あらすじ
「あんたは、俺から花をもらってくれるのか」
犯罪者だと町で噂されていた老人が、孤独死した。
部屋に残っていたのは、彼が手ずから咲かせた綺麗な《花》――。
生前知り合っていた女子高生・安珠は、彼のことを調べるうちに、意外な過去を知ることになる。
淡く、薄く、醜くも、尊い。
様々な花から蘇る記憶――。
これは、謎めいた老人が描く、愛おしい人生の物語。
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
女子高生も、昭和頑固親父も、女手一つで床屋を切り盛りしたおばあちゃんも、子どもを諦めた40代の女性も、みんな心情豊かで胸に迫るものあり。
単なるすれ違い恋愛ものではなく、一時代を生きた人生を描きつつ、円環収まるごとく収束する物語の着地点に心揺さぶられる。
アクの強いじいさんひしめく中、存在感の薄い父が最後に明かす名、等。途中で分かってはいたけど、最後の種明かしにグッとくる。
人生の最期にひまわりを渡せて、受け取ってもらえて平さん、よかったね。
Posted by ブクログ
最近町田そのこさんばっかり読んでいる自身ですが、これまた今回も胸が苦しく、けれど結局何もかも許すしかなく…救いのない人生をどうにか藻掻いて生きている人、けれど最後は最高に丸く収まる、一人の男を軸に様々な登場人物が絡み合いつつ関係性を描いている群像劇でした。
町田さん、老若男女を描くのがとにかくうまいと思います。まるで自分と違う立場の人物であっても感情移入できてしまう「ああ、あるよね」という人間の泥臭さ。あまりの感情の幅広さに感嘆してしまいます。
今回の物語は、血縁を下敷きに、人の人生を書いた作品だったと思いました。
変えられない生育環境、タイミング、後悔、選択……それでも人ってそう簡単に死ねるものでもなく、生きているかぎり生きてかないとだめなんだよなあという諦めを突き付けられたような気がします。
何十何万人、たくさんの「人間」がいる世の中で、皆「幸せ」で「思い通りの人生」を歩んでいるはずがなく…それでも生まれもった自分の味を携えて生きていくしかなくて、その中で出会った人と色々ありながらも進むしかないよな…と、考えさせられました。
なんとなく、悦子と平の関係は予測できたけれど、ラストに向けて繋がっていく感覚が病みつきになる。安珠と奏斗のこれからが気になるな
Posted by ブクログ
「平」という謎のおじいさん。そんなおじいさんに興味を持った高校生の安珠は、平に声をかけ親睦を深めていく。果たして平は何者なのかー。平の人生が明らかになるとき、物語は優しいエンディングを迎える。
印象的なシーンは2つ。
1つ目は平が「花束」を贈りたい相手に贈れず、最後に安珠に渡せたこと。今までの生涯において平は花束を贈る直前で、何かしらの障害に妨げられ贈ることができなかった。それを実の孫である安珠に渡すことができたことは彼の人生における餞になったと思う。1人の不器用な男と儚い花束はどこか似ていて、読んでいて終始胸が締め付けられた。
2つ目は奏斗が安珠に想いを伝えるところ。奏斗は性自認が不明でずっと悩んでいたが、最後にメイクを施した姿で自分らしさをそのままに安珠に想いを伝える。奏斗がこの決断に至るまでには長い長い苦悩があったと思うが、平の人生をかけた物語が奏斗の生きる道標になったように感じて人の繋がりの尊さを感じた。
とにかく優しくて、強い人々を前にとても胸が温かくなった。私もいつか誰かのために思いを乗せた花を贈りたいと強く思った作品。
p.63.64 相手のことを本当に理解したいなら(一章 ひまわりを花束にして)
『理解に深さを求めるのなら、後ろめたいことでも、隠したいことでも、向き合って詳らかにしなくてはいけない』
『そう。何もかもを、さらけ出すんだ』
『楽な作業じゃない。大事な相手ほど、汚い自分や愚かな自分を知られたくないだろう?ひとは、そういうものだ』
『だからこそ、見せる。そして相手が全部を見せてくれたら、丸ごと受け入れる。それが、どんなことでも。呆れるようなことも、傷つくことも、あるかもしれない。でもそれは、それぞれの思い込みから生まれる感情なんだ。思い込みに振り回されることもなく、ただ芯を見て、受けとめるようにしろ』
『そういうことをしていないのに、理解できると思うのは傲慢だ。その逆もしかり』
『話をしろ。何度だって言葉を重ねて、相手の言葉に耳を傾けろ。いったん離れてしまった気持ちは、もしかしたら取り戻せないかもしれない。でも、きっと間に合うと信じろ』
p.178 自分の生き方(三章 不器用なクレマチス)
『仮に、いいと言わない奴がいたとしても、気にしなくていい。そもそも他人が誰かの生き方を否定する方がおかしいんだ。否定した奴らは否定するだけで、お前の人生を保証してくれるわけじゃない。お前が、お前に素直に生きることだけが、正解だよ』
Posted by ブクログ
切ないけど、最後に報われた気がした。
あんじゅと平さんが実は家族だったなんて、
血の繋がりはすごい。全て分かった上でもう一度読み返したら、生きていたときの平さんの言動の意味が深く理解できそう
Posted by ブクログ
平さんという、おじいさんの人柄を探ってくストーリー。平さん、不器用すぎる優しい人なんだよね。
主人公の祖父が実は平さんでしたというオチ。
Posted by ブクログ
大切な人に自分のことをわかって欲しい。だけど、どうにも伝わらなかったし、すれ違ったり、もどかしいシーンが多々ありました。
個人的には悦子に感情移入して、香恵の身勝手さに怒りすらも覚えましたが、「悦子のように強い人間ばかりではない」という言葉に少し親近感を覚えたような気がして。
だけど、悦子だって強くなりたくてなってるわけじゃなくて、そうせざるを得なかったからしただろうし、それこそ平に弱さを見せたかった部分もあるんじゃないかな。
そんな相手に対して「強い人間」だと決めつけて言うのは、それもまた身勝手さだったような気がする。
平への償いとして、「嫌な女」を演じていたけど、それもただの自己満でしかなくて、本当に平のことを思うなら、もっと別のやり方があったんじゃないかなと思いました。
悦子と平の関係性、私はかなり好きです。