【感想・ネタバレ】過去と思索(五)のレビュー

あらすじ

一八五一年十二月二日,大統領ルイ・ナポレオンがクーデタを起こし,翌年には皇帝につく.家族の悲劇に相次いで見舞われたゲルツェンは失意のままロンドンへ.「四八年」が日々遠のいて行く中で,革命の夢をなおも追い求める亡命者たち.支援を続けながらも,彼らを見つめるゲルツェンの目は冷え冷えとしている.(全七冊)

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Posted by ブクログ

ゲルツェンの回想録第五分冊。

前半は妻の不倫の話であり、後半は彼のヨーロッパで交流関係内の革命家の運命について。
内輪の愚痴だと読める内容も多かった。

その中でゲルツェンの真骨頂とも言える内容は、
第45章の付録として掲載された評論、「ジョン・スチュアート・ミルとその著書『自由論』」である。

「彼は「凡庸」に対して、自由を擁護しようというのである」
「イギリスにおいて、一般的で群衆的なタイプが作り出されつつあること(それはトクヴィルがフランスにおいて気づいたところである)」
「些末なことに心を奪われている人間が、何のために奮い立ち、鉄道や電信や新聞や安価な製品のある現在の生活に不満を持つにいたるのか」
「個性的な人間が登場しないのは、登場するに足るだけの十分な動機がないからである」

これは、技術革新や産業の発展を通じて、消費社会とその安定期に入った文明国が普遍的に当たる壁だろう。

「近代化への違和感」という言葉に言い換えられるこの現象は、20世紀の間中も常に繰り返されてきた。
そして21世紀に至り、その違和感がついに突破され忘れ去られたのが現在地ではないか、という気がする。

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2026年10月11日

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