あらすじ
反政府的言動のかどで逮捕されたゲルツェンは,流刑囚としてシベリアの入口にいる.「僕はウラル山脈の氷のような空気を吸った.その空気は冷たかった.しかし,それは新鮮で健康的だ.シベリアは新しい国だ.独特なアメリカだ」.五年にわたって余儀なくされた流刑生活が二十代の青年にもたらしたものとは.(全七冊)
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Posted by ブクログ
ゲルツェン回想録の第二分冊。
この巻で彼は初めての流刑地に流され、
地方での職務を経験し、
ロマンスを経験し、
妻をモスクワから内密に連れ出して結婚し、
再び首都に帰って仲間と交流する。
徐々にゲルツェンの人柄が浮かんできて、いくつか印象的な内容がある。
まず、貴族と下僕や農奴との圧倒的な身分差をありありと。
同じ人間の中でこれほど明確に差があるというのは、なかなか現代人からは想像が難しい。
さらにゲルツェンの家柄は貴族の中でも特に高貴なので、誰よりも彼自身が、あらゆる人より上に立っていることを無意識のうちに自覚して振る舞っている。
またその身分ということに関わるが、「流刑」とは言え彼らの場合は、サラリーマンの転勤よりもずっと恵まれている。
刑罰であるはずなのに、高い役職で地方勤務ができて、立派な家でそれなりに自由のある生活が送れる。
また、これはゲルツェンの人間性に関してだが、
狡猾で欲深い官吏たちを「下品」などと酷評する割に、
自らはよそのお家の奥様といい関係になり、
さらにその病気の主人が亡くなっていよいよ責任を取らなければ、という時には、冷めてあっさりその女性を捨ててしまう。
その上で、「私の熱情は誠実なものだった」。
いやいや。
後半、首都に戻ってからの革命仲間との再会以降は非常におもしろく読んだ。
ヘーゲル解釈についての論争や、ベリンスキーの回心などは、さすが読みごたえがあった。
ゲルツェンの魅力は勿論変わらないが、
しかし、貴族という地位を大いに活用し、
はるかの高みから人々を見下ろして、
その割に自分の欲望は抑えられず、
その言い訳も雄弁で、
これで本当に革命家と言えるのか?という疑問もわかないではなかった。