【感想・ネタバレ】カフカ俳句のレビュー

あらすじ

カフカの短い言葉は俳句のよう――

「鳥籠が鳥を探しにいった」「体の真ん中に毛糸玉がある感じ」等、20世紀の文豪がのこした断片80首を、自由律俳句のように味わう鮮烈なカフカ入門。カフカの短い断片を新たに訳し下ろし、小宇宙のような深みを楽しめる解説つき。

時代や場所を越え、カフカの世界を縦横無尽に感じられる一冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

カフカの作品は難しいイメージがあって
手に取りづらかった。

そんなとき、俳句なら…と手に取った。
これが沼にはまった原因だ。

個人的に好きだった句は

【わずかな光が言葉を通して洩れてくる】
言葉にできるのは、わずかな事だけ。
逆も然り、言葉を通して必ず伝わる事もある。

【外にでることをゆるされぬままに
内部を焼きつくす火の不幸】
何かしたい(情熱)が何らかで実行されない時、
外に出られなかったために内部を焼き尽くし、
せっかくの情熱が自分を傷つけてしまう。
(=不幸)

【黒い水をかきわけて泳ぐ】
絶望したまま、どう生きるか。
光を求めて溺れてしまわないように。

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2025年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2024年に没後100年の記念イヤーだったカフカの自由律俳句集……?
ではもちろんなく、カフカの手紙やメモ、小説の断片から、文学紹介者の頭木弘樹さんが、“俳句的”な文章を選び、短い文章をつけた一風変わったカフカ紹介本。

繊細でナイーブなカフカは、頭木さんいわく、「炭鉱のカナリアのように」他の人の気付かない不安や恐怖に反応してしまう。

一見、ネガティブな“句”(と、この本では呼んでいる)だけれど、他者に対する攻撃性はまるでなく、自分の内面や、自分と世界の関係について、深く深く内省している姿が、ごまかしがなく、とても誠実に感じる。(もしかしたら、そう感じる言葉を選んでいるだけかもしれないけれど)

気に入った句

〈鳥籠が鳥を探しにいった〉

〈まっすぐに立つ不安〉

〈ずっとベッドの中。拒絶〉

〈溺れた者として救いを夢見ている〉

〈ドアががばっと開き、家の中に世界があらわれる〉

〈会話はわたしのせいで絶望的なものに〉

〈ただ自分のことを悲しんでいる〉

〈ときおり体が八つ裂きになりそうな不幸を感じる〉

〈人間の体のくっきりとした輪郭が怖ろしい〉

〈快適だと何もせず、快適でないと何もできない〉

〈闇の暖かさのない闇〉

自由律俳句の山頭火や尾崎放哉と奇しくも同世代なのだそう。
巻末の頭木さんと俳人の九堂夜想さんとの対談も面白かった。

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2025年03月03日

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