【感想・ネタバレ】坑夫(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

恋愛事件のために家を出奔した主人公は、周旋屋に誘われるまま坑夫になる決心をし、赤毛布や小僧の飛び入りする奇妙な道中を続けた末銅山に辿り着く。飯場にひとり放り出された彼は異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深く降りて行く……。漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意識的に排して描いたルポルタージュ的異色作。明治41年、『虞美人草』に次いで「朝日新聞」に連載された。(解説・三好行雄)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

実在の人物の経験を基にした作品と聞いた。無知と無鉄砲さ、生死に対しての軽さが、この若さのリアルで、いつの時代も人間というものは変わらないのかもと思わされた。心は固形体じゃないと考えているところなんか、とても共感した。
暗い坑の中で1人考えるところが印象的だった。
周りにいくら教えられても、自ら経験していく順序を追わないと答えの出せない気持ちは分かる。この、東京に帰ったという事実だけ淡々と最後語られるところが、主人公が人間を知り社会を知り大人になったということを感じさせる。
サラッと終わったのに不思議な余韻がある。

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2018年06月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前作の『虞美人草』とは打って変わって、生々しい現実が牙を剥くような、異様なおぞましさを放つ作品でした。

恋愛事件のために東京の家を出奔した主人公の19歳の青年は、周旋屋の長蔵に誘われるまま坑夫になる決心をし、栃木の足尾銅山に向かう。途中、周旋屋から勧誘された"赤毛布(あかげっと)"や"小僧"も加わり、奇妙な行程を経た末銅山にたどり着く。
飯場にひとり放り出された青年は、異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深くへ降りて行く…。
漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意図的に排して描いたルポルタージュ的異色作。

『虞美人草』の直接的な続編ではないものの、恋愛事件がきっかけで出奔している点は『虞美人草』の小野を想起させます。
また、主人公が自らの育ちの良さを自嘲するあたり、『坊っちゃん』の変奏のようでもあります。
しかし、紋切り型だった前作の人物造形とは異なり、本作の主人公が血肉の通った、揺れ動く人物として描かれているのが印象的。
周到に用意された舞台のような『虞美人草』に対し、容赦のない現実をつきつける『坑夫』は、好対照をなしているように感じます。
むしろ、前作を批判的に描き、乗り越えようとした「続編」と呼ぶこともできそうです。

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2023年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

肉体労働の仕事に就くか否かで迷ってて、少しでも参考になるかと思って読んだ。


坑夫になる前の心境、なってからの心境。
なってはみたが、辞めたくなる心境。

漱石も言っているが、人間の心とは変わりやすいものだ。

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2012年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(個人的)漱石再読月間の7。15作品の半ばまで来ました。

異色作。
地獄のような最底辺の話で、「それから」の高等遊民の世界が好きな私にとって、これは胸つき八丁。
後半の地底も辛いが、そこに到着するまでの山越えがキツい。主人公がまだ今までいた世界と別れる踏ん切りがつかないところがその要因かと。

の後は何回も読んだ作品群なので楽勝かと。

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2020年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ボンボンが色恋沙汰に疲れ、坑夫になろうとする話。
『虞美人草』を下地にしている、っていう背景があるらしいので、関連させて読むとさらに深まるかも。

結局主人公は坑夫にならずに帰ってくる。「ここまで引っ張っといてならないんかい!」と思わずつっこんでしまった。心理描写も他の漱石作品と比べたらあっさりに感じる。

けれど炭坑に向かう道のりの怪しさや、坑道内の息が詰まりそうな雰囲気が幻想的かつリアルに映像として迫ってくる文章なのは流石漱石。坑夫達が生きる世界が生々しく「こんな現実もあったんだ」と、なんだか『闇金ウシジマ君』を読んだ時のような気持ちになった。
社会の裏部分を覗きたい人にオススメ。

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2013年03月19日

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