あらすじ
長井代助は三十にもなって定職も持たず、父からの援助で毎日をぶらぶらと暮している。実生活に根を持たない思索家の代助は、かつて愛しながらも義侠心から友人平岡に譲った平岡の妻三千代との再会により、妙な運命に巻き込まれていく……。破局を予想しながらもそれにむかわなければいられない愛を通して明治知識人の悲劇を描く、『三四郎』に続く三部作の第二作。(解説・柄谷行人)
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Posted by ブクログ
最後まで読み進めて本当に良かった。そう思えるほど、漱石の描くプラトニック・ラブが熱かった。
「それから」をどのように連想できるかが、その人の有する道徳心の表れであり、倫理観の限界なのではないだろうか。
Posted by ブクログ
「ええ、まあ有難いわ」と三千代は低い声で真面目に云った。代助は、その時三千代を大変可愛く感じた。わかる、急に真面目な態度取るの可愛い。
代助の結婚や未来へのモラトリアムは甘えだけど気持ちはわかる、彼はただ彼の運命に対してのみ卑怯であった。何も選択せずその日暮らしだと確かに楽だよね。
真剣な話し合いの時には酒を飲まない方が誠実だという価値観、この頃もあるのね。
251ページから物語がやっと動き出す感じ、グンと面白くなる。「僕の存在には貴方が必要だ。どうしても必要だ。」ストレートな告白がいいねやっぱり。
夜明けを「世界の半面はもう赤い日に洗われていた。」って表現するのかっこいい。
最後は狂気に向かうと解説されていたが、世間体や家族、友情を捨ててまで愛を選んだ代助が幸せなその後を迎えることを願う。
Posted by ブクログ
終わりに近づくにつれてどんどん苦しくなっていく展開でしんどかったです。代助のしていることは自業自得と思いつつ、一人の女性にこだわって家族や友達と絶縁される様子には少し同情してしまった。最後に三千代がどうなったのかだけ気になる。
Posted by ブクログ
親の脛をかじり悠々自適に暮らして来た代助。金に困らぬ故か、冷静かつ平常心でいる事を常としていた。
が、平岡夫妻が上京し、三千代が不幸と知る。三千代へ気遣っているうちに、次第に慕情が募ってくる経過が見事だ。あの代助が、三千代の為なら今までの自分を全て捨てて一緒にいたいと。
最後は、果たして代助と三千代は一緒になれるのか不安な終わり方で、読者に委ねる形か。後半から夢中で読んだ。