あらすじ
欧州の覇権をかけた英仏の激突 ワーテルローの戦いの後、キットを待ち受ける運命とは?
18世紀末からヨーロッパを吹き荒れた「革命」の時代。
フランスのナポレオンが軍事侵攻を繰り返し、英国もまた長期にわたる戦争に巻き込まれていた。
キングズブリッジの住人たちも、第一〇七歩兵連隊として戦いの地に出向くことに。そんななか、囚われのナポレオンが復権を果たし、ついにワーテルローの地で一大決戦の幕が切って落とされる……。
労働問題、侵略と戦争、市民と国家。現代にも当てはまるテーマに巨匠フォレットが絢爛たる筆致で挑む。
キングズブリッジ・シリーズ堂々の完結編!
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大聖堂シリーズ、ここに完結! と表紙にあり、キングズブリッジシリーズの最新作である。このシリーズは最初の作品でゴシック様式で建造が始まったキングズブリッジの大聖堂あたりを舞台とするシリーズであり、続きものではない。『大聖堂、夜と朝と』だけは一作目の前夜譚のようだが、他は作を重ねるごとに時代が新しくなり、この作品でワーテルローの戦いが終わったあたり、つまり近代までたどりつく。
18世紀末のキングズブリッジでも紡績紡織の機械化が始まり、産業革命の荒波が押し寄せてくる。その状況での群像劇である。テキスタイル業界の話であるので、貧農の服装から裕福な御婦人のドレスまで描写が細かく、そのあたりも面白い。そして、虐げられる貧しい小作農の妻サルがたくましく重要な役回りを果たすところも、さすがこのシリーズだ。ページをめくる手がとまらないのも、さすがこのシリーズ。
一方、星四つにした理由も述べたい。
まず、性描写が多すぎ、退屈に感じた。「多すぎる」というより、退屈だから「多すぎる」と感じる。『針の眼』にあったような熱や官能はここにはない。また、昨今の多様性とかポリコレとかの流れなのか、無理やり入れたような同性愛カップルの存在が気になった。ことに女性同士のカップルのほうは、レズビアンである、以上の描写が希薄で、「いれるためにいれた」ようにしか思えない。男性同士のほうは年の差カップルなのだが、最初はかっこよかったのに結ばれたあたりからその魅力がだださがりしてしまうため、感情移入しにくい。もっといい男(女でもいいけど)にしろよ、と思ってしまう。
それでも、終盤のワーテルローの戦いが圧巻だ。自らの意思で参戦している兵がほとんどのナポレオン軍に対峙させられている、無理やり徴兵された兵がほとんどのイギリス連合軍。勝ち目はなさそうでも、戦意なんか全然なくても、参戦している以上負ければ死だ。フランスになったっていいじゃない、なんて言っている場合ではない。このあたりは興奮する。そして、戦場についてきたサルのここでの行動もまた、さすがである。戦闘に参加はしないが、手ぶらでは帰らない。
結局、期待度が高すぎたので四つ星、という感じなのかもしれない。ただ、校正はきちんとして欲しい。気になるところがかなりあった。
Posted by ブクログ
キングズブリッジシリーズの完結にふさわしい、大団円という感じでしょうか。登場人物たちがそれぞれ、幸せそうで何よりです。戦争も終わり、労働者と資本家との争いもその妥協点が見えてきて、明るい未来が待っていそうな予感です。
とはいえ、実際の歴史では、これからもっと恐ろしい戦争が待っていますし、現在においても労働者と資本家の対立が解決したとは言えません。そう考えると、いったんのハッピーエンドですが、これで何もかもが解決したとはいえない、そういう余韻もありました。
今作「光の鎧」は、これまでのキングズブリッジシリーズとは違い、勧善懲悪というわけではないのも興味深いです。むしろ善人チームとされる人たちが、不倫的な行動をしていたり、逆に悪者チーム代表でもあるホームビームが、哀しい過去があったり、こころが揺れ動いたりしていました。
最後のワーテルローの戦いは、圧巻ですね。映画を見ているようでした。なんかうまいことまとめようとしている感が、すこし見え隠れしているように気がしましたが、キングズブリッジシリーズの最後としては、十分満足な締めだったかと思います。
Posted by ブクログ
いよいよ最終巻である。上巻、中巻で描かれてきた様々な出来事が、ワーテルローの戦いでクライマックスを迎える。
キングズブリッジからこの戦争にすっ飛ぶのはいささか無理があるかと思いきや、稀代のストーリーテラーであるフォレットの手にかかればなんの違和感も感じさせない。それぞれの思いが絡んだ愛憎劇も一応の決着を見る。まあ、これはちょっと甘いかなあ……。
訳者あとがきによれば、本シリーズはこれが最後となるそうだ。1991年に刊行された『大聖堂』から35年、ほぼリアルタイムで読み続けてきたので感慨深い。