あらすじ
容姿端麗で頭脳明晰な転校生・汐谷美令は、白麗高校中から注目を集めるが、些細な事からクラスで孤立してしまう。
最初の友達で孤高を演じる松島和奈、美令が孤立する原因を作った城之内更紗。
それぞれに秘密を抱えながらも、深く関わっていゆく三人の濃密な一年の軌跡を描く。
アンジェリーナ1/3との対談を収録。〈解説〉中江有里
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Posted by ブクログ
何の前知識もなく読んでみました。
ストーリー的には大きな展開はなく、淡々と高校生活が進んでいきます。
非常にリアリティがあり、いるよなあこういう子と重ねながら読んでいました。非常に共感できる部分も沢山ありました。まるでもう一度自分も高校生をやっているような気持ちになりました。
最後どうなるのかなと思っていましたが、美玲が取った海での行動に一気に鳥肌が立ち、なぜか自然と涙がこぼれました。
友だちと同じ目線に立ってみる。
簡単なようでとてもとても難しいことだと思います。
人は誰でも、友だちだと思いながらも友だちだからこそ、どこか自分より優れている、劣っていると感じる部分を感じている。
そこで優越感に浸ったり、劣等感に陥ったり。
思春期の女子なんて特に難しい。本当の友だちって何だろうと誰もが一度は考える。
けれどそんな難しいことは抜きにして、自然とおそらく本能で友だちの目線を肌で全身で感じる美玲の行動はとても美しくて、素直に素敵だなあ。と感じました。
文庫本の解説も非常に自分の感性と近い事が書かれていて良かったです。
もう一つ心に残ったところ。
犬は純粋にその人の辛さをそのまま受け止めることができるのに、どうして人はあの人よりも自分の方が辛いとか、勝手に辛さを自分の物差しで比べてしまうのか。
他人の痛みを自分のことのように感じることはできなくても、辛いんだね。とそのまま受け止めてただただそばにいる。それだけで十分なんだと言われているような気持ちになりました。
Posted by ブクログ
東京への修学旅行の自由行動にて、大半は遊園地や街中へ繰り出すところを、美令の案でプラネタリウムに行って楽しんでいる姿に好感が持てた。また、各々が土産物などを買う中、清太は星系の写真や豆知識が載っている日替わりカレンダーを買うところなんか微笑ましい。
同じ匂い袋でも、持つ人間によって匂いが変わるという話が素敵だなと思った。そんな同じ匂い袋を持つ友達というのがいかにも学生時代の青春で羨ましい。
「スピカさんは、誰もが認める特別な人だから、好きになったり友達になったりするんですか?」
「他の誰もがつまんない普通の人だと言ったとしても、自分にとっては特別なんだって胸張れる人のことを、友達って言うんじゃないんですか」
「ていうか、誰もがすごいって褒め称える人を好きになるのは、むしろ当たり前じゃないですか?分かりやす過ぎませんか?何の変哲もない人を好きになる方が、逆にすごくないですか?」
「みんなの特別にはなれなくても、誰かの特別には誰だってなれると思います。みんなの特別にしか価値がないって思うなら仕方ないですけど」p262
「友情には信頼とリスペクトが要ると思う。対等であることと、相手に敬意を払うことは両立する…難しいけどね。」p386
話の〆は表紙のように3人が水に浸りながら上を見るシーン。