【感想・ネタバレ】サンショウウオの四十九日のレビュー

あらすじ

周りからは一人に見える。でも私のすぐ隣にいるのは別のわたし。不思議なことはなにもない。けれど姉妹は考える、隣のあなたは誰なのか? そして今これを考えているのは誰なのか――三島賞受賞作『植物少女』の衝撃再び。最も注目される作家が医師としての経験と驚異の想像力で人生の普遍を描く、世界が初めて出会う物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

直前にたまたま『記憶する体』を、数年前に『わたしの全てのわたしたち』を読んだからか、すんなりと読めた。
どちらも、自分の体であってそうでない。体とは意識と記憶があってこそ自分だけの体たらしめている(自己解釈)
作品はさらに死についても書いたが、結局は魂の話なのかなと感じた。
杏が舜を発見(舜の意識が発現)する最後の件は、小さな体でもう1人の人間の大きなパワーを感じさせる情景(主人公の行動の意味は全く不明だけど笑)で印象に残った。
流れるように視点が変わるのも2人の意識を共有するかのようで興味深い。
芥川賞受賞作は難解で意味わからず突拍子もない作品と偏見があっえ敬遠していたが、結合双生児について予備知識があったからか、この作品は読んでいてとても興味深く面白かった。

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2025年09月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結合双生児が主人公のお話。感想をどう書いていいか、わからない。でも、透明感を感じる文章・文体が好き。自我とか自意識って、なんだろうね。興味深く、あっという間に読み終えました。

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2025年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第171回芥川賞受賞作品。

主人公は29歳の結合双生児、濱岸杏と濱岸瞬の姉妹。
皆さんは、1つの体に2人の人間が宿っている状態を想像できるだろうか。
ある2人のベトナム人、「ベトちゃん」と「ドクちゃん」の名前をあげれば解像度を上げることができるかもしれない。

しかし当作品の主人公との決定的な違い、それは頭も腕もそれぞれ自身のものを有しているということである。つまり、主人公の2人は完全なる1人の人間としてのひとつの体を持つ中で、2人の意識が存在しているという事である。

そんな複雑性を抱える主人公が、自我と自己に対する葛藤やそのような状態にあるからこそ生まれる心情を描く。


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P9 L12「内臓をのぞくとだと恐る恐るレンズに目をよせたものの、そこにはみずみずしい桜色の光景が広がっていた。素人でもわかるほど健康的な光景で、薄ピンク色の粘膜に光がきらきらと反射して見惚れるほどだった。」

P24 L2 「父は生まれた後でも、兄様の体内に居座って自分の肺で呼吸すらせずに酸素を横取りして、十ヶ月(母の中)と十二ヶ月(伯父の中)もの間、外の世界に放り出されずにすんだのだから呑気にもなる。」

P58 L11 「一つの意識で一つの体を独占している人たちにはそれがわからない。思考は自分で、気持ちも自分、体もその感覚も自分そのものであると勘違いしている。自分の気持ちが一番大切、なんていう言葉を聞くたびにニヤニヤと含み笑いをしてしまう、単生児は自分だけで一つの体、骨、内臓を保有していて思考や気持ちを独占する代わりに、その独占性に意識が制限されている。いや、意識を制限しているのは、この思考や気持ちは自分のものだという傲慢さによるものだ。」

P110 L1 「死は主観的に体験することのできない客観的な事実である.....死に往く過程やその苦しみは体験できても、死そのものを体験することはできない」
「生と死は意識が自らの崩壊を防ぐために生み出した最大の誤謬である」

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2025年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初は普通の姉妹の物語だと思って読み進めていたのに、一人称が「私」と「わたし」で入り混じっていることに気づいた瞬間、一気に物語に引き込まれた。
著者が医者だと知っていたので、少し構えて読み始めたが、医学的な専門知識はほとんど登場せず、医学に明るくない私でもとても読みやすかった。
姉妹や兄弟で性格が違うのは当たり前のことで、例えば「頭は二つで胴体が一つ」の有名な結合双生児たちの例はすんなり受け入れられるのに、「頭からつま先まで一つの頭に一つの胴体を共有している」となると、なぜか途端に特別な設定のように感じてしまう。その自分の感覚が不思議だった。
でも、その違和感こそがこの物語のカギであり、姉妹の性格や思考の差異、周囲の反応を通して「意識とは何か」「肉体とは何か」「人間の本質とは何なのか」を深く考えさせられる、大きなポイントになっている。
ページ数も少ないためテンポよく読め、設定もテーマも明瞭でとても興味深い作品だった。

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2025年11月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芥川受賞作。『わたしの全てのわたしたち』のような結合性双生児を題材としたもの。何冊か読んだ朝比奈さん作品ではこちらが一番合わなかった……

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2025年09月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

筆者が医師であるという紹介文を読み終わってから読んだ
題名とても良いし、嫌味のない文章だった

さすが医師というか、こんなことあるんだっていうレアの中のレアケースのような人々
ブラックジャックのピノコを思い出したり

瞬と杏は二人で一人
見た目は一人でも考えていることや性格は全く違う

さてここでどうだろうと思った
人ってみんな一人に見えるけど、全く違うこと言ったりやったりする
小さい頃からずーっと同じ人はいないし
私は幼少期、内気だと、言われて育ったけど
今は周りの人にそうは思われてないみたいだし

自分は変わったつもりはないけれど、小学生の頃から会ってない人は
この人は別人と思うのではないかと思った

片方が死んだらもう片方はどうなるのか
出てこなくなるのか
そして思い出や、思い出すこともバラバラなのか
そう考えると思い出すことは一方向だからきっと私は一人なんだろうな

サンショウウオの形が、胎児の形にそっくりだなと思った

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2025年08月09日

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