あらすじ
「やさしい日本語」を知っていますか。在住外国人の増加や多国籍化が進む社会において伝わりやすさを目指した簡単な日本語のこと。身近な言葉も別の立場から見ればむずかしい。コミュニケーションのあり方を考える。
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■配慮とわかりやすさはトレードオフ(ポライトネス理論)
ポライトネス理論では、相手への配慮と分かりやすい話はトレードオフの関係にあると考える。ストレートな物言い(直言)は伝達効率が高い反面、相手への配慮に欠けることになる。ストレートな話は相手に対して無配慮になるが大変伝わりやすい。一方、離れていく方向に敬避的配慮(相手の領域を侵害しないようにしようとする気持ち)があり、尊敬語・謙譲語はここに当てはまる。
■詳細さと分かりやすさもトレードオフ
何でも細かいことを話すことが正確さを担保すると考えてしまうと話は長くなる。そして聞き手にとってはどうでもいい情報が増えて分かりにくくなる。「やさしい日本語」で説明するには、言いたいことの大枠をざっくり捉えた説明が一番伝わる。細かい情報を詰め込んでいくと分かりやすさから離れていくことを理解すべきである。
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昨年職場研修を受けた。公用文を簡単にしましょうというお題が、とても難しかったのを覚えている。やさしい日本語って、使いこなすのが難しい。これからは、道路標識や駅名標、看板に注目したいと思う。
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日本語指導をしてます。
とても勉強になりました。以前は海外の人には英語で話さないとと考えてましたが必ずしもそうでないと言うことが、改めてわかった
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日本にいる「外国人」に対する偏見、英語じゃないと通じない幻想。
しかし、データを見ても、留学生も技能実習を受ける者も日本語を勉強して来ているし、下手な英語・ローマ字を使うなら「日本語で」伝えるように努めた方がいいという。
もちろん「やさしい日本語」は外国の方達だけの為ではなく、広く必要だと言える。障害者であれ、所謂「情報弱者」とラベリングされる者であれ、年齢問わず。
ただ日本は識字率調査も全然やってない。社会制度の問題だってある。一朝一夕には当然いかないが、少しでも本書で説明される認識が広まってほしいと思う。
Posted by ブクログ
在日外国人だけでなく、日本語が母語の人に対しても、わかりやすい日本語は大切。ルビをふればいいわけではなく、肝心な事がきちんと伝わるようにするために考えられたのがやさしい日本語。
漢字が多いとか、あいまいな言い方や謙譲語、長い文章などが、やり玉に上がる。
また、やさしい日本語の歴史にも触れられていて、戦争中までさかのぼる。そして、震災。情報を入手できないと困るのは本人だけではない。結局はみんなが楽しく暮らすには、という事を考えて、編み出されたものということがわかる。
役所や学校、公共施設の人は文書を公開する前に必ずチェックするべき。
周りに困っている人はいないか?普段からわかりやすい文章を考える習慣をつけようと思う。
Posted by ブクログ
とても興味深い内容でした。外国人は英語で対応するというなんの根拠もない常識が自身の中にもありました。確かに日本に来てるの日本語に全く知らないという無策な人はなかなかいないだろうという当たり前のごとに気付かされました。
一方、日本人にとっても「やさしい日本語」の大事であるということが分かりました。学校に携わる身として、保護者向けの文章や教科書の文章難度の話は一考の余地があるなと感じました。少し話がずれますが、学習指導要領で定められている国語において身につけるべき能力が、一部の子どもたちにとって苦しいものになっている現実があるように感じます。識字に対する誤解や国民の読解力の把握という本書の話からこの辺り違和感に繋がりを感じました。
Posted by ブクログ
勉強になった。
やさしい日本語=わかりやすい日本語とすると、頷ける指摘ばかりだ。
数字の使い方もあるけど、世界で英語を使える人の割合とか、日本国内で暮らす外国の方にとって一番通用する文字は何なのか? などには驚かされた。
駅名の表示と道路標識が異なった表記方法になっていることも「言われてみればなるほど」。で、日本も実質的に移民を受け入れたからには、このあたりから統一した方がいいよね。
笑ったのは、お役所の文書は世界共通でわかりにくいらしい。正確に、間違えないように、誰からもケチをつけられない文章にしようとすると長くなるし難解になるのは、どの国でも無理なんだね。
Posted by ブクログ
とても読みやすい本。
「やさしい日本語」は、相手に合わせて日本語をわかりやすく調整したもの。
主に外国人を対象にするが、もちろん、日本人にとってもわかりやすい表現を目指す。
ところが、この「調整」が難しい。
日本人が「わかりやすくなる」と思っていることは、必ずしも効果的でなかったりする。
例えば、一音一音区切って発音すること。
なるほど、言われてみれば単語としてのまとまりがわからなくなってしまう。
配慮を優先すればあいまいになるし、では詳細に伝えればいいかというと、受け手の負担は増加する。
このジレンマは、自分にも経験があるところだが、ではどうすればいいかというと…実践から学べ、ということになってしまった。
まあ、うすうすわかってはいたけれど、やはり残念。
後半は書き言葉や公用文の問題、病院や学校のやさしい日本語、そして道路標識の表記の問題が扱われていた。
そのうち、自分にとって新しかった話題は、英語の難易度を数値化するFREという計算式のことだ。
以下の式で計算できるという。
206.835-1.015×(一文の平均単語数)-84.6×(一単語当たりの平均音節数)
標準的難易度(中2~3レベル)は、60~70。
どうやってこういう数式が開発されたのだろう?
日本語でもこういうものができるのかな?
最後の標識の話は、『街の公共サインを点検する』で読んだ話と重なっているが、「小樽港」の道路標識が30年「Otaru Poot」で、誰も気づかなかったという話が面白い。
それはさておき、以前職場でアカウントを作る仕事をしていて、ローマ字表記をどうするかで苦しんだ経験があるので、長音をどう表記するかの悩ましさはよくわかる。
ローマ字にアクサンのような長音符をつけたら、たしかに読みやすい。
とはいえ、PCで作業する際、長音を示す傍線をつけたアルファベットを使うこととすれば、入力がめんどくさそうだなあ、と思う。
かといって、「大岡」さんが「Oooka」となるのもどうかと思うが…。