あらすじ
三大公家テ・トーラ家の血を引くネオンは幼き頃に公爵家を追い出され、母と兄弟と共に平民として暮らしていた。しかし18になると政略結婚のために連れ戻され、辺境伯当主ラスボラ・ヘテロ・モルファの元へ嫁がされる。
家族のため政略結婚を受け入れたネオンだったが、ラスボラに愛することはないと突き放され、開き直って悠々自適な引きこもり生活を満喫していた。
そんなある日、家令と侍女長に勧められ辺境騎士団の視察に出たネオンだったが、そこで目にしたのはまともな治療もされずにあばら家に閉じ込められる負傷した騎士たちの姿だった。
その“惨劇”の光景に思わず嘔吐し、同時に看護師であった前世の記憶を思い出す――!
「私は辺境伯夫人として、最初の慈善事業『負傷者への看護』を行わせていただきます」
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好きな作品
チート能力のないパターン転生物。
主人公は地位はあれども名のみという微妙な立ち位置で、政略から嫁入りするところから話が始まる。
前世看護師とはいえ、器具も薬も何もないところから命の危機にある人々を救う為に、泥臭い位に地べたを這いずり回る主人公の姿。
それがシュールでリアルに描かれていて、それこそナイチンゲールもこんな感じで看護していたのでは、と感じる程。
介護や医療の現場では綺麗事では片付かない問題が山積みで、現在の医療制度も過去に現場の方々が必死で苦難に抗ってきたからこそ、改善され今に至るのだと、創成期ならではの苦悩も多く描かれている。
人間関係についても、簡単に和解とはならないところが尚更良い。物語なのだから和解も、と思われるかもしれないが、現実では一度乖離した価値観を擦り合わせ和解するのは非常に難しい。
物語だからと安易なルートを選ばさないところが、作者の作品に向ける真摯な姿にも思え、今後の展開に期待が高まる。