あらすじ
土佐国司の任を終えて京に戻るまでの55日間を描く、日本最古の日記文学を試みに満ちた新訳で味わう。貫之の生涯に添い、自問の声を聞き、その内面を想像して書かれた緒言と結言を合わせて収録。
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Posted by ブクログ
堀江敏幸さんのエッセイが好きで。
だから、堀江さんの土左日記を読めることにワクワクした。
原文で読むと、この時代の日記の持つ無味乾燥な感じが、まだどことなく漂っている。
「をんな」として書くことの意味が、いまいち捉えきれていなかった。
そこには漢字仮名混じりで、読む側に分かりやすく施された文にも影響されていたのかもしれない。
だからか、ひらがなが主となった新訳を読み始めたときに、なるほどと思った。
読みにくい、でも、感じられるものがある。
記録を記憶として、出来事に想いを乗せて、任地から京へと帰っていくひとびとが浮かんでくる。
所々で、旅の疲れを癒すのは、ちょっとした笑い話であり、子どもの無邪気な姿だ。
そして、その姿を見ながら、一緒に連れて帰れなかった、「置いて来ざるを得ない」魂に、思いを馳せる語りてが見えてくる。
そう考えると、すごい新訳だと思う。
現実を虚構として、自身さえ、その構造の中に取り込みながら。
紀貫之がそうまでして、日記を用いて描きたかったものって何なんだろう。
文学に可能性を見いだすのは、ジャンルというものを新たに拓いていくのは、人なのだ。
そこまで大層な目でこの作品を見て良いのかは分からない。
解かれた制約は、新たな制約を生み出す。
そこに込められた貫之の思いを読んでいる。
Posted by ブクログ
教科書で断片を学習したが、全編読むのは初。教養として一度は読んでおくのが良いと思った。堀江氏の解釈も面白い。本は自分なりに解釈して読むからこそ面白いのだ、と改めて思った。解釈を選択させる国語の試験の馬鹿馬鹿しさ。
Posted by ブクログ
堀江敏幸さんの手による土佐日記の現代語訳。
紀貫之が国司として過ごした土佐から帰京する旅路を描いた紀行文で、最古の日記文学といわれ、当時は女性文字とされた仮名で記したことは、学校で学んだとおりですが、オリジナル表記が現代標準と異なって「土左」であることを今さら知りました。
何か意外な事件が起きるわけでもなく、旅の道程が坦々と記述されるだけなのですが、その中にあっても貫之のひたすらに強い望京の想いと土佐で愛娘を失った悲しみが際立っていて、彼の人となりに触れられた気がしました。
歌仙とされるだけに、日記内にちりばめられた和歌の響きには流石と思わされます。そのことが、和語(大和言葉)の柔らかな美しさが失われつつある現代を実に残念に感じさせます。
自分もそうですが、現代人は和語よりも音読みの名詞やカタカナ語を優先使用してしまっている。「いいお天気ですね」でなく「いい日和ですね」を使う人は実感として激減してます。
Posted by ブクログ
高知に旅行に行って、土左日記を紹介されたので手に取った。ノンフィクションではなく、創作が入っているとは知らなかった。内容は、嫌だなぁとかお世話になった人には感謝しなくちゃとか、今でも分かる感情の波が見れて良かった。平安時代の本が今も読めることに不思議な気持ちになる。
Posted by ブクログ
20241231050
「をとこもすなる日記といぬものををんなもしてみむとてするなり」の序文しか知らなかった。千年以上前の土佐から京都まで55日間の旅。遅々として進まない旅路と自分の今後を重ね合わせたのだろうか。