【感想・ネタバレ】禁忌の子のレビュー

あらすじ

【第34回鮎川哲也賞、満場一致の受賞作】【デビュー作にして2025年本屋大賞ノミネート!】救急医・武田の元に搬送されてきた、一体の溺死体。その身元不明の遺体「キュウキュウ十二」は、なんと武田と瓜二つであった。彼はなぜ死んだのか、そして自身との関係は何なのか、武田は旧友で医師の城崎と共に調査を始める。しかし鍵を握る人物に会おうとした矢先、相手が密室内で死体となって発見されてしまう。自らのルーツを辿った先にある、思いもよらぬ真相とは――。過去と現在が交錯する、医療×本格ミステリ! 第34回鮎川哲也賞受賞作。/第34回鮎川哲也賞選考経過、選評=青崎有吾 東川篤哉 麻耶雄嵩

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Posted by ブクログ

ネタバレ

いやー面白かった。
主人公と瓜二つの遺体が搬送されたことを皮切りに主人公の出生の秘密と密室の縊死事件とがどんなふうに関連しているのかワクワクして読んでいたが、まさかそんなところに帰着するとは思わなかったし、あの飲み会の夜に全てが始まっていたのかと驚いてしまった。非配偶者間人工受精は、喜びと素晴らしさの裏に自分には想像もつかない苦悩とリスクがあるのかもしれないと考えさせられた。
最後の方で中学の国語の授業で1番印象に残っていた作品について書かれていたのが懐かしかったし、地味に嬉しかった。

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2025年12月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

血のつながり、親について考えさせられた。また、自分の親への感謝を感じたと同時に、子供は産まれさせられるものという言葉にハッとさせられた。
普通のミステリーでは見ない、探偵(解決する人)が警察に明かさないという展開がとても意外だった。

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2025年12月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中学のとき、理科の先生が授業で「細菌のクローンの作り方」について事細かに教えた挙句、「理論的には人間のクローンも作れると思う。倫理的によいかは別として」と言った。当時は、何を言い出したのかと思ったし、今思い返しても、中学生に対する授業としてそれでいいのか、という印象は大きい。あの先生に限らず、好き勝手やってる先生が多い学校だった。先生たち、学習指導要領ってご存知でした?

技術の進化にともなう倫理的な問題に、どう対処していくのか、というのは、多分人類がずっと進化のたびに向き合っていくべきものだろう。

私自身は、幸いにも不妊治療をすることなく、子どもを授かることができたのだけれど、もしも授からなかったときに、不妊治療にどこまでお金をかけたのかは、正直微妙かなという気持ちがある。

あの世代の「嫁は子どもを産まないと」というプレッシャーは十分分かる。けれどそれでも、自分と「血がつながっていること」の価値ってなんだろうかと思わずにはいられなかった。

不妊治療・生殖医療を最先端で切り開くなかで、当時はそれがよいと思ってしたことが、最終的に思わぬ不幸に決着していたというミステリー。

なぜこんなところに決着するしかなかったのかは、読み終わってからずっと考えてる。
この先にきっと、今の告知義務だったりがあるんだろうとも思うけど。

途中のトリック解説あたりで、少しもたつく(というか、鍵になる時間が多すぎて覚えきれなくて、面倒になっちゃう)ところがあったけれど、それでも一気に読んでしまった。

ちょっと意表を突かれすぎた気はするけれども、「禁忌の子」というタイトルの回収も見事。

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2025年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

そのタイトルがどうにも気になって文庫化されるまで待てず。

「似ている」などというレベルではない、自分とまんま同じの見ず知らずの人が死体となって目の前に運ばれてきたら。導入部から話に引き込まれます。

最も犯人像からは遠い人、けれど急に登場したわけでもない人。ひゃーと驚かされ、5分の3の意味がわかったときには自分の先入観にも驚きました。精子の提供を取り上げた話は映画でもよく観ますが、今はSNSで取引されることもあると知って愕然。

城崎には強烈に惹かれます。人の感情を解しない、けれど思いを巡らすことに努めるイケメン。彼の推理をまた聴きたいから、次も文庫化まで待てないかも。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

展開も早く面白かった。が、少しオチが読めてしまった。
瓜二つの死体の方の人生がら読んでてキツすぎて、、、感情移入してしまい辛かった。。

新しい探偵の登場?シリーズ化しそう。

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2025年11月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

自分の出生のルーツを探るミステリー
明らかになっていく事実、衝撃的な過去にはすごく引き込まれた。

ただ、ラストの選択は本当にそれでよかったのか疑問。
以下めちゃくちゃネタバレ




中盤までリアリティがかなりあっただけに、妻の絵里香が行ったことに対して、突然どんでん返しのためのシナリオというか、フィクションっぽさを感じてしまった。
私も現在21週の初産婦。
お腹の中の子どもと愛する夫を守る本能は痛いほどわかる。
でもこんなことをいつまでも隠し通せるのか?
そして私もこの妻と同じ看護師なのだけど、仕事柄人の命や尊厳について葛藤してきた経験はかなりあると思う。家族を守りたい、夫にも隠し通したいという覚悟はその倫理観を上回るものだったのかが謎。
まだ息がある人間を海に落とした。
反撃した正当防衛は認められるだろうけど、海に落とすのは明らかに過剰。この男が自分たちの幸せを脅かす脅威の存在だとしても、彼女はその罪を一生ひとりで背負っていくことになる。
とにかく怖すぎて後先考えず突発的に処理しなきゃと考えたならまだわかる。
でもそうではなく、これを通報したら、いずれ血縁関係がバレて離婚させられて、子どもと引き離されて、マスコミにも取り上げられ世間の見せ物になるかもしれないということまで考えられているなら、ある意味冷静なんじゃないかな。
人の命を助ける仕事をしてた人が、色んなことを天秤にかけて、夫にも相談せず人の命を奪うという罪を背負う選択は、私は腑に落ちない。
これだけ愛のある夫婦なのに、それが悲しすぎた。

あと178センチ74キロの脱力した男性を床から車椅子に乗せるなんて、いくらボディメカニクスを理解した看護師であっても1人じゃ絶対無理。
ましてや妊婦、火事場の馬鹿力があろうと無理。
密室の考察はあんなに丁寧なのに、ここは甘すぎだと思った。

主人公も、妻を守りたいと思う気持ちが爆発して友人に殺意を向けるシーンがあるが、どうしてもこの感情にはついていけなかった。
殺したら自分も後を追うって、その先妻と子をを誰が守るんだよ…

こうなるなら、どんでん返しはいらなかったな。
自分と全く同じ遺伝子を持つ人間が違う環境で育ち、自分は愛されたけど片割れは愛されなかった。自分がそっちの運命だとしたら、どうしていただろうか…これだけで十分すぎるほどのストーリーだったと思う。

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2025年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

フィクションの中のフィクションって感じ。
フィクションなのだから問題はないのだけど、もう少し現実感があった方がより同一視できたような気がします。

「城崎」というキャラクターは、ガリレオの影がちらついてしまい、既視感がすごく新鮮味に欠けてしまう。

人を殺めて、更に犯人まで突き止めて逮捕に繋がらない話ってあんまり聞かないかもしれない。(逃げたとかではなく)

結果的に幸せになれたのだから良いっちゃ良いんだけど、逮捕されないことに違和感を覚えてしまう。

故に「禁忌の子」という意味合いが色濃く残ったのかもしれない。


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2025年11月22日

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