【感想・ネタバレ】暗号の子のレビュー

あらすじ

わたしたちは、いつまで人間でいられるのか?
新しい暗号通貨、分断のないSNS、超小型人工衛星……

宮内悠介が迫る、8つのテクノロジーの新時代!

★掲載作品
「暗号の子」
「偽の過去、偽の未来」
「ローパス・フィルター」
「明晰夢」
「すべての記憶を燃やせ」
「最後の共有地」
「行けなかった旅の記録」
「ペイル・ブルー・ドット」

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Posted by ブクログ

ネタバレ


4.5くらい。
面白かったけど、技術知識についていけないところもあったので。
でも面白かった。

「暗号の子」
表紙がこのヒロインなんだなとわかった。
技術革新と新自由主義。
主人公のような人間はどうやって生きていくべきか、居場所を作るか、守るか、あるいは距離を取るか、な話かなと感じた。

「偽の過去、偽の未来」
未来予測をするが結局は嫌になってやめる話。
未来にだけ目を向ける娘、過去にばかり目を向ける父が、交差して、互いに調和する。


「ローパス・フィルター」
ツイッターではおすすめ欄があり、アルゴリズムでツイートが流れてくる。
これも一種のローパス・フィルター。
見たいものしか見ないので、見たくないものは取り除かれる。


「明晰夢」
ルーシッドという映像型のVRアプリ。
新たなドラッグとその末路。
一過性のうねりを見守る話だったな。
やる自由、やらない自由。


「すべての記憶を燃やせ」
AIに書かせたという触れ込みが無くても面白いとは思えなかった。
AIは入力した情報に対してそれらしいものを付加して作り出すだけで、物語や思想というものを感じられない、というのがよくわかった。


「最後の共有地」
天才の悲劇。天才に振り回される世界と自分。よくある話だが、経済やIT技術の話で面白かった。


「行かなかった旅の記録」
伯父に絵の具を贈ったエピソードが人間らしくて良かった。
作者も行ってないの読者に行った気にさせる文章で楽しい。


「ペイル・ブルー・ドット」
良い話だった。理想に邁進して疲れはてる。かつての理想を子供を通して思い出す。良い話だ。

0
2025年06月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

◎暗号の子
web上のリバタリアン・コミュニティ構築の話。父娘の関係が切ない。
◎偽の過去、偽の未来
ゲームの理論の経済学者がゆき詰まったときの父の言葉「決めるべきことは与えられた時代にどう対処するかだ。byガンダルフ」「愚か者どもの言うことに、いっさい耳を貸すな。」これも父と娘
・ローパス・フィルター
〇明晰夢
LSDに代わるARが開発され一時的にSNSでの紛争や鬱病がやわらぐが。
・すべての記憶を燃やせ AIによる小説
・最後の共有地
・行かなかった旅の記録
◎ペイル・ブルー・ドット
宇宙マニアの少年と宇宙マニアだった人工衛星のSEが超小型人工衛星を作る話。「最後までクレージーでいられた人が最終的には勝つ。」

0
2025年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【暗号の子】
〈人から暗号〔クリプト〕へ。あるいは、認知のアナログ・デジタル変換。わたしは一個の暗号体となり……〉
冒頭から掴まれる。
主人公はカウンセラーに勧められてVR空間にあるASD匿名会に参加するが、参加者の一人が無差別殺人事件を起こし、主人公も関係者として取り調べを受ける。
警察には合同会社化を持ちかけられたが、会〔クリプトクリドゥス〕のメンバーは賛同せず、事件やクリプトクリドゥスのことが社会問題となり、主人公の本名や住所などが暴かれる。
主人公は動画配信者とのコラボ企画などで自分の考えを発言するが、無政府主義者と言われる。
そして、クリプトクリドゥスはもう以前とは違ったものになっていた。
生きづらさを抱えていた主人公が、たどり着いたクリプトクリドゥス、守りたいという気持ちはよくわかるような気がするし、お願い、放っておいて、と祈る気持ちにもなった。
やがて、父が、プログラムのバグを利用してクリプトクリドゥスを解散させないようにする手を打つ。
そして、主人公は新たな居場所を作ることにする。
味方は実は身近にいた。
それが冷えた間柄だった父親ということにも、主人公の新しい選択にも希望を感じさせる終わり方。
とても好きな作品。


【ペイル・ブルー・ドット】
地球を観測する人工衛星の会社でその衛星に組み込むソフトウェアの開発をしている主人公が夜の公園で空を観測している少年陽太と出会い、主人公が力を貸し陽太が作ったキューブサット〔小型人工衛星〕を自社の人工衛星打ち上げの際、一緒に打ち上げるという計画が進んだ。
しかし、打ち上げはできないことになる。
その話を主人公がメールでしていたアメリカの誰もが知る宇宙開発企業で働く主人公の後輩彩矢が彼女の会社の会長に陽太のことを話すと興味を持ち、アメリカへ迎えたがっているという。
陽太には学校に友達がいないということを主人公が察する場面があり、仕方ないとは思うものの、辛いと思う。
特性を活かすことが生きることだとしたら、陽太はこれから生き生きと生きていくだろうし、陽太とのことが彩矢や主人公にとっても新しい人生の展開になりそうで、希望を感じさせる。
とても好きな展開。
最後のところもとても印象的。


ほかの作品も、素晴らしかった。
AIが執筆したのは、そう書かれてあったので、そうなのだなと思って読んで、でも違うんだよね、深さみたいなもの、と思ったけれど、そう書かれてなかったら、一風変わったこの作者の、それ自体詩のような作品と思ったかもしれない。


今度は長編を読んでみたい。

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2025年03月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

割と面白かった。
短編集で、それぞれの話は独立している。
近未来のSFっぽい話かと思ったら、そうでもなく。
ハッピーエンドではないけど、こういう報われない感じやスッキリしない感じって、よくあるな、って思った。

0
2025年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短編集のため面白いものとそうでないものがハッキリ別れた感じだった。
ペイル・ブルー・ドットが一番読みやすく今後ありそうな夢のある話でとてもよかった。
暗号の子のネット内の自由主義もよかったが、ホントの意味で自由とリーダー不在のある意味無法は違う様な気がすした。
ほとんどAIが書いた「すべての記憶を燃やせ」など、AIには感情がないので、どのうような指示を出したら今回のような作品になるのか気になった。

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2025年01月27日

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