あらすじ
三十三年余の短い一生に、珠玉の光を放つ典雅な作品を残した中島敦(一九〇九―四二)。近代精神の屈折が、祖父伝来の儒家に育ったその漢学の血脈のうちに昇華された表題作をはじめ、『西遊記』に材を取って自我の問題を掘り下げた「悟浄出世」「悟浄歎異」、南洋への夢を紡いだ「環礁」など彼の真面目を伝える作十一篇。(解説 氷上英廣)
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Posted by ブクログ
国語の教科書に取り上げられた「山月記」ばかりクローズアップされるようだが私は「弟子」が好きである。
コレの原典は一応「論語」ということになるのかな。
「出来の悪い子ほど可愛い」という俗な心情とは違う、哀しき師弟愛だ。
おそらく孔子と子路は「理論と実践」で正反対の道を取ってしまったのだろう。
子路から見て孔子は理論ばかりで実践が伴わず、孔子から見て子路はその逆。
しかし膂力で注目される子路がその分野でも孔子に勝てなかったというのは彼がそれでも孔子を師と仰ぎ尊敬する原動力となっているだろうし、孔子も若い頃は子路のような腕力至上主義だったのではないだろうか。
そしてそれに限界を感じ弟子を育成する道を選んだのではないか。そもそも理論と実践、どちらかを疎かにせず双方のバランスを保つというのが孔子の教えである。
二人は根っ子の部分では親子のようによく似ていたと思うのだ。
「論語」で顔淵が死んだ時孔子は激しく泣いたと言うが、実はそれも主君が死んだ時に形だけでも泣き叫ぶ哭礼に似ているような気がしてくる。
それよりも殺された子路が膾切りにされたと聞いて以降膾を食わなくなったというエピソードの方が静かに哀しみを訴えかけてくるのだ。
Posted by ブクログ
『文字禍』が少し恐ろしい作品です。考えてはいけないことを考えてしまった人の話です。「余計なことは考えずに文字を使いなさい」と、いうことなのかもしれませんね。