あらすじ
忘れられた名著であるJ.A.クローニンの「城砦」が夏川草介氏の新訳でよみがえりました。英国の医師であり小説家だったクローニンと、日本の医師である「神様のカルテ」シリーズの著者である夏川草介氏。この時代を越えたコラボで新たに誕生したのが「新訳 城砦」です。
本書は、医師の仕事に情熱を燃やす若き医師アンドルーが様々な苦難に立ち向かう半生を描いたものです。ある時は、医療制度に立ち向かい、ある時は、富や名声への渇望という自らの欲望に足をさらわれそうになりながら、希望の灯を絶やさない心の軌跡が描かれています。「何のために生きるのか?」「何のために働くのか?」そんな人生の難問に出逢った際、きっと本書から得るものがあるはずです。いつの時代であっても生きていればかならず遭遇する苦難や人生の落とし穴。あなたはどう対応しますか。
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Posted by ブクログ
上巻はワクワク、スイスイ読んだが、下巻になると胸が苦しくなるシーンが多かった。
とくにクリスティンの気持ちを考えるとこちらまで辛かった。
翻訳が素晴らしく、自分のような医療素人でも違和感なく読み進めることができた。しみじみ出会えてよかったと思える作品だった。
人名を覚えるのが大変なので、登場人物のメモがあったらよかった。
以下印象に残ったところをメモ
・看護師さんには気をつけて
・本人が覆い隠したい事実の指摘は自尊心を大きく傷つける
・自尊心を傷つけられた人は復讐する場合がある
・傷ついた心の回復には適切な運動とそれに伴う睡眠と食事
・志を同じくする友の大切さ
Posted by ブクログ
翻訳者・夏川草介さんの熱い解説文が良い。
普段の小説のやわらかな空気感とは違い、鋭く力強い言葉で原著を分析・解説していて、原著の描かれた背景のみならず今回夏川さんが翻訳書を出す意義までわかり胸が熱くなった。
この夏川さんの使命感のようなものは、この本の中で主人公アンドルーが持っていた医師としての使命感に通づる。
「本書を読めば、我々と異なる時代、異なる環境で、我々と同じように悩みながら、懸命に生き抜いた人間がいたことが力強く伝わってくる。どれほど社会が変わっても、人間が何に悩み、何に立ち向かおうとしたかは変わらない。そのことがはっきり理解できるのである。」(解説より)
クリスティンとの溝がどんどん深まってしまう期間は切なくて切なくて読むのが辛かった。
クリスティンは本当に苦しかったろうによくクリスティンは離れずにいたなと、女性目線で読んでしまった。