【感想・ネタバレ】ほんのささやかなことのレビュー

あらすじ

1985年、アイルランドの小さな町。寒さが厳しくなり石炭の販売に忙しいビル・ファーロングは、町が見て見ぬふりをしていた女子修道院の〝秘密″を目撃し――優しく静謐な文体で多くの読者に愛される現代アイルランド文学の旗手が贈る、史実に基づいた傑作中篇

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Posted by ブクログ

ネタバレ

寒そうな陰気そうな感じがひしひしとくる。クリスマス本として読んだ時よりずいぶん陰気だ。黒猫が鴉を食べている描写が妙に心に残る。

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2025年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

心が震えるラスト!
今しなくて後悔する苦しみを死ぬまで味わうより、自分で正しいと思う事をして、これから降りかかる問題の方が軽い。

暗い話だろうから、読むのを敬遠してたけど、読んで良かった。
昔々の事では無くて、結構最近、1980年代の話だから驚く。
戦争も教科書に載ってた話ではなく、今現在の話になっている。
見ないフリしている問題が今現在、色々あると思う。
解決するには小さな1人の1歩からしか、変えていけない。
最初の一歩は潰されるだろうけど、きっかけを作らないと一生変わらない。
その1歩が自分か誰かか。

気になったほんのささいなことを、自分のほんのささいな行動で、世の中という大きなものを変えていけるのかもしれない。

些細なことの積み重ねが、良くも悪くもなる。
些細なことは、気づいた時、大きく問題になる前に修正すれば、大きな労力もいらない。
(個人的には、「 Clear thinking 」本の感想に繋がる)

ゆっくり自分のために時間をとり、いつも普通と思ってる些細なことを見直す時間を持とう。

人には環境と教育が大切。

追記
嵐が丘を読んで。
このラストって、嵐が丘のスタート?
この家族は幸せだったのだろうか。。。

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2024年12月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自らが過去に受けた恩恵と助けを思い返し、「最終的に、この町の不正と犠牲を見てみぬ振りをしたまま、キリスト者として生きていけないとビルは結論する。自らの良心に従わず、沈黙を通して声をあげずにいるなら、個人の幸福は成り立たないと考えたのだ。」(「訳者あとがき」P.154)「…ファーロングはあらゆる感情を圧倒する恐れを感じつつも、おれたちならやり遂げるさ、と心のどこかで愚かしくも楽観するどころか、本気で信じているのだった。」(P.137)

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2025年10月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1985年クリスマス間近、アイルランド南東部の町ニューロスで燃料屋を営むファーロング。
婚外子の自分を身ごもった女中の母だったが、仕えていたウィルソン夫人の計らいにより、その出自に比して最低限の困難で今の生活にたどり着くことが出来た。
決して大金持ちでも大物でもないが、この不況の中、それなりの稼ぎもあり5人の娘にも恵まれ、望む教育を与えることができ、和やかで心温まるクリスマスを迎えることができている。
ある日、燃料を届けに行った女子修道院で出会った少女達の姿に、この町の暗部に気付いてしまう。。。

訳者鴻巣さんのあとがきでは5人の娘を育てる家庭像から若草物語への言及があったが、
自分的には直近の読書履歴からどうしたって『高慢と偏見』が思い浮かぶ。
家族構成だけで物語の内容はかすりもしないのだけれど。
内容的には不穏な施設、見て見ぬふりの保身からの悪意なき悪にカズオ・イシグロ『わたしを離さないで』×マーティン・エイミス『関心領域』のような印象を受けた。

平和な日常に突如おとずれた翳りにひるみながら、惑いながら、ウィルソン夫人から受け取った善良さのバトンを手放さないファーロングの心根に喝采。

アイルランドのマグダレン洗濯場という歴史的悲劇を知らなかった。
エイドリアン・マッキンティの描く北アイルランド紛争といいなかなかの闇を抱える国家。
自分的には、側転前転のロビー・キーン、闘将ロイ・キーンのプレミアリーグレジェンド達のイメージが強いアイルランドだが、全然知らないんだなと思った。
無関心は悪。きっかけをもらえたので気になる範囲でAIとお話ししてみよう。

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2025年09月21日

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