【感想・ネタバレ】雪夢往来のレビュー

あらすじ

江戸の人々に雪国の風物や綺談を教えたい。越後塩沢の縮仲買商・鈴木牧之が綴った雪話はほどなく山東京伝の目に留まり、出板に動き始めるも、板元や仲介者の事情に翻弄され続け――のちのベストセラー『北越雪譜』誕生までの長すぎる道のりを、京伝、弟・京山、馬琴の視点からも描き、書くことの本質を問う本格時代長篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

江戸時代の後期、越後国の生活風俗を描いた「北越雪譜」という本が鈴木牧之(儀三治)という作家によって書かれ刊行されているという史実に基づき、刊行までの紆余曲折を描いた小説。

鈴木牧之という作家や北越雪譜という本は全く知らなかったが、刊行に至るまでの紆余曲折には山東京伝や曲亭馬琴、京伝の弟京山、十返舎一九や二代目の蔦屋など、そうそうたるメンバー(タイムリーなことに大河ドラマの直後あたり)が関わっていて、谷津矢車の「蔦屋」をこないだ読んだことも重なり、意外な縁を感じて読むことができた。

京伝が刊行を約束してから40年…雪国の人は粘り強いと聞くが、それにしてもよく辛抱したものだ。丁寧に根気よく気持ちを込めて研鑽を重ねた文章の魔力ともいうべきか。

それにしても馬琴のクソっぷりは腹立ち臨界点を超えて、呆れ笑いの境地に達する。今もいるよなぁ、こういう人格が破綻した天才。

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2025年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

木内さんの本ーっと思って手にとる
北国に住む商人が江戸の人たちのあまりの北国の知識のなさに地元の風俗、説話などをまとめた本を作ることを夢見る話
山東京伝、十辺舎一九、滝沢馬琴、など聞いたことのある戯作者が出てくる
え?え?というほどに話が進まない
進んだと思ったら頓挫
江戸と越後の距離が今感じるよりもっと遠いのだろう
どうなってますか、と手紙を出すと、その人はもう死にましたという答えが剣もほろろに帰ってくる
かわいそすぎるーーーー
なんとびっくりそれで40ねん
おいおい、である。
大変である。
そして馬琴がめっちゃやなやつなのである。
ちょい前に八犬伝の映画で役所さんの馬琴を観てたので
そのギャップを自分の中で埋めるのがちょっと大変だった
越後の物書きと江戸の物書きとの心温まる交流になって
いくかと思いきや、何度も何度も話が頓挫するので
なんとゆーか、立場が違うもの達がわかりあうって難しいんだろうなーっと
物書きたちのいろんな悩みとか葛藤とかそーゆーのてんこ盛り
京伝の弟を想う気持ちが百合には一切通じてないのが悲しい
まあ、同じ人を大事に思ったとして、あくまでそれは自分にとっての相手だからなーー
子を生めなかった女の鬱屈が悪い方に向かっちゃったなーー
まあ、わからんでもないけど、親戚の子を可愛がる方に行けば自分を幸せにできたのになあーー
結局自分を不幸にするのは自分かもね
私はできれば無理やりにでも自分を幸せにしたいけどなーー
最後の最後、ようやく京山さんと書き者同士の心の交流が
できて牧之さん、良かったね
これはフィクションだけど鈴木牧之さんは記念館もあるほどの方で北越雪譜と言うのも本当に出版されたもののようなのでそこをもとに作られた物語なのだろう

そこからこんないろんな人を描き出してくる木内さんは
やっぱすごいよなーーー

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2025年08月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「夢というのは一度見てしまうと、そこから逃れられぬものなのかもしれぬ」
とはいえ、刊行までに四十年も経とうとは。ここまでくると"夢"よりも執念が勝っているのでは。
"越後の鈴木牧之"この名は今回初めて知った。
山東京伝や滝沢馬琴などこの時代の名だたる作家たちを巻き込んでようやく日の目を見た大作『北越雪譜』。"鈴木牧之記念館"も建っているようで、今も彼の地の人たちに親しまれていると思うと他人事ながら嬉しい。

ここ数日日本列島を騒然とさせている最強寒波も、現代の我々はテレビの映像で見ているから各地の状況も知っているけれど、江戸時代には当然知る術もなく。鈴木牧之が江戸の人たちに越後について知らしめたい気持ちもよく分かる。

山東京伝は、NHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」で古川雄大さんが演じるらしいので、古川さんの美しい顔立ちを想像しながら読んだ。もちろん初代蔦重はちょっと老けた感じの横浜流星さんを当てはめて。こうなると滝沢馬琴や十辺舎一九は誰が演じるのか(そもそも出てくるの?)。鈴木牧之はさすがに出て来ないよね、と大河ドラマの先も楽しみになってきた。

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2025年02月08日

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