あらすじ
わけありの女たちを診療するおゑんの許へ、何かを極度に怖れている妊婦が訪ねてきた。彼女は目を血走らせ、十両を差し出しながら言った。「お願いします。この子を産ませてください」と――。
後日、吉原惣名主に依頼され診ることになった女郎も、奇矯な妊婦だった。大店の主人に身請けされることが決まっていて、その子を身籠っていながら、「産みたくない」と叫びながら自死しようとしたのだ。
彼女たちは何者で、何故、一人は出産を望み、もう一人は出産を拒否するのか? 疑念がきざしたおゑんは、遊女連続死を調べる過程で親しくなった吉原の用心棒・甲三郎や薬草に詳しい末音らの力を借り、その謎に迫ろうとするが……。
「読売新聞オンライン」人気連載、待望の書籍化。
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Posted by ブクログ
闇医者おゑんシリーズ第4作
前作で縁のできた吉原の惣名主川口屋から呼び出され、妊娠した遊女が身請けが決まったのに自殺未遂し、様子がおかしいので見てほしいと頼まれて診たところ、呆然としたり「生みたくない」と錯乱したりなので、おゑんは自分の診療所で静養させて様子を見ることにする。
おゑんがひっかかりを感じていると、身請けした薪炭商の備後屋の番頭が様子を見にくるものの違和感を感じて、監視役の甲三郎に跡をつけさせるが見つからず、翌日死体で発見される。皆目見当がつかないなか、何が出てくるかと薮(備後屋)をつつき、遊女の身元を調べようとすると、出てきた犯人は備後屋の番頭と川口屋の用心棒の一人。さらに備後屋の主人は遊女が巻き込まれた凄惨な事件を知っていた。
前の患者が産んだ赤ん坊の世話をして、遊女は産む決心をする。川口屋と備後屋から資金を得て、おゑんは診療所を建て替え、訳あり出産の赤ん坊の養子まで行う施設を建設する。
Posted by ブクログ
今回は命を落とし子を産む女性や里親の元で死んでしまう子など悲しさとやるせなさを感じる始まり。親を失った子のこれからがメインになるのかと思いきやフラッシュバックの話。おゑんさんも含めてお喜多さんや備後屋の幼い頃の惨い思い出が辛い。最後のお喜多さんには驚いた。
甲三郎がすっかりおゑんさんファンのよう。