【感想・ネタバレ】硝子戸の中(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

硝子戸の中から外を見渡しても、霜除けをした芭蕉だの、直立した電信柱だののほか、これといって数えたてるほどのものはほとんど視野に入ってこない――。宿痾の胃潰瘍に悩みつつ次々と名作を世に送りだしていた漱石が、終日書斎の硝子戸の中に坐し、頭の動くまま気分の変るまま、静かに人生と社会を語った随想集。著者の哲学と人格が深く織りこまれている。(解説・石原千秋)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

夏目漱石晩年のエッセイ。
解説に詳しく書いてありましたが病気をしながらも
何とか生き長らえている自分に対比して
いつの間にか亡くなってしまう知人を思い
生への執着について哲学的に述べているところが印象に残りました。

また漱石の生い立ちや日々の生活が垣間見えて
親しみを感じました。

それにしても漱石は思慮深く、その考えを的確な表現を
用いて述べているので理路整然としており
その頭の良さを再認識させられました。

個人的には人間は死ぬまで自分は死なないと思っている
みたいな文章の部分が特に印象深く残っています。

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2018年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

知人などが死んでいく話も多いが淡々としている。
自分の歴史を小説にしてほしいと言ってきた女とのやり取りが特に印象に残っている。流れに身を任せて、大切な記憶が薄れていっても平凡でも、生きるほうが適当としたその判断が心を打った。
平凡でも生きている。悩み尽くし疑い尽くしたが故の平凡なのではないか。
魂を自由に遊ばせるという表現が、軽やかで好きだ。
最後、春の景色と心の状態が穏やかに描かれており読んでいて心地よい。満足感が見える。

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2017年08月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

夏目漱石の家を訪れた人、過去の友人や知人、家族などの思い出を淡々と書き連ねた作品。
今風で言うところの"自分語り"と揶揄できるかもしれないが、読んでいると目の前で漱石が自分に語りかけているような感覚を覚える。
この本を読めば、漱石の思想に直接的に触れることができる。
圧倒的語彙力は同作でも健在で、夏目漱石は日本語の天才だと改めて思う。

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2019年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

(個人的)漱石再読月間。小説15作品と短編集3冊。これにてファイナル。

漱石先生の亡くなる前年に書かれたエッセイ集。病床から外を眺める静かな諦念。思い起こす面倒だったあの人も恋しい母も懐かしい幼なじみももはや亡い。

2020年4月から5月。特別な時間の中で、「いつか、気力的体力的もしくはその他の理由で本が読めなくなる時が来る。その前にこれだけは再読しておきたい。そうすれば読書人生に悔いは残らない」とぼんやり考えていた計画を、いきなり実行に移す時が来てしまった。家にこもってただひたすらに読書読書の日々。

これでほぼ達成。なんとも言えない充実感。
プルースト先生、埴谷先生、漱石先生、ありがとうございました。もういつでもOKです。

さて!ここからは徐々に普段の読書生活に戻していきますよ。(世の中が戻ることが大前提ですが祈)





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2020年05月21日

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