あらすじ
一八四八年六月,革命後のフランス臨時政府による民衆への大弾圧が起きた.血塗られたツァーリの暴虐を遥かに超えるパリの惨劇は,ゲルツェンの思想を新しい境位に導く.専制支配はペテルブルクだけではない,ここにもある.かくして西欧への幻想は消えた.亡命後のゲルツェンを大きく揺さぶる出来事が続く.(全七冊)
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Posted by ブクログ
ゲルツェンの回想録第4分冊。
ヨーロッパでの亡命生活と、各国の同志たる革命家たちとの交流を振り返る。
フランスやイタリアの出来事についてはまだ不勉強で、この本を通じてヨーロッパの19世紀が学べる。
19世紀とは、18世紀終盤のフランス革命からの展開と、20世紀の大戦やロシア革命への伏線であり、
ヨーロッパ全体として非常に動的で混乱した世紀だということが、国家・市井の両方のレベルで伝わる。
それにしても、ここにきてゲルツェンの大物感が際立つ。
ロシアの貴族文化の重層的な背景を持つ彼には、パリが「ポッと出の成金」に見えたと言うが、
ヨーロッパを股にかける人脈と交流は錚々たるもの。
自国のバクーニンやチャアダーエフにとどまらず、
パリでトクヴィルとやり合い、
ロスチャイルドの紹介でヨーロッパの金利生活者になり、
プルードンの自費出版に多額を拠出して惜しまない。
現代日本でも名が通るような歴史の有名どころが日常の景色に登場するあたり、そこら辺の貴族ではなく、桁外れた「ロシアの大貴族」なのだろう。
記述もますます高貴さが強まり、貴族的な空気に没頭できる読書体験である。
プルードンについてゲルツェンは「負うところがある」と書いているが、一方でマルクスは酷評していた。
彼の思想もいつか掘り下げてみたいと興味が湧いた。