【感想・ネタバレ】銀河鉄道の夜のレビュー

あらすじ

――永久の未完成これ完成である――。自らの言葉を体現するかのように、賢治の死の直前まで変化発展し続けた、最大にして最高の傑作「銀河鉄道の夜」。そして、いのちを持つものすべての胸に響く名作「よだかの星」のほか、「ひかりの素足」「双子の星」「貝の火」などの代表作を収める。(C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved

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Posted by ブクログ

ネタバレ

まだ自分には早いのかも知らない。あるいは、遅いのかもしれない。そういう気分になる、不思議な小説であった。

ひかりの素足と銀河鉄道の夜が印象であった。主人公と近い存在であり、同じ体験をするのにも関わらず、弟の楢夫と友人のカムパネルラは恐らく死に、主人公たちは生き残る。

なんとも不条理であり、やりきれない感触が残る。美しく幻想的な表現が散りばめられているが、語られていることはかなり厳しく哀しい。

巻末の河合隼雄の解説によると、著者は露骨な因果応報を書かないように注意していたという。いわゆる説法や講話に陥るのを嫌ったようだ。人智の及ばない自然の摂理と、それを体験した人間の諦観や尊厳を描こうとしたのだろうか。

『こうすればうまく行く』『幸せになるためには』といった浅薄な言説が多く蔓延る中で、自然の不条理に直面した者たちの体験をただ描くこの短編集は、逆説的に、我々を正しく導く内容を最も多く持っていると感じた。

極めて抽象的な表現が続くことからも分かる通り、この作品の感想はうまく言語化できない。ただ、何か大切なものが描かれているように感じる。まだ人生経験が足りないのか、あるいは、タイミングを逸したのか。前者を信じて、宮沢賢治の心の中を少しずつ探っていきたい。

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昔の人だからか、星の話や神などの信仰という表現が多い気がする。

個人的に好きだったのはひかりの素足

銀河鉄道の夜は予知夢だったのかな?

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2025年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』。装丁の好きな角川文庫版です。8編の短編からなります。

「おきなぐさ」
蟻にうずのしゅげ(おきなぐさ)について、尋ねると、蟻は光を通した花を「赤い」と言います。語り手は、春の七ツ森の野原で二輪のうずのしゅげを見つけます。
二輪の花は風や雲の動きを見て「きれいだねえ」と語り合う。そこに空からひばりが降りてきて、上空の風が強く飛べないことを話す。花たちは「一度でいいから風に乗って飛びたい」と言い、ひばりは「そのうち飛ばなくてはならなくなる」と言い残して飛び立つ。
やがて季節が進み、花はふさふさの銀色の綿毛に変わる。再びひばりが訪れ、「もう飛ぶ時だ」と話しかける。花たちは「もう僕たちの仕事は済んだ」と穏やかに応じる。
風が吹き、綿毛は空へ舞い上がり、花の魂は空に昇って星になる。ひばりはその別れを歌いながら空高く飛んでいく。

「双子の星」
天の川の西の岸に、仲のよい二人の星の子ども、チュンセ童子とポウセ童子が住んでいる。二人は、夜になると空の宮から出て、星めぐりの歌に合わせて銀の笛を吹く役目を果たしていた。
ある朝、二人はお宮を離れ、泉のある野原へ出かける。そこで大烏の星と蠍の星が喧嘩しているのを見つける。蠍の毒で倒れた大烏を、チュンセ童子が毒を吸い出して助け、蠍も頭を大烏に割られ瀕死であったため、二人はそれぞれの家まで送り届ける。お宮に戻る時間が迫り、困っていると、稲妻が王様の命で二人を迎えに来てくれ、無事に戻る。

別の晩、彗星(ほうきぼし)が現れ、王様に呼ばれていると嘘をついて二人をその尾に乗せて連れ去る。彗星が勢いよく飛ぶ中、二人は振り落とされ、海の底へと落ちてしまう。二人は「ひとで」と海底の生き物にからかわれ、鯨に飲み込まれそうになる。そこに海蛇が現れ、二人を助けてくれる。海蛇の王様は二人の話を聞き、竜巻を起こして二人を天へ帰す。二人は元の姿に戻り、お宮に戻って、再び銀の笛を吹きながら星めぐりの歌を奏でるようになる。彗星は罰として海に落ち、なまこになったという。

「貝の火」
うさぎの子・ホモイはある日、川で流されていたひばりの雛を助けます。お礼にひばりの親から「鳥の王さまからの贈り物」である宝珠「貝の火」を授かります。父によれば、この宝珠を一生持ち続けた例はごく僅かで、心を乱さず扱わねばならないと注意されます。貝の火を手に入れたホモイは周囲の動物たちから敬意を集め、次第に増長していきます。リスに命じて食べ物を集めさせたり、狐を家来のように扱い始めますが、父は息子を諌めます。しかし、仕えていた狐にそそのかされ、小さな動物(むぐら)をいじめたり、狐が盗んだパンを受け取ったりしてしまいます 。やがてホモイが罪に気付き、小鳥たちを助けに行きます。父とともに狐と対峙し、箱の罠から小鳥たちを解放することに成功します。
しかし、その直後、貝の火は白く濁り、やがて砕け散り、破片がホモイの目に刺さって失明してしまいます。最後に、父は息子を慰め、「目は治る」と約束して物語は終わります

「四又(よまた)の百合」
ある王国に、聖人「正遍知」を迎える準備が町や王宮で進められる。王は百合の花を捧げようとし、大臣に百合を探しに行かせる。大臣は森で裸足の子どもが持つ十の花をつけた真っ白な百合を見つけ、値段交渉の末に紅宝玉と引き換えにその百合を譲り受ける。子どもは「正遍知に贈るつもりだった」と述べ、子供は宝石をうけとらない。百合は王に献上される。正遍知はやがて街を訪れる。
2億年前にもあったお話。

「ひかりの素足」
木炭を焼く父のもとから家へ戻る途中、兄・一郎と弟・楢夫は突然の吹雪に遭い、遭難してしまう。やがて鬼に追われ瑪瑙の野原を彷徨う子どもたちの行進に加わるが、一郎は弟を守って献身する。すると「にょらいじゅりょうぼん第十六」という声とともに白く輝く素足の人が現れ、子どもたちを安全な光の国へと導く。そこで一郎はその人に「本当の道を学びなさい」と言われ、現世に戻される。目を覚ますと弟は雪の中で息を引き取っており、一郎は助けに来た人に助けられる。


「十力の金剛石」
霧深い朝、ある王子と大臣の子が「虹の袂にあるルビーの絵具皿」を探して森へ出かける。虹を追って森に分け入り、蜂雀(はちすずめ)に導かれて丘に出ると、空からあられのようにダイヤモンドやサファイアなどの宝石が降り注ぎ、地上の植物も宝石でできている幻想的な光景に出会う。植物たちはそれでも悲しげに歌い、「十力の金剛石」がまだ来ないと嘆いていた。するとついに十力の金剛石が降り注ぎ、露のような光が草木や人々に満ちてすべてが生き生きと変わる。家来たちが迎えにに来る。

「銀河鉄道の夜」
ジョバンニは、病気の母と二人で暮らす貧しい少年。父は漁師として海に出たまま戻らず、学校ではクラスメイトにからかわれて孤独を深めています。唯一の気の置けない友人は、カムパネルラだけでした。
ある星祭りの夜、ジョバンニは仕事を終えて牛乳を取りに行きますが、牛乳が届いておらず落胆。帰り道、ザネリらにからかわれたことに耐えられず、黒い丘の方に逃げ込みます。
丘に登った彼は、ふと「銀河ステーション、銀河ステーション」という声を聞き、不思議な光に包まれた後、気づくと銀河鉄道に乗っていました。隣には、濡れた黒上着を着たカムパネルラがいて、二人は再会します。
列車は白鳥の停車場や南十字星、プリオシン海岸などを通り、ジョバンニとカムパネルラは、大学士・鳥捕り・沈没船から助けられた姉弟とその青年など、様々な乗客と出会います。それぞれの人生や死、生き方について語り合います。
旅の序盤からジョバンニは「みんなの本当の幸せとは何か」を考え始め、カムパネルラは「君が本当の幸せを願えば僕はどこまでも一緒に行くよ」と語ります。
やがて目的地に近づいたのか、窓の外の世界でカムパネルラは列車を降りてしまいます。ジョバンニは声をかけようとするも消えてしまい、一人になるのを感じます。目が覚めると丘の上。
ジョバンニは現実世界に戻り、町に戻ると川で友だちを助けようとしたカムパネルラが溺れて死んだことを知ります。悲しみに暮れながら、ジョバンニは母に牛乳を持ち帰るため、父が帰ってくることを知らせるため、街に走り戻ります。

銀河鉄道の夜は、何度読んでも美しい作品です。銀河を列車が走るという夢のような舞台設定と、星や光の描写の美しさ。親友カンパネルラの死や別れ。「他者のために生きること」。
そして文章全体がとても優しい。
疲れた時に読みたくなります。

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2025年08月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『注文の多い料理店』は少し読みにくい感じを受けたけどこちらは読みやすかった(笑)全体的に流れる雰囲気が良い感じですね(笑)

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2025年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宮沢賢治の作品が収録された本。
宮沢賢治は本当に天が、星が好きなのだなと思った。この本に収録されている話の中で特に私は「よだかの星」が好きだ。美しいと思ったから。すごく美しかった。

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2024年12月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ジョバンニが列車に乗れたのは
やはり臨死体験だったのかとか
車内でカンパネルラがジョバンニと会って心を通わせてなければ(カンパネルラがザネリを助けなければカンパネルラも乗ってないだろう)
ジョバンニも考え方が変わらなかっただろうし
最後の駅まで乗り続けたんじゃないだろうかと思った
カンパネルラは二つの世界で人を助けたんじゃないかなとと思った。
「なにがしあわせかわからないです。ほんとうにどんなつらいことでも〜」のくだりは蓋し名言。

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2024年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どこまでも。どこまでも。
幸せとは、
誰か他人の幸せのために身を呈すことなのか、
ただ自分の大切な人と一緒に過ごすことなのか。
不思議な世界観を旅してたどり着いた先に
ジョバンニが見つけたもの。
誰かのために生きる、死ぬ。
大切な人には伝えられる時に、届けられる時に。
悔いのないように。
現代人の私には読みづらいにもほどがあり_(┐「ε:)_
世界観はなんとなく、好きでしたけど。

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2024年07月20日

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