【感想・ネタバレ】檜垣澤家の炎上(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは――。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。(解説・千街晶之)

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

かな子の成り上がりの話かと思っていたらそういうわけでもなく。 

しっかりミステリとして謎もあり解決もあり。

総合的にとても面白かった。

0
2026年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時代は明治末期から大正にかけて。
横浜で絹物商で大企業へと成長した檜垣澤要吉の妾腹の娘に生まれたかな子は、母の死に伴って父の家に引き取られることになる。
本家には、病に臥せる父の他、正妻とその娘、入り婿、長女の孫娘3人と孫娘の入り婿がいた。
女ばかりの女系一族の中で、母に教わった知恵と父譲りの胆力でしたたかに生きていく少女の青春と成長を描く物語です。

終盤にかけて明らかになる真実は、驚きと涙なくしては読めない。
がしかし、主人公の人生はこれから!というところで物語の幕は閉じる……。
続きが読みたいがないのか?

0
2026年04月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

かな子の、綱渡りの日々と、その中でも少しずつ得た人との縁。長い物語だったけど、飽きずに読んだ。
でも、最後、そうか、そうだったよね、と呆然とした。あんなに慎重に積み上げてきた日々が、あっという間に文字通り崩壊してしまう。ここから立て直していくのは、途方もないことだよね。
読み終わってしばらく余韻が残る。

0
2026年03月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

これは、出版社にブラボー!です。
よくぞ上下巻に分けずに800ページを一冊にまとめてくれました。
だって、もう、止められないもの、続きが気になって。

主人公のかな子は、横濱で知らぬ者のない商家、檜垣澤家の当主の妾の娘。
両親に愛されて育ったが、8歳の時に母が火事に巻き込まれて亡くなったのをきっかけに、父のもとに引き取られる。
しかしその時には父は、卒中の後遺症で寝たきりになり、意思の疎通もままならない状態で、予後が良くなることなく父も亡くなった。

女中部屋住まいから、物置部屋へと少しずつ自分の居場所を広げていくかな子。
自分の居場所は自分で切り開かなければならない。
売れっ子芸者だった母が幼かったかな子に教えたのは、人の顔色と声色と腹の色を見極めなさいということ。
誰が敵か味方か、後に覚えた将棋で、手駒を増やすことも考えながらかな子は成長していく。

かな子の父の正妻はスヱ、その長女である跡継ぎの花、さらにその長女の郁乃。
檜垣澤家は女系一族なのである。
花の夫である辰市が事故で亡くなっても、事業には何の問題もない。
郁乃の夫である惣治はいるものの、病弱な郁乃の代わりを徐々にかな子が担っていくが…。

一応はミステリなのだ。
でも、とりあえずミステリでなくても、この女系家族の腹を見せ合わない駆け引きが面白い。
誰も心の内を話さないので、かな子視点で想像するしかないのが、もどかしくも愉快。

郁代の妹の珠代や雪江に可愛がられるために、かな子が取る態度。
檜垣澤家の使用人たちに対する態度。
家にいたって気は抜けない。

でも彼女は頭がいい。
勉強ができるだけではなく、その時自分が求められている役割を間違うことなくこなすことが出来る。
花の妹の初(スヱの次女)の婚家である山名医院の書生である西原が、かな子には腹の色が読めない存在として登場するが、これの存在もかな子の成長を促している。

というかねえ、何気ない描写が後々思いがけないスイッチになったりして、実は良質のミステリだったのだよなあ。

檜垣澤家の炎上とは、SNS上の炎上ではなく、火事のこと。
横濱は火事が多かったらしい。
函館も大きな火事が多かったから、港町って風が強くて炎上しやすかったのかしら。

0
2026年03月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大正時代の横濱の富豪である檜垣澤家。
母の死後、妾の子であるかな子は、脳卒中で倒れた父であり当主の要吉の世話係として檜垣澤家に引き取られる。

当主の倒れた檜垣澤家では妻のスヱが貿易商「檜垣澤商店」のすべての舵取りを行い、娘の花と共に会社を大企業へと押し上げていた。

かな子は妾の子として疎まれ蔑ろにされながらも、母の教えと知恵と情報を駆使し、檜垣澤家での地位を得ようと野心を燃やす。

大正時代の華やかな社交の場。裏で糸引く聡く決断力のある女たち。そしてそのネットワーク。
女中たちから嫌がらせをされながらも強かに自分を居場所を作り立ち回るかな子。
本当にドラマを見ているようでした。
かな子の強さもですが、それを覆い隠すほどの賢さと力を持つ、スヱの存在感もまたかっこいい。
それに、郁乃、珠代、雪江の三姉妹も個性的で憎めない。
ミステリーではあるけれど、かな子の成長とそれに関わる人々との駆け引きや友情や淡ーい恋心にのめり込みました。
なんか、性格悪いかもだけど、登場人物の強かさに、私が元気出ますわ。

かな子の母の教えがいい。

「人には三つの色がある。顔色、声色、腹の色。どの色を見るかで、その人の見え方は変わってくる。」

「頭の中の知恵は誰にも奪われない」

今からでも我が子に伝えねば。

0
2026年09月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

檜垣澤要吉(ひがきざわ ようきち)が興した、留守番の小僧一人きりのちっぽけな店は、絹織物の輸出商「檜垣澤商店」としてのし上がった。いわゆる成金である。
高木かな子は、その檜垣澤要吉の妾の子。母の高木ひさは売れっ子の関内芸者だった。要吉は元町のはずれに気の利いた家を買い与え、かな子の世話をするばあやと、下働きのおチヨねえやがいた。父の来訪はせいぜい月に一度か二度。母はただ養われるのを嫌って元町の旦那衆に長唄などを教えていた。
かな子は幼い頃から、母に「人」の見方を教え込まれた。
『人には三つの色がある。顔色、声色(こわいろ)、腹の色。どの色を見るかで、その人の見え方は変わってくる』と。

母が火事に巻き込まれて亡くなると、かな子は7歳で檜垣澤家に引き取られた。居候扱いであるが、卒中で寝たきりになった要吉の世話ができるのは要吉を「おとうちゃん」と呼んで慕っていたかな子にとってささやかな幸せだった。また、上州出身の要吉は資産家になった後も「おとうちゃん」と呼ばれることを喜ぶ素朴なところがあった。

長女・花の婿・辰市が焼けた蔵の中から焼死体で見つかり、要吉も亡くなると、かな子の立場は微妙。
檜垣澤の家は、要吉の妻・スヱが実権を握っていた。
かな子は、スヱがなぜ自分を引き取ったのか、その理由を考える。男子ならたとえ外腹であっても経営に加わることができたかもしれない。しかし、女子は、政略結婚に利用するくらいしか使い道がない。それは、かな子の望むところではなかった。

檜垣澤の家に男は要らない、と言われるほど、女系が実権を握り、婿たちの影は薄い。
かな子も、檜垣澤の女として、自分の取り分は手に入れたいと思う。

これは、妾の子の本家乗っ取り物語なのか。
かな子にとって越えるべき壁はスヱだった。
このスヱが、また大人物、女傑である。かな子の敵ではない。いろんな意味で。
一つは単純に、かな子のかなう相手ではないという事。
そして、「妾の子として目の敵にする」という態度を一切見せないのが底知れない。
大きな流れで見れば、かな子の師であったかも知れない。

昼ドラみたいなドラマでもあるが、お決まりのヒロインいびりは女中たちの仕事である。
スヱの長女の三人の娘たちのうち、次女の珠代と三女の雪江は、かな子を妹と言って可愛がった。
(続柄上は、叔母である)
スヱの複雑な心のうちは憶測するしかないが、頭の良いかな子を自分の後継の一人の親族として認める方向にはあったのだと思う。
そう考えれば「妾の子の本家乗っ取り」ではなく、正当に引く継ぐ事になった、それがたまたま創業者の妾の子だったという事になる。

解説では、「本書への影響は『華麗なる一族』『細雪』、ミステリ部分では『犬神家の一族』」と述べられているが、ブロンテ姉妹の小説のような味もあると思う。

0
2026年09月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

檜垣澤要吉の子どもであるかな子が、本宅に引き取られる話。
どんなに心細いか、、、と思うが、かな子が年のわりにしっかりしていてうまく立ち回ることができてよかった。
すっごい性格のいい子がいじめられるという話ではなかったので、よかった。
かな子によって、うまく転がされている珠代や幸江が素直でかわいらしいと思った。

この時代の上流の女性はこのようにしたたかだったのかな?
スエと熊倉夫人の関係はあっさり描かれていたが、2人の関係や話も気になった!

0
2026年06月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女性版立身出世のおしんを彷彿させる物語。野心を抱いたかな子の心意気に気分高揚。大正という、近現代の舞台設定はもともと好きだから、心に刺さる!
恩田さんの「なんとかしなくちゃ」バリにいいところで幕を閉じるので、続編に期待。ぜひ、かな子のその後の快進撃と太平洋戦争を乗り越える姿を見たい。
かな子の境遇に夢中ですっかり忘れていたけれど、ミステリーとしての伏線回収も見事で、ハルさんや火事場から去る書生など、後からストン。

0
2026年04月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

どこら辺からミステリになっていくのかな〜と思いながらかな子の奮闘を読み進めていくと、終盤の伏線回収に痺れました。関東大震災で何もかもチャラになるんじゃなくて、かな子がスエや花を出し抜いて成り上がっていく様を見たかったというのはちょっと望み過ぎか。面白かったです。

0
2026年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読書前メモ:
本紹介を見て購入。
舞台が明治から大正にかけての横濱で地元近くというのも相まって興味を持った。

読書後メモ:(要約)
横濱の貿易商、檜垣澤家当主の妾の子として誕生したかな子。火事で母を亡くしたかな子は、檜垣澤スエや花、花の3人の娘たちと共に暮らすことになる。女中や使用人と同じ部屋で過ごしながら、母の教え(人の顔や何を話したのかを絶対に忘れないこと。人には三つの顔があること)を心に留め、時には盗み聞きをして情報収集をしていた。ある日の夜、婿養子が火事で不審な死を遂げ、第一発見者となったかな子は恩人と持ち上げられ、少しずつ表舞台に出ることになる。園遊会や姉たちに連れ回される中でかな子は、自分も使われる立場ではなく、スエのように人を使う立場になりたいと思うようになる。明治末期から大正(関東大震災まで)を描く、ミステリーかつ壮大な少女の成長物語。

読書後メモ:(感想)
時代考証を入念に行なったことがわかるフィクションだけどノンフィクション。大正12年9月1日に何が起こったのかを知っているからこそ、読み進めて行く中でも否が応でも意識しなければならない緊迫感。軍部の話も時代柄よく出てくるが、この後の展開を思うと、非常に胸が苦しくなる。作品内では伝聞でしか伝えられることはないが、背景には「戦争」や「陰謀」がある、私の好みに合った小説だった。
好みと言えば好みの男が出てきた、西原…死なないでくれ…。

0
2026年03月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

幕引きは唐突で乱暴に感じたけど、史実に基づいた出来事に沿って進む、主人公かな子のサクセスストーリーとして興味深く読んだ。

個人的には恋愛要素がもう少し読みたかった。
かな子が親友である暁子に対して「彼女以上に大切な人は今後現れないだろう」と独白する場面があったので、「これは予想を裏切って他の男性と恋に落ちる伏線では!?」と期待していたのですが。
まさか候補の男性が二人とも帰らぬ人となるとは思いもよりませんでした……。
恋愛にうつつを抜かしている暇はない、という作者様からの愛のある試練でしょうか……。

かな子の宿敵も家族も思い出もすべては瓦礫の下に埋まってしまった。
檜垣澤家を復興させるまでの紆余曲折も読んでみたかったです。

0
2026年02月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

妾腹の後ろ盾のない少女がのし上がっていくお話は好き。
あんまりいじめられるシーンがしつこいと読み切れないけど…
かな子さんは妾だったお母さんにマナーや芸事を仕込まれ、父親から愛されていたのがよかったんだろうな。
何年にも渡る「一族もの」は好きだが、この作品は逆「大地」とか逆「虚栄の市」みたいに女性が活躍していくお話だったらいいなと思う。

0
2026年05月18日

「小説」ランキング