【感想・ネタバレ】キーエンス流 性弱説経営のレビュー

あらすじ

超高収益企業キーエンスを貫く1つの根本的な考え方「性弱説」をあらゆる側面から解説―――。

今まで誰も真正面から取り上げてこなかったキーワードを、日々現場で忙しく働く若手から、たくさんの部下を束ねる管理職から経営者までのすべてのビジネスパーソンに向けて、キーエンス出身の著者がとことん掘り下げて伝えます。

本書は、性弱説の考え方と、キーエンスが採用する具体的な制度の成り立ち・役割を学びながら、自身の日々の働き方を改革する仕事術の本です。同時に、部下のやる気を引き出し、組織全体の成果・効率を高めるマネジメント・組織論の本でもあります。

著者はキーエンスの中枢である新商品・新規事業企画担当を長年に渡って任されてきた高杉康成氏。キーエンスを退職後、中小企業から大企業まで多くの会社を指導する中でずっと感じてきたモヤモヤは「キーエンスと他社の違いは何か」というものでした。

その答えが、「日々の活動が性弱説に基づいているのかどうか」。キーエンスの制度を細部まで解説し、一般的な会社とどう異なるのか、どういう視点を持てば変えていけるのかを丁寧に伝えます。

「キーエンスと同じ水準でできるわけがない」と躊躇する必要はありません。一部の分野だけでも、キーエンスの半分程度の密度で働けるものを持てれば、その人はその時点で、一般的な会社において間違いなく優秀な社員になっています。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

 性弱説、というタイトルからなんとなく、「気弱な人でも勤まる仕事論」のようなものを想像していたが内容は全く違った。
 経営は往々にして性善説に立つ。「ルールを作れば社員は守る『だろう』」「評価制度をクリアにすれば目標達成を目指し全力で頑張ってくれる『だろう』」。しかし、実際は、手抜きや虚偽報告が横行する。
 それをそうさせない仕組みをがちがちに決めていく、というのが性弱説経営。性善説に立たない、というところで性悪説なのでは…とも思うがまるっきりの性悪説にも立たない、ということなのだろう。
 手抜きができない仕組みを張りめぐらせ、評価基準は、目標収益の達成、収益の絶対額、前年からの伸び率、で見る。
 性弱説とは別の話だが、顧客の声からノイズを取り除き、本当のニーズを掘り起こせるというのがキーエンスの強み。この本ではその一部が語られるのみだが、その集合知ともいえるノウハウが当社の宝となっている。

0
2025年05月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

キーエンスのニーズシート1,000枚、単純な要望そのままではなく真の必要性があるニーズをかかせること。
そこから逆算して利益率80%以上が見込めないと商品化しないこと。
性弱説から、事前報告で期待値をすり合わせることに力点を置いて、事後にダメ出ししないこと。
といった内容がよくわかった。

0
2025年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1. 「性弱説」とは

・人の弱さを前提とする考え方: 「性善説」(人は正しく指示すればできる)でも「性悪説」(人は罰しないと手を抜く)でもなく、「人は弱い生き物である」という前提に立つ。

・「弱い」の定義: ここでいう「弱い」とは、道徳的な善悪ではなく、「困難なことや新しいことには積極的になれない」「つい目先の楽な方、簡単な方を選んでしまいがち」という人間の本質的な傾向を指す。

・「できるだろう」の否定: 多くの企業が性善説で「できるだろう」と楽観視するのに対し、キーエンスは「できないかもしれない」という性弱説の視点から、誰もが成果を出せる仕組みを徹底的に作り込む。

・個人ではなく仕組みで成果を追求: 属人的な能力や根性に頼らず、人の弱さをカバーし、誰もが同じレベルで成果を出せる再現性の高い仕組みを構築する。

2. 人材育成とマネジメント

・事後指導ではなく事前フォローの徹底: 失敗してから「なぜできなかった」と叱責するのではなく、「できないかもしれない」を前提に、事前に弱点行動を修正し、成功の確率を高める仕組みを導入する(例:ロールプレイングの徹底)。

・プロセス重視とKPIマネジメント: 結果だけでなく、目標達成に至るプロセス(KPI)を詳細に設定し、日々チェックする。上司はKPIを基に行動の改善を促し、小さな成功体験を積み重ねさせることで部下の成長を促す。

・「努力不足」で終わらせない: 失敗や未達の原因を「努力不足」で片付けず、仕組みやプロセスの中に問題がないかを深掘りし、科学的に改善していく。

・公平性の確保: 評価や報酬において、頑張っている人が報われる公平な仕組みを徹底し、全体のモチベーションとパフォーマンスの底上げを図る。

3. 営業戦略と顧客ニーズの深掘り

・真のニーズの探求: 顧客の言うことが常に正しいとは限らない、という性弱説的な視点を持つ。顧客自身が気づいていない、**潜在的な「大きな困りごと」**を見つけ出すことに注力する。

・「今、どうやっているか?」を問う: 顧客の真のニーズを構造化するために、「誰が」「今どのようにして」「何が問題で」「どれくらい困っているか」の4要素を明確にする。特に「今、どのようにして」という現状把握を重視する。

・情報収集の仕組み化(ニーズカード): 顧客のニーズを組織的に収集・共有するため、「ニーズカード」制度を導入。提出しないと評価が下がるペナルティと、良質なニーズには賞金を与えるインセンティブにより、情報収集を徹底的に行う。

・高付加価値製品の提供: 顧客の**「大きな困りごと」を解決する製品**は、他社には真似できないため、高価格であっても顧客に選ばれ、高収益につながる。

4. 仕組みを機能させるための仕組み

・楽な方への逃避を防ぐ: 人は楽な方へ流れがちであるため、せっかく作った仕組み自体が形骸化しないための、監視やチェックの仕組みを同時に用意する(例:一分単位の日報、上司による顧客への提案満足度確認の電話)。

・数値化の徹底: 目標、行動、成果のすべてを**数値化(KPI化)**することで、曖昧さを排除し、誰もが同じ基準で仕事に取り組めるようにする。

・徹底した事前準備: 「できるかもしれない」ではなく「できないかもしれない」を前提に、あらゆる業務で事前準備の徹底を仕組みとして義務付ける。

0
2025年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人は本来弱い生き物なので、難しいことや新しいことを積極的には取り入れたがらず、目先の簡単な方法を選んでしまいがち。思いどおりに動かないと考える。じゃあどう動かそうかと考える。

キーエンスにはニーズカードという仕組みがあり
顧客が気づいている顕在ニーズよりも、顧客が気づいていない潜在ニーズを探る必要がある。ただ集めるだけではなく、集めることに褒賞を出すなどして仕組みを整える。その中から使えるものはわずかしかない。

『事前事後報告』を徹底する。

書いてることはそれほど難しいことではないが、それを実践するとなると容易ではない。
コスパ悪いことをしてるんだけど、最終的にはコスパよくなるという何だか一歩引いたところから俯瞰して物事を考えるようなものが性弱説。

0
2025年05月11日

「ビジネス・経済」ランキング