あらすじ
弁護士の永遠子は33歳。結婚3年目の夫と問題のない関係性を保ちながら、18歳年上の実の叔父・遼一としばしば逢瀬を重ねている。しかし信じていた夫が浮気相手を妊娠させ離婚し、その後、惰性で付き合った若い恋人とも別れてしまう。子供の頃から抱く自らの叔父への歪な欲望に向き合った永遠子が気付いた唯一無二の愛とは。
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Posted by ブクログ
18歳離れた叔父と姪の、禁断だけれど穏やかで優しい恋愛小説。
いつでも厄介事から逃げられるように努力して手に職をつけたのに、結局は自分で立ち向かっていくよりも誰かに守られることを選んでしまうところや、自分は強い強いと言ってはいるものの、常に一番の味方でいてくれる人間を求めている主人公が、人間らしくてとても好きだった(表面上?の強さはあるけど、本当に内々の部分は島本さんの描く主人公!っていう感じがした)
島本理生さんの作品は、大体父親不在で母親の精神が安定していないものが多い。
小さい頃から両親の愛情をまともに貰えずに育った女の子が、自分を愛してくれる(受け入れてくれる)一人の歳上の男に恋や執着をして、溺れていくものがほとんどな気がする。
今回は片親ではなかったけれど、両親が自分の味方でいてくれずに、幼い頃から適切な愛を貰えていなかったという設定は他の作品と共通していたように思う。
家庭環境の悪さがかなり歳上の男の人への依存に繋がるのは自分と同じだから本当に共感ができるし、叔父さんに対する愛情と執着は、両親に対する失望と比例しているという一文も、自分の腑に落ちるものだった。
島本さんの表現はいつも好き。
ただ、叔父を好きになるというのはどうしても理解ができず…。白髪混じりの短髪という外的表現が、より一層その気持ちを加速させた。
理解ができない愛の対象を描くという観点で見ると、叔父という存在を当てはめてたのは絶妙に気持ち悪くてすごく良かった。
小3で初恋、ということは26~27の叔父さんに恋をしたってことか…。まあありえなくはない…?
"この人の肉体から愛から関心まで全てが欲しい、そばにいたいと願った"という表現は小3にしては考えが大人びていすぎて少し不自然かも?と思ったし、対象が叔父なのはやっぱり理解できないけど、18歳離れた大人に恋い焦がれる気持ちは理解ができるから、単純に気持ち悪い恋愛で済ませられない自分もいる。
そして島本さんは、一見いい人風に見せかけて絶妙に違和感がある人間を描くのがとても上手だな~と感動する。
永遠子を尊重しているような素振りを見せつつ、最終的には自分の事しか考えてないような発言や、永遠子の友達を下品だと括り、それを言葉にしてしまう夫の無神経さと稚拙さ。
永遠子は、生理的に不快ではなく、家事負担など男女差なく分担できて言葉で分かり会える男性に出会えたから結婚するならこの人だと思ったと言っているけど、自分の喜びや楽しみを共有できない相手とよく結婚したな?!って私は思ってしまった。
新しい服に対する感想が「似合うよ。永遠子ってそういう、どこへ着て行っても恥ずかしくないものを選ぶのが上手だから。」なのも、本当に嫌すぎる。それ、褒めてないでしょ。
絶妙に、…ん?と違和感を覚えるような言い回しと行動で、それがあまりにもリアルに描かれていたので、めちゃくちゃ夫のこと嫌いになってしまった。
だからこそ、永遠子が叔父とくっついたのが嬉しかったし、世間からどう思われようと幸せになってほしいと思ってしまった。
やっぱり恋愛は表面的な繋がりではなく、心の繋がりが大事だよね。
島本先生がこういう形のハッピーエンドを描いたことに驚きつつも、先生が終わらない美しさを描いたということは、島本先生の今の幸せが体現されているようなものなのかなと、勝手に嬉しくなる私。
先生のここ数年の作品で一番好きだったな。
いろんな形の幸せがあることを知れた小説。
この先もずっと大切にしたい。
Posted by ブクログ
天使は見えないから描かないという言葉は、見えないものはわからないものは描かないという言葉なのか。
島本理生さんの小説はナラタージュからはじまり、イノセント、Redを読んできた。
今回もナラタージュやRed同様、心の中にずっと好きな人がいるーそんな女性が主人公。その相手は叔父で。不道徳や不快と思う人も多いと思うし、実際小説の中にもそういった人物はたくさん出てくる。わたしも、友人から打ち明けられたらすぐには肯定できないと思う。いや、きっと相手は肯定してほしいというより知っておいてほしいだけかもしれない。そんなささやかな願いさえも世間や社会は許してくれないから。
島本さんの小説はこういった世間や社会からはないものとされる、たとえばナラタージュだと高校生の時の片思いなんて自然と忘れたり上書きされるのが当然だと思われるけどそうはできていない、心の葛藤が描かれている。完全悪ではないのにどこか背徳的な心を丁寧に描かれている。
文中に出てくる言葉も私には響いた。
「むしろ奪い続けて欲しいのよ
私の1人で背負い込めばいいと思っている傲慢さも、視野の狭い強さも
ーさんだけに見せられる弱さが私にとっては泣きたいほど大事で、だから私は対等なんてそもそも望んでいないし、ーさんだけのやり方で信じ続けてほしい
なにを?
私が、ーさんを死ぬまで好きだって」
何かで「ありのままの自分でいられる時間が長いほど幸福だと感じる」って聞いたことがあるけど、ありのままの自分だと思っている自分を見せられる・さらけだせる相手って感情がプラスにもちろん動くよね・・
Posted by ブクログ
法律的に許されないし、共感もできない設定だけど、年の差カップルは実際にいるし、
自立している女性が、
「だからせめて恋人だけは私を常識の外側で一番にしてほしいんだよ」
と望む気持ちは分かるし、遼一が包容力があるっていうのは本当だし、それが魅力的に書かれていて、2人が幸せに生きていってくれたらいいなぁという気持ちです。
Posted by ブクログ
一気読み。
叔父と姪の恋愛はまったく想像がつかないけど、本人たちの迷いや戸惑いはうまく伝わってきて、永遠子は思い浮かばないけど、遼一はトヨエツかな、と思ったりした。
親も(まあここの親は酷い親だけど)捨てて、世間がどう言おうと一緒にいたいとお互いに思えればそれはそれで幸せだし、何もいらない、となるのかもしれない。そしてラストだよね。この小説の肝は。ここで泣かされるとは思わなかった。
萌にわかってもらえたらじゅうぶんなんだよね永遠子は。
ハッピーエンドなんていう章にしちゃってるからなんだよ、と思ったけどたしかに。ハッピーエンドでした。