あらすじ
「ダメ、ゼッタイ」に代わる、有効な手立てはありうるのか?
依存は回復の始まり。
やめればいいってものじゃない!?
連載時から当事者、当事者家族、支援者・専門家を騒然とさせた
不良患者×不良医師による画期的な往復書簡がついに書籍化――。
現代人にとって最も身近な「病」である依存症――非合法のドラッグやアルコール、ギャンブルに限らず、市販薬・処方箋薬、カフェイン、ゲーム、スマホ、セックス、買い物、はたまた仕事や勉強など、その対象は多岐にわたる。
そんななか最も身近な依存物質であるアルコール依存症の治療中で、数多くの自助グループを運営する文学研究者・横道誠と、「絶対にタバコをやめるつもりはない」と豪語するニコチン依存症で、依存症治療を専門とする精神科医・松本俊彦の、一筋縄ではいかない往復書簡が始まった。最小単位、たったふたりから始まる自助グループ。
依存症の裏側にある、さらにその深淵へ!
特別鼎談「ギャンブル依存症問題を考える(ゲスト:田中紀子)」も収録。
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Posted by ブクログ
思えばあの学生時代の勉強会と言い、私はかなり初期から依存症について近い場にいたと自負している。とはいえ、遠ざかってかなり経つというか、この本を読んで驚くことがたくさんあった。そりゃ何十年も経っているんだもの。変わるとこもあるよなぁ。特に『ハームリダクション』について。昔は断酒しかない、と学んだけど、量を減らして生き延びるという方法があるとは。そして依存症になるには育った家庭環境だったり、発達障害による生き辛さがあったり、自殺せずに済むために何かに依存して何とか生き延びているということ。やっぱこういう系の本も読んでいたいものだ。
Posted by ブクログ
依存症に関する往復書簡。往復書簡というものに慣れてなくてどうも上滑りして読むのに苦労したのだけど(著者ではなく読み手の自分のせい)、とても面白かった。
依存症について、知っているようで全然知らなかったんだなということが多かった。例えば、違法薬物を使用したとして依存症になる人はその中の1割だとか、セックス依存症や買い物依存症は病気として正式な認定がされていないとか。とくに前者は、「薬やめますか?人間やめますか?」で薬物の恐ろしさを散々テレビ番組等で刷り込まれた人間としては驚き。酒だって飲んでる人全員がアルコール依存症になるわけじゃないでしょ、と言われてもやはり薬物は違うのでは?とこの本を読んだ今でも信じられない気持ち。
松本先生(トシ)の、専門医視点からの話はとても興味深かった。患者と家族両方の味方はできなくて、医者は常に患者の味方とか。
でもいちばん印象的だったのが、子どもの頃に同級生の女子にされたからかいに対するトラウマの話。なんか身につまされたというか身に覚えがあるというか。
それに対しての横道先生(マコト)のフェミニズムは被害者男性を救ってくれないという話もなるほどねぇと思って読んだ。まぁ救わないよね。(正直あまりそこに同情はしない薄情な女ではあるのだが)
あと、横道先生の話で自助グループの話とかAAとかの話を読みながら、前に読んだ石田月美さんの本に出てきた話と同じだなーと思ってたら石田月美さんの名前が出てきて笑ってしまった。みんな繋がっている。
Posted by ブクログ
以下につきます。
依存症は苦痛の緩和によるもの
依存症の裏側にあるものをみる
困った人は困っている人
最大の悲劇は酷い目に遭うことではなく一人で苦しむこと
Posted by ブクログ
人が依存症になるのは快感のためではなく、苦痛の緩和のためであるという。なるほど、我が身を振り返ってみても納得できる説である。かなり長いこと私はワーカホリックであったのだが、そのおかげで当時苦しめられていた言いようのない不全感をやり過ごすことができていた。依存症は長期的には命を危険にさらすが、短期的には今を生き延びるのに役立つことがある…皮肉なものだ。
依存症当事者の支援について、著者のお二人が重視している「ハームリダクション」という考え方にもハッとさせられるものがあった。また、「ダメ。ゼッタイ。」という対処法がいかに当事者を孤立に追い込むかという話には、思わず背筋が寒くなった。