。 一方でJR東日本という巨大企業にとっては、ドル箱である首都圏の鉄道での収益力を強化していくことが事業者としての利益に適い、駅ナカビジネスを推進したり首都圏での私鉄各線との競争に勝つことが至上命題となっている。黒字企業のJR東日本は山田線のような赤字路線を復旧させるのにも自主財源で行なう必要があり、赤字路線を復活させるのは及び腰であるという。 地方都市の駅前商店街の衰退などという問題と、JR民営化は密接に関係している。民間事業者として赤字のローカル線の本数を減らしていかざるを得なくなり、実際に北海道ではかなりの鉄道が廃止されている。また、新幹線が各地へと延伸することで、並行して走る在来線は第3セクターとなって、日常的に利用する地元客にとって割高な切符を購入せざるを得ない状況となっている。 国土の均衡な発展を唱えて日本中の鉄道網を整備する計画をつくった1970年代から約40年、現実に整備が進められた結果、交通インフラでは大きな格差が生まれている。計画ありきでこのまま効率化を進めていってよいのか、東日本大震災という自然災害を契機に、再び考え直すべきタイミングに来ているのだと思う。
三陸鉄道だけじゃなく、本気で東北沿岸を青春18きっぷで行きたくなったけど、JR線がまだ復旧してないのよね…(´Д` ) 作者の熱い思い入れを感じる本。 電化してないディーゼルも久しぶりにのってみたいなぁ。
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震災と鉄道
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原武史
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