【感想・ネタバレ】檜垣澤家の炎上(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは――。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。(解説・千街晶之)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

すごい評判になっていた一冊。かなり分厚いので読み始めるのにちょっと覚悟がいるかもしれない。自分もそうだったのだが、主人公のかな子が学生になったあたりから、かなり面白くなっていって、後半は夢中で読み進めるくらいには面白かった。最初は幼さを武器にし、少しずつ知識と知恵を蓄え、大人たちを追い越そうとする姿はめちゃくちゃ凛々しい。あまりにも優秀すぎてびっくりする。7歳の頃の自分はこんなに賢くなかったよ。明治の世において女系家族というものがどれだけ特別なのか、そしてそれを実行する大奥様たちがどれだけ凄かったのか、ラストになって主人公が否応なく実感するのが上手いなあと思った。あと、きちんと張られていた伏線がほぼ回収されているのも凄い。とても面白い作品だった。

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2025年10月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

幕引きは唐突かつ少し乱暴に感じたが、史実に基づいた出来事に沿って進む、主人公かな子のサクセスストーリー(の途中)として面白く読んだ。

個人的には恋愛要素がもう少し読みたかったところ。
かな子の親友である暁子を「彼女以上に大切な人は今後現れないだろう」というようなことを独白する場面がある。
これはかな子自身の予想を裏切って、魅力的な男性と恋に落ちる伏線では!?と、期待していたのですが、まさか候補になりそうな男性が二人とも帰らぬ人となるとは、思いもよりませんでした。
かな子には恋愛にうつつを抜かしている暇はない、という作者からの愛のある試練でしょうか……。

かな子の宿敵も家族も思い出もすべては瓦礫の下に埋まってしまった。
檜垣澤家を復興させるまでの紆余曲折も読んでみたかったです。

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2026年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芦辺拓さんの「大鞠家殺人事件」を彷彿とさせるなぁと、読み始めて暫くは感じていた。
この一族の中で、殺人事件が発生するのか?と待ち構えていたら、発端にポツとあっただけ。
かな子が学校に進学するあたりで、おや、事前の予想とはちょっと違う展開だなと思ったが、この中盤から一気に引き込まれていった。

終盤、「こんなにフラグを立てた西原とくっつかないんかーい!おいおい!」などと独りごちながら、病室から出る際の描写では涙ぐんでしまった。

なんとなく、タイトルから予想していた結末ではあったものの、ここまで思い切りよく全滅させるとは思わなかった。
が、しかし、かな子の行く末を読者に委ねるとするなら、最適な締め方か。

人々の気持ちの機微を、ここまで文字化されたのが素晴らしい。できるのは、本当に実力のある作家さんのみだろう。

千街晶之さんが解説で「絡新婦の理」を挙げてらしたが、あちらの一族と比べると、こちらの檜垣澤家は真面目だなぁと思う。まったく異なる属性。

願わくば、かな子がどう生きていったのか、想像でなく文字で読みたいなぁ…

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2026年01月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

強かで賢い女かっこいい〜!!
自分史上一番の長編だったのと時代設定もあり読むのに時間がかかったけど、ミステリー要素が散りばめられていたり終盤は怒涛の展開だったりでとても面白かったし切なかった。
時代背景がしっかりと書かれているので勉強にもなった。この頃は学校に通ってる間でも有無を言わさず嫁がされることが当たり前で、男が浮気しても許されるのに女は許されなくて理不尽だし、女性は自由がなくて大変だなと思った。
檜垣澤家に来たときこそはギスギスしてたけど、三姉妹や暁子さんとの関係がそれぞれ良くて、想像してたより微笑ましかった。これもかな子が賢く強く成長してきたからだなとも思う。雪江がお嫁に行く場面はじーんときてお気に入り。

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2025年11月10日

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ネタバレ

ミステリーだけどそれだけじゃない!大河ドラマに昼ドラ?を読んでる感じかな?
主人公が幼少期から野心に燃えていて強かで、でも大奥様の方がもっと上手で…あれもこれも見通してお茶会を開いたりわざと出かけさせたりしてた…それができないと大企業を動かすのはできないんだろうけど。

ミステリー部分は犯人の言動にえぇ……怖っ!!
あのセリフの1回目と2、3回目に出てくる場面は違った怖さがあって。ん?変な人だなーって思ってたらほんとに変な人でした…

大筋とは関係ないけど、衣装の描写が細かくて良い!洋装も和装も生地から色味、帯との合わせまで書いてあって、さすがお金持ちのお嬢様!という感じ。読んでて楽しかった。次女と三女がペット的な感覚もあったとは思うけど、主人公に構ってあちこち連れ回してるシーンはなんだか面白かった。

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2025年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

傑作長編ミステリとうたわれているので読んだが、ミステリ感はあまりないのでそこは残念だった。
でも私があまり読んだことのない歴史物、一族物で、妾の娘であるかな子が本妻の家に引き取られ、知識や知恵を生かしながら成長して生き抜いていく様が面白くはあった。
初めは妾の子として疎ましく扱われていたが、なんやかんやで雪姉様や花、スヱから可愛がられたり認められている部分もあり、震災で家族全員を失ったときにかな子自身も悲しみの感情や、スヱを越えたかったと尊敬の気持ちを表しているところが印象的だった。
暁子との友情も素敵だし、度々登場する西原とはお互いに恋心だったのか?というのも気になる。病床の西原と最後に会ったとき、「匡克さん」と初めて名前で呼ばれ心から嬉しそうにするシーンも好きだった。

ミステリと言われている部分の真相はそんなに深いものではなく、ふーんといった感じ。初が大分イカれおばさんだったということ。

これだけ長々とストーリーを描いていたのに、ラストが地震で全員死んじゃうendというのがあっけなくてあまり心にぐっと来なかったが、これが昔実際にあった震災を描写しているというのがあまり知らなかったので新鮮ではあった。

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2025年10月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文庫2冊分、774ページの大作。
妾の子・かな子が本宅に引き取られ、人々の様子を冷静に観察しながら成長していく話。7歳のかな子がかしこ過ぎて、転生ものを読んでいる気分になりました。

大正時代の街の様子が丁寧に描かれています。女の人たちそれぞれの個性に合わせたファッションや横浜の風景が目に浮かびます。しかし、その丁寧さも加わってか、長女・花の夫が殺されたものの、本の半分を過ぎてもミステリ部分の話が進みません。全く進みません。
もう読むのをやめたい…と思いつつ読み続けたら、最後6分の1くらいから、めちゃくちゃ面白くなって一気読み。
意外な犯人と、意外な家族の秘密がわかり、ミステリなのに前向きな気分で本を閉じました。

星が3つなのはあまりにも長かったから。
でも最後まで読んで良かった。

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2025年09月20日

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