あらすじ
ことばは社会の見方や価値観をゆるがす一方で、社会もまたことばの使われ方に影響を与えている。新しいことばのインパクトとそれに対する抵抗や躊躇、こんがらがった関係を事例とともにのぞきこみながら、私たちがもつ隠れた意識を明らかにし、変化をうながす。 【内容のほんの一例】ことばが社会を変化させるメカニズム/ことばが変わることにはどの社会でも強い抵抗がある/「伝統」や「習慣」をカラッと転換させるカタカナ語/「男になる、男にする」と「女になる、女にする」/なんでも略す日本人と「意味の漂白」/「ご主人・奥さま」?「夫さん・妻さん」?/――ひとの配偶者の呼び方がむずかしいのはなぜ?/「正しい日本語を話したい」と考えてしまう私たち/既存の価値観がすべてではない
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Posted by ブクログ
本作品で帯にもあり、気になっていたのが他人の配偶者をどう呼ぶかという問題です。
「ご主人・奥さま」?「夫さん・妻さん」?――ひとの配偶者の呼び方がむずかしいのはなぜ?
この問題は第六章にて検証されていますが、全てがどんなパートナー関係を思い浮かべているかで大きく変わってくるということです。なかなか一筋縄ではいかない問題であることが、今回もはっきりしました。
そのほかにもことばが変わることにはどの社会でも強い抵抗があること。「伝統」や「習慣」をカラッと転換させるカタカナ語の力。
「男になる、男にする」と「女になる、女にする」の使い方の深い意味。
日本人は意外に真面目で「正しい日本語を話したい」と考えてしまうこと。既存の価値観がすべてではないことなどが興味深い内容でした。
久しぶりに教養新書を読んで、小説とは違う感覚を楽しみました。
Posted by ブクログ
女、女子、女の子、女性の違いは?
他人の妻や夫をなんと呼ぶ?夫さん妻さん?ご主人?奥様?社会と言葉の関係について述べた本。
「ことばを変えることは、物事を理解する別の視点をもたらすという形で間接的に社会変化をもたらす」
という考えを根底に、さまざまな具体例をあげて展開される。
明治時代から昭和初期まで最も頻繁に使われていたのは「夫」であり、「主人」が一般に使われるようになり国語辞典に「妻からの呼称」と掲載されるようになったのは、戦後以降だということは知らなかった。
夫ー働き手、妻ー専業主婦 のモデルが一般化したのは戦後以降にもかかわらず日本人の多くはこの家族形態が伝統的なものであると勘違いして社会の仕組みを作ってきた「近代の伝統化」に通じるものがある。
Posted by ブクログ
ことばが社会に影響を及ぼし、時には社会を変えていくことについて「セクハラ」とか事例を挙げながらわかりやすく紹介・解説してくれている。何気なく使っていることばの裏にいろんな社会の状況が反映されているもんだ。
ジェンダー的な視点をかなり濃くしながら書かれていてそういうものは自分の好物のはずなんだけど、だいぶ斜め読みをしてしまった。
一番面白くて「そうか!」と思ったのは、パートナーの呼び名のこと。「ご主人」はナンセンスと思いながら自分が他人にその人のパートナーのことを言うとき「だんなさん」「奥さま」と言ってしまうんだけど、同じようになぜか「だんなさん」とか「ご主人」とか言ってしまう傾向が広く見られる。それはなぜかというと「夫」や「妻」はややへりくだり感があり、家父長制的な色合いのないうまい言い方がないんだよね。日本語においては丁寧な言い方ほど家父長制的なものと結びついてしまうということもあり。自分としては「お連れ合い」あたりかなと思うんだけど、何か舌が回りづらい感じがしてあまり口にしたことないしね。