あらすじ
編み物は,フェミニズムや社会運動を支えるツールでもあった.フランス革命時のトリコテウス,アメリカ革命時のスピニング・ビーズ,大戦時のニッティング・スパイ,トランプ政権時のプッシーハット・プロジェクト…….個人と政治,愛と経済を結びつけ,社会を幾度となく編み直してきたパワーの歴史をたどるエッセイ.
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Posted by ブクログ
編み物が抵抗のツールとして多くの場で使われてきたということにとても驚いたけど、実際に自分もプロテストグッズを編んでみたりしていくと、確かにこの行為は抵抗であり、ケアであると実感する。
編み物をやらない人には読みづらい部分があるかもしれない。でも「抵抗の社会史」としてぜひ読んでみてほしい1冊。
Posted by ブクログ
編み物の持つ力。私の名前は「編子」という。名前負けしてはいけないと思い、小学校高学年ぐらいから編み物を始めた。主にかぎ針編みが得意。棒針も時々やるが凝ったものは編まない。単なる趣味の域を出ないものだと思っていたが、編み物にこんな歴史があったとは。内容は主に欧米の近現代史にスポットがあたっている。
縄文時代の縄模様。そしてどうやらそれぐらいのむかしから「あんぎん・編衣」というものがあったらしい。機織り以前のことだ。道具は編み針のみ、そして糸があれば編める。民衆の手仕事の象徴となるのはわかる気がする。さて、これからは編むための糸の自給についても考えていかねばならないのではと、読み終えてぼんやりと思った。
Posted by ブクログ
すごく好きな本になった
編み物と、男女を問わず編みながら小さな世界をいつの時代も変えているという事実や、戦時下、産業革命中の革命の武器にもなりつつある希望などを知り、編み物がしたくなる。
好きなフレーズは、
優れた編み手は大きな間違いを治すために自分がした作業をほどく勇気をもっている というフレーズ。
これは日々の生活においても通ずるものがあると思っている。過ぎたものも間違えと思えば引き返し、やり直す力、間違いを認めてやり直す力は本当になかなか身につかないし、それでも大切なこと。またこの本を読みたいと思った
Posted by ブクログ
ウール・イズ・クール
編み物、ヘヴィメタル、カンフーは密接な関係らしい
「優れた編み手は、大きな間違いを直すために自分がした作業をほどく勇気を持っている。糸と針が手の中にあり、後戻りしたり、やり直す勇気が心にありさえすれば、何だって直すことができると知っている。」(p.8)
「糸は絶対に切らない、ほどく時には、一本ずつ解放することを目指しなさい。結び目があまりに硬く、糸が細すぎて切れ始めている例外的な状況の時だけ、切ってもよい。けれど、一本だけではなくて何本か切らなければならない。」(p.93)
Posted by ブクログ
マフラーを編みながら、針休めの合間に読みました。
こんなにも編み物が歴史と寄り添い、結びついていたとは。編み物をする私にはとても読みやすい文章でした。
編み物が趣味ということに誇りをもてた気がします。
<好きな一文を書き留めておきます>
まず編み物というものが、時として孤立した個人の趣味である以上に、より大きな善のために人々を結びつける動機力なのだ
今の編み物ブームもなにかの前向きな働きなのかと未来に期待したい。
Posted by ブクログ
編み物について知らないことがたくさんあった。
特に、ヨーロッパで戦時中に戦地の家族などに靴下などのニットを女性たちが編んでいたことや、ニットスパイの存在など編み物にそんな過去があったのかと驚いた。
戦地にいる家族や恋人にニットを編むのはどんな気持ちだったのか、平和な現代日本において趣味として編み物を編んでいる私からしたらそれは想像もできない。
それから、編み物を編みながらその編み地を暗号に使ってスパイ活動をした当時のニッターはどんな気持ちで編んでいたのだろうかと思う。命を懸けて編み物をするなんて言うのも想像すらできない。
他にも、数学的方程式を視覚化するためにかぎ針編みで模型を編んだりと、私が想像する編み物からはかけ離れたところでも、編み物の可能性があるのだと知った。
社会問題に対する抗議としての編み物もある。
私自身それには賛同しかねるが、それも編み物の一つの可能性であることは否めない。
また、よく知られているように編み物にはヒーリングの効果もある。
編み物の色々な歴史や可能性を知ることができた。
翻訳がいまいちで読みにくかったのが唯一の難点だ。
巻末に面白そうな編み図がいくつか載っているので、編んでみようと思う。
Posted by ブクログ
内容は硬いけど興味あることだし平和的な社会活動として賛同できる。でも若干日本語がわかりにくいというか、翻訳が言語に忠実すぎるのか、ちょっと読み進めにくかった
Posted by ブクログ
編み物の歴史なんて考えたことがなかったから、知らないことがたくさんあった。トリコテウスや、諜報活動のために暗号を編み込んだことなども。
編み物が素晴らしいヒーリング効果を持っていること、よくわかる気がする。網目を数える自信がないのだけれど、やっぱりやってみようかな。
Posted by ブクログ
編み物という中毒性のある作業にはまった事のある人は多いと思う。パリオリンピックで、プールサイドで編み物をする男性スイマーが話題になった。彼は、編み物をする事で無心になり、オリンピックという大舞台に備えていた。
長らく編み物は女性の作業と捉えられてきた。編むことを力に変え、世界をも変えていった事を、イタリア人の著者が自身の体験とともに書く。
面白い視点だった。訳者あとがきも、面白かった。そして、最後に本文中に出てきた編み物作品のパターンもあるのだが、それが編み図ではなく文章だけで書かれていることが衝撃的だった。