あらすじ
『七夜物語』の世界を冒険した少女と少年、それぞれの子どもたち──鳴海絵と仄田りらの日常を描く。2010年から2011年を舞台に、10歳から11歳へと成長する2人の変化の兆しと、子どもたちを取りまく世界を鮮やかに捉えながら、ささやかな人の営みと、そのきらめきを届ける物語。
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Posted by ブクログ
前作の七夜物語は、新聞連載で欠かさず読んだ。
さよと仄田くんはくっつかないのか‥しかも夜の冒険を覚えていないのか‥。と、ちょっと切ない気持ちで読み終えたのを覚えている。
さて続編、仄田くんの娘りらと、さよの息子絵が主人公。前半は、小学生2人の学校生活や家庭での話をメインに、子どもの内面をこれでもかと掘り下げてくる。自分が子どもの頃何をどんなふうに考えていたとか、ほとんどが忘却の彼方なんだけど、作者の川上さんは覚えているのかな、っていうぐらい、とてもリアルに思えた。
絵は学校生活をわりと謳歌してるけど、仄田くんに似てちょっと変わり種のりらは、イジメに遭っている。2人は仲良しなのに、りらの境遇を気にしつつも表立って行動できない絵の葛藤に、読んでいるこちらも心苦しくなってくる。それでも、真剣にりらの事を考える絵。かっこいいぞ。それにしても、りらは心が強い、というか柔軟?他の子とは一線を画しているのが、仄田くんの子だなと思える。でも傷つかないわけではない。まだ小学生だからね。クラス分けでいじめっ子と離れて、高校生になる頃には友達もできる。良かったね。
後半、りらが公園で知り合った女子高生のメイの養親が、くちぶえ部の2人だったり、仄田くんが突然「グリクレル」ってつぶやいたり、前作の片鱗が出てくると、おおっ!てなる。そして、仄田くんとりら、さよと絵が、またしても夜の学校でグリクレルに遭遇した場面。グリクレルは相変わらずだし、途中まで、グリクレルのいる世界は出てこないかと思ってたので、嬉しい驚きだった!仄田くんとさよも当時のことを話しているから、2人は忘れたわけではなくて、心の深〜い所に仕舞い込んでいるんだな、とわかる。大人になった2人が当時のことを顧みる会話、めっちゃ嬉しい!りらと絵は、グリクレルに命じられて、大切なものを探しにいく。結局見つからないけど、何が大切なのかをたくさん考えて、ちょっと成長してる。ちょっとなのが、いい。あと、謎のやまもともと。謎のままだった。
現実世界に戻った4人、大人2人はまた覚えていないけど、りらと絵がちゃんと記憶があるのは意外だった。仄田くんとさよとの違いはなんだろう?
もう一つ、前作と真逆だったのは、ラストの、未来の話。りらと絵は結婚したのだ!しかも、2人の娘と、メイの息子が結婚した模様。仄田くんとさよは別々の人生を歩んだのに、次の世代でまた重なるって、いいよね。子孫が、またグリクレルに会うのかな〜とか考えると楽しくなる。
続編を読むといつも思うけど、前作をまた読みたくなる。七夜物語、終わる頃にすごく寂しくなったけど、また初めから読む事を思うとちょっとワクワク。楽しみ!
Posted by ブクログ
前作『七夜物語』の主人公鳴海さよと仄田鷹彦の二人は、冒険のあとそれぞれの人生を送り、大人になった。
そしてさよの息子の絵(かい)と仄田君の娘(りら)は小学4年生、同じ学校のクラスメートである。
りらは、クラスの女子三人組にいじめられている。
父親の仄田くんもそうだったように、頭はいいのに空気を読まない、少し変わったところがあるからだ。
絵はりらがいじめられている事に気付いても、しばらくは何もしなかった。
どうしたらいいのかわからなかったし、そのことについて考えるのも気が重かったからだ。
ふたりが冒険に出るきっかけはそういうことだったのだけど、そこに至るまでの絵の日々、りらの思いなどが丁寧に、薄紙を重ねていくように少しずつ描写されるので、本人たちにも気付けないふたりの戸惑いやもどかしさが、かつて子どもだった大人にもじんわりと伝わってくる。
りらは、お父さんはりらのことをわかろうとする人だと思っている。お母さんはわかるより、安心したい人なのだと思っている。
だから、りらはいじめられていることをお母さんではなく、お父さんに話した。
そして、お父さんは「二人で冒険に行こう」と言った。
思った通り、二人はそこでグリクレルに会い、お父さんは子どもの姿になっていた。
なぜだか絵も子どもの姿に戻ったお母さんと合流することになって、りらと絵は「大切なもの」を探しに出かけることになる。
その中で、二人が気づいたこと。
”えらい気持ちになると、いろんなことが、見えなくなっちゃう”
”たしかに、自分がえらい、っていう少しいばった気持ちになると、こまかいことをかんさつするより、自分がすごい、っていうことをうれしがることがいそがしくて、それだけでいっぱいいっぱいになる”
つまり、自分の自尊心を守るために、他人を貶めたりいじめたりするのではないか、と。
それに対抗するための「大切なもの」とは。
冒険が終わった時、絵は、自分のまわりにいる人たちのことを大切だ、と気づくのだが、しかしそれはずいぶん安易な結末だな、とも思っている。
安易ではダメなのか?とグリクレルに聞いてみたら、いいとかダメとか決めるのも安易じゃないのか?と返ってきた。
深いね。
でもって、その後、絵は「大切なものはね、いっぱいあって、一つだけじゃないっていうことを、見つけた」
そうだね。
自分の中に「大切なもの」がたくさんあるとわかっていれば、相手にも「大切なもの」があると思えれば、人間関係が時にこじれても、自分を大切に思っていられるね。
そして、生きていれば「大切なもの」って変わっていくこともある。
ぬいぐるみが一緒じゃなくても眠れるようになったり、親友が替わったり、離婚したり。
自分の核になる「大切なもの」、自分を成長させる「大切なもの」。
最終章は、りらと絵のその後。
明日は、よく晴れたいい日でありますように。
Posted by ブクログ
もう一回7個夜を越えなきゃいけないのかと前作を読んだあと重い腰をあげて読んだが、違いました。
元はと言えば装丁が気に入り購入した後、「七夜物語」という作品の続編であることに気づき、七夜物語を読み倒してから読んだ。
単なる続編じゃなく、きちんと一つの物語として偉大で、描きたいテーマの一貫性が見えてよかった。
Posted by ブクログ
仄田くんとさよの子供達りらと絵が紡ぐ続編.もちろん二人も親となっての登場.小学3年生の悩みなどから人生哲学のようなものまで壮大に広がる世界観.グリクレルも登場して懐かしい.