【感想・ネタバレ】弱い円の正体 仮面の黒字国・日本のレビュー

あらすじ

「長引く円安」の真因に迫る――どこから外貨が流出しているのか?

【著者より】
経常収支黒字国や対外純資産国というステータスは一見して円の強さを担保する「仮面」のようなものであり、「正体」としてはCFが流出していたり、黒字にもかかわらず外貨のまま戻ってこなくなったりしているという実情がある。その意味で、日本は「仮面の黒字国」とも言える状況にあり、統計上の数字からだけでは見えてこない「正体」に迫る努力が必要というのが筆者の問題意識である。"

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Posted by ブクログ

ネタバレ

貿易収支の赤字化を境に、円高の歴史が終わった。所得収支は蓄積されて円に戻らないから円高要因にならない。
「新時代の赤字」は米金利の低下では消えない。

国際収支の発展段階説では、成熟国は通貨高になるはずだが、新時代の赤字と、所得収支が戻らないことから赤字は消えない。
新時代の赤字とは、サービス収支の赤字のこと。
デジタル赤字、コンサルティングサービス、研究開発の赤字、知的財産権収支は黒字、著作権使用料はデジタル赤字とともに赤字。
保険、年金も積み上がると積立金の運用、再保険料が円安の一端となっている。
アイルランドは、デジタル貿易が大幅黒字=低法人税のため大企業の本社が置かれている。

研究開発投資も日本に残らなかった。
人口動態が高齢化することで社会のイノベーションが起きなくなっている。
シンガポールが子どもに補助金を支給しても出生率が戻らなかったように、出生率の増加に政府は無力。
イノベーションボックス税制の導入は世界的な動き。
同じ人口減少社会でも、韓国やスイスは貿易収支が悪くなっていない=研究開発を怠ったツケではないか。

旅行業も人手不足を考えると救世主にはなれない。インバウンドによって人手不足が加速=人件費の高騰=インフレの輸入。
デジタル収支はアメリカ、英国、EUの3強。通信コンピューター情報サービスで日本が弱い。

以前は円は逃避通貨だった。国難のとき円高になったが、今は国難になると円安になる=普通の通貨。安全資産、リスクオフの円買い、はもはやない。

家計部門も円売り=貯蓄から投資へ、海外投資信託が売れる。対外証券投資の半分が家計による投信買い。
すでに日本人は円安物価高になれている。
今後、NISAの拡充で、国内投資向け優遇策が出るかもしれない。英国のISAがその方針を発表した。

PPP(購買力平価)では円安は過剰になっている。どちらが訂正されるのか。円安=輸出数量増加、にならない。円安は株高を呼ぶ。

対内直接投資で変わるか。TSMCやコストコ、イケアなど。英語力の不足と行政手続きの煩雑さがネック。
スローバリゼーション=直接投資の分断化。耐久性のあるサプライチェーン作り=友好国回帰は日本に追い風になる。
対内直接投資は、外資の収益になるだけ。
アイルランドでおきたことは、GDPよりもGNIのほうが28%も小さい状態。国内の生産量は大きいが、居住者の所得合計は小さい、ということ。

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2025年01月09日

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