あらすじ
周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
興味深い一冊だった。
ハッキリと他者から見て結合双生児とわからないことによる杏と瞬の生きていく上での難しさを感じた(私は結合双生児と言えばベトちゃんドクちゃんしか知らなかった)。
特に瞬と周囲が「瞬」を認知するまでに5年かかったのが辛い。
とはいえこの作品はあくまでも杏と瞬の日々の生活のお話しであり、また彼女らの死生観について描かれているのかなと思った。彼女たちにとってはこれが「普通」なのだから。
どうでもいいことだが私のような先天性心疾患の子が生まれる割合は100人に一人。
誰の隣にも、マイノリティは存在する。
Posted by ブクログ
芥川賞受賞作とのことで手に取りました。事前情報ナシで読んでびっくり。冒頭、「胎児内胎児」だった父親の話に圧倒されながらもなんとなく主人公の女の子ふたりの描写に違和感を感じ…ふたりが「結合双生児」と分かった時の衝撃。はじめは正直その稀有な障害が興味深くて読み進めていましたが、しだいにその特異性は気にならなくなり、自分とはアイデンティティとは何か…と哲学書を読むように夢中になりました。瞬が死にかける終盤は、本来体験不可能なはずの死の感覚を体験したようで、不思議な気持ちに…。これはすごい作品ですね。
Posted by ブクログ
意識と思考
最初の5ページくらい
「2人とも」とか
「懐かし」とか
???やって
あ、そういうことってなって
読み直しました
読むという行為を意識的に行いながら
思考している自分に気づく
お医者さんで作家が多いのはなぜかと
Geminiちゃんに聞いてみた
Posted by ブクログ
とても変わったお話でした。
結合双生児という、ひとつの体に二つの人格を持った姉妹の物語です。
彼女らをみていると、意識というものはすべての臓器から独立していることがはっきりしますが、それは誰しも同じだというのが本書の主旨。
自分だけの体を持っている人はいない。
みんな気がついていないだけで、みんなくっついて、みんなこんがらがっている。
自分だけの体、自分だけの思考、自分だけの記憶、自分だけの感情、なんてものは実のところ誰にも存在しない。
いろんなものを共有しあっていて、独占できるものなどひとつもない。
こういう感覚について今まで考えたことがなかったのでとても不思議な心地がしました。
分人、とも少し違う・・・
理性では分かっていても本能に負ける、とか、飲酒した際や(人によっては)運転中に人が変わる、とか、そういうところに出ているのかなあ。
捉え方のニュアンスだけ理解したような、してないような。。
Posted by ブクログ
こちらも読みやすい芥川賞。
最初に興味を持ったのは本作のほうだった。
結合双生児という、我々の世代は手塚治虫の「ブラックジャック」で描かれた世界を想像する。ツカミはOKというところか。
最初は、父親と伯父の関係から語られる。彼らも「胎児内胎児」という珍しい関係でこの世に産み落とされた。しばらく、その話が語られ、本作の主人公のふたり、杏と瞬が結合双生児という種明かしは、少し経ってから。知らずに読んでいたら、その場面で、はっ、と息をのんだことだろう。
あまり事前情報を入れて読むのものではないなと、残念な気がした。
杏と瞬のふたりの、それぞれの一人語り、一人称で物語は語られる。
杏が語っているときは「私」、瞬は「わたし」と書き分けがされていることに気づくと、どこが杏で、どこから瞬なのか、その切り替わりを楽しみに読んだ。
物語は、身体のほぼ真ん中でぴたりとくっついた結合性双生児の故の、生きづらさ、身体的な不都合、そしてやがて迎えるふたりの分離手術といった外的な話になるのかと思ったら、むしろ、意識や感情、記憶といった内面の問題へと深化していく点は興味深かった。
その宗教的、哲学的とも言える思索が、やがて他人と自分との関係や、自己の特異性の問題へと発展していく。
主に、杏がその思索を深めていくようだが、自分だけの体ではないものを持つ結合性双生児だからこそ持ちえた、結局のところ自分だけの意識、自分だけの感情、自分だけの記憶は、誰も持ちえないのではないか、誰もが、それが結合性双生児ではない普通の人間であっても、
「いろんなものを共有しあっていて、独占できるものなどひとつもない」
と気づくクダリが本作のハイポイントだったろうか。
そして最終章、「私」と「わたし」の書き分けが混乱してくる。
最初は、あれ? ここ書き間違ってないか?と思ったが、ちがった。杏と瞬の意識が、混同していく。というか、一体化を強めていくのであった。
そうして、これは杏、瞬のどちらかの死、肉体的な死ではなく、意識の死を迎えるのかと身構えて、ラストを迎えることになるが・・・。
なかなか読み応えがあった。