あらすじ
言論の自由を制限し、戦前の反体制派を弾圧した「稀代の悪法」。これが治安維持法のイメージである。しかし、その実態は十分理解されているだろうか。
本書は政党の役割に注目し、立案から戦後への影響までを再検証する。1925年に治安維持法を成立させたのは、護憲三派の政党内閣だった。なぜ政党は自らを縛りかねない法律を生み、その後の拡大を許したのか。
現代にも通じる、自由と民主主義をめぐる難問に向き合う。
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Posted by ブクログ
治安維持法は「宣伝」取締法ではなく「結社」取締法として成立したとか、「目的遂行罪」を設けた改正案が審議未了で廃案となった後に緊急勅令として枢密院で可決されたとか、地味面白い。
Posted by ブクログ
「悪法」であるという、漠然とした意識しかもたない治安維持法の成立過程、変遷、実際に適用された事例を、丁寧に説明している。特に、治安維持法の成立が、なぜ戦前護憲三派内閣で成立したのかに着目し、内務省と司法省、憲政会と政友会の利害一致に答えを求めた点は、大変興味深かった。
Posted by ブクログ
【75冊目】若き研究者による本。取り締まるべきなのは、言論ではなく暴力の方だったという最後の考察が地味に心に残った。
「復活説」等、当時の法学説の勉強になりました。
それと、共産党(赤化)とテロの脅威が治安維持法を後押ししたみたいだということは勉強になりました。年齢的に、共産党の脅威というのは実感しにくい世代ではあるのだけれども。
治安維持法が拡大の一途を辿っていく過程は興味深く読みました。以前読んだ「許される悪はあるのか」に書いてあった、lesser evilの基準を意識しながらもう一度読みたいです・・・読まないと思うけどww