あらすじ
2023年、世界的な大ブームを起こした生成AI「ChatGPT」。開発したのはOpenAIの若きCEOサム・アルトマンだった。2015年に設立したベンチャー企業がなぜ7年でここまでのものを開発できたのか。設立メンバーだったイーロン・マスクとなぜ反目したのか。知られざる開発の裏側とGAFAMの覇権争い、そして天才アルトマンの素顔に迫る。
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Posted by ブクログ
10年ほど前に”ディープラーニング”という言葉がはやり、書店でも何でもかんでもディープラーニングでどうしろ、こうしろって本があふれかえった時期があった。それがいかなるものかがよくわからず本を手にしたが興味が湧けずそのままやり過ごした。そして去年、chatGPTなるものが話題沸騰し、自分も”Midjourney"にしばらくハマったものだが、その仕組みが全然わからなかった。まぁ、あまり興味がなかったと言えばそれまでだが、今年に入り、やたらとイーロン・マスク氏の名前が上がり、これまたよく知らない有名人だったが、それを超える人物として書かれたサム・アルトマン。そしてchatGPTに関連するというもんだから、ここらで一度じっくり向き合ってみようと手にした久しぶりの専門書(?)だったけど、夢中で読んだ!
Photoshopにも現れるニューラル・エンジンとは何ぞや?ってのも一気に理解した。
昔々の専門学生時代に流行ったBASICプログラムで”人口無能”なるものがあった。”それは何?”ってプログラムが効いてくるのをひたすらキーボードで入力していく対話型AIで、「ダイヤモンド」->「高い」->「煙突」->「黒い」->「土人」->「強い」->「金太郎」->「赤い」->「おこし」->「臭い」->「親父」->「怖い」->「幽霊...ry(これ当時は歌にもなった)。こうやってどんどん言葉を覚えさせていくとある日(相当数文字を入力してセーブし、次回起動時にロードして続きを打つ)、「幽霊」って文字を入力すると、”消える!”ってプログラムが回答してくるのだ。
よくよく考えたらこれがOpenAIの奔りだったと納得する笑
まあ、それは置いといて、アルトマンが起こした非営利団体がいつしか世界を変えてしまうほどのAIを生み出し、ほか企業や団体もそれに追随、あるいは追越に躍起になり今やどこで何をするのもAIありきの世界になってしまった。世にある文献、映像、音響、ありとあらゆるコンテンツを飲み込んだAIの発展先には人類の指標となるのか、はたまた墓穴となるのか。頭の中にはターミネーターの世界が回っているんだけど、用途次第でどっちにも転ぶ全知全能となったAIはまさに神。技術の歴史や全容、各社の取り組みが分かりやすくまとめられており、ほかの書は読んでいないけど、この一冊でchatGPTだけでなくAIの取り組みがどのようにおこなわれ、どのように発展していくのかを十分に理解できる良本。
Posted by ブクログ
この手の本で日本人の書いたものって、どうしても伝聞が中心になるせいか、読後感がスッキリしないものが多い印象だったのだけど、本書はテンポも歯切れも良かった。
よくあるAI脅威論について、ラリー・ペイジはAIが人類に取って代わるとしても、それは生物から人工物へと進化が次の段階に移行するに過ぎないと捉えているんだとか。なるほど。
また、今後世界中のテキストを読んでしまえばもう、学習することがなくなるのでは、という指摘に対して。AI同士でテキストを作り合い、それを学習材料にすることで発展を続けていく、とアルトマンらは考えているらしい。AI同士で競い合って学習を深めていくという手法は囲碁の学習などでは用いられた手法だが、言語にも使用できるのだろうか。人間の存在無しで発展できるとしたら、知性って何なんだろうとも思ってしまう。
関係者の間ではp(doom)として、人類滅亡の確率も語られている
・「これこそ、我々の待ち望んでいたものだ。これこそ、最後のピースだ」(トランスフォーマーの論文"Attention is all you need" を読んだスツケヴァー