【感想・ネタバレ】古本食堂 新装開店のレビュー

あらすじ

さみしい時もうれしい時も本はいつだって、寄りそってくれる。大ロングセラー『古本食堂』が満を持して、新装開店。美味しいごはんとあなたの物語がここに!珊瑚(70代)は急逝した兄の跡を継いで、神保町で小さな古書店を営んでいる。親戚の美希喜(20代)が右腕だ。作家志望の悩める青年や、老母のために昭和に発行された婦人雑誌を探している中年女性など、いろいろなお客さんがやって来る。てんぷら、うなぎ、カレー……神保町の美味しい食と思いやり深い人々、人生を楽しく豊かにしてくれる本の魅力が沢山つまった極上の物語。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 古本食堂第二巻!今回は、「変化」をイメージさせるような描写が多かった。
 店の小さな営業形態の変化から始まり、周りも新たなる人間関係ができたり、新しいことに挑戦しようとしたり失敗したり、引退して別の場所に住もうとしたり、店がしまったり営業形態が変わったりして入れなくなったりと目まぐるしく変わっていく。神保町全体が変わりゆくのだ。寂寞や新たなる世界への高鳴りを感じさせる描写が多いがとくにグッときたのは、親の変化を描く部分。認知症のはじまった母が過去の思い出を思い出してくれるシーンには、懐かしさと悲しさとが同居して涙してしまう。
 さらに物語最終盤では主人公珊瑚が北海道に帰ってしまう!そしてそこでの生活を再び楽しむことで、いつか自分がそこに帰ってしまうこと、今いる東京を捨てていってしまうことを宣言するのである!これには驚いた!一巻のころ、北海道の生活や恋人や友人達を珊瑚さんが楽しんでいたのも事実であり、東京に馴染むにつれてそれを忘れていってしまうのではないのかと少し不安になったのを覚えている。
 大きな人生における変化は新しい世界へと足を踏み入れることだ。だがそれは古い世界を捨てていくと言うこと、それが楽しい日々であったからばなおさら、その未練や思いは断ち切れるようなものではない。故に珊瑚さんは帰ってしまうのだし、故に美希喜の今書店員として楽しみ変化しつつある日々はいつか決定的に変わってしまう。今ある楽しい時間は終わってしまう、そんな終わりを予感させる、だがその終わりはまだ遠く、向き合う時間がある。そんな感じの終わり方であった。制限時間のついた日々がどんなものになるのかは三巻以降で見れるだろうか…?
 また別の見所としてカメラが主人公の兄慈郎に移り、その視点になるところも面白かった。完璧超人に見えた慈郎の俗的な一面を持ち、宝くじをぼんやり望んだりお金に悩んだりと同じような悩みを持っていて変化を恐るような期待するような部分があったのである。只人である以上不可能だが、完璧に見える誰かも自分たちと同じような俗っぽさがあり、あるいは俗っぽい自分たちも誰かに完璧に見られているやも……という人間の多様な視点と主観による無限の広がりを感じさせる。いつも自分勝手な。他には奏人のそっけない優しさや、同じ本を読んでも人生の時期によっては別の意味や内容を見つけられという更級日記のパートも共感できグッドポイント!

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2025年11月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古本屋さんの店内に珈琲+本一冊、なんてメニューがあったら絶対惹かれるな…。
どこかの古本屋さんでやってくれていないだろうか。
最後、珊瑚さんがする決意には胸がぐっときた。
幸せになってほしい。そして続編希望。

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2025年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古本食堂の続編。
辻堂出版の社長や珊瑚さんがリタイア後の生活を思い描き始め、若者たちが、文壇カフェへの夢を膨らませ、コラボイベント、本付きコーヒーなど神保町の古い町並みに新しい風が吹き込む。
両親の介護、看取りの後まもなく兄の書店を引き継ぐために慣れ親しんだ土地を離れ上京してきた珊瑚さん。遅れてきた青春よろしく、ずっと後回しにしてきた自分を解放し、故郷に戻ってなかなか戻るきっかけのつかめない姿は微笑ましく、さもありなん、と思う。
次作が出るとすれば、社長や、珊瑚さんは古書店から退いた後になるのかな。
ちょっと寂しい気もするけれど、本の街神保町が若い力でどんな変貌を遂げてゆくのか、それも見てみたい。

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2025年07月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

古本食堂の続編。素人ながらも周囲の力も借りつつ古書店をやりくりする珊瑚と美希見。古本と美味しい食べ物の魅力を背景に主人公たちの恋愛を含めた人間模様を描く。

珊瑚さんのエキセントリックな行動、その気持ち理解はしたいが、それでも自分がやり始めたことをそんな形で投げ出していいんだろうか?何も東京に居続けろと言ってるんじゃなく、いったん東山さんのところに行ったとしても、1週間ほどで帰ってきて、きちんと長期に戻る段取りをして…とか、なんでも方法はあるだろうに。

恋愛の衝動で周囲を不幸にする物語は世の中にたくさんあるんだが、なんだかすっきり割り切れない。この店で働くといった見希喜ちゃんの言葉尻を人質にとったような行動に見えてしまって、後味悪いなぁと。そしてその後味悪さが、続編を嘱望する期待になっている。

単に良い話にしないところは上手いし、付録の花見掌編が余韻をより深くする演出もすげーなと

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2025年09月19日

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