あらすじ
たまたま台所にあったボウルに入っていた食用かたつむりを目にしたのがきっかけだった。彼らの優雅かつなまめかしい振る舞いに魅せられたノッパート氏は、書斎でかたつむり飼育に励む。妻や友人たちの不評をよそに、かたつむりたちは次々と産卵し、その数を増やしてゆくが……中年男の風変わりな趣味を描く「かたつむり観察者」をはじめ、著者のデビュー作である「ヒロイン」など、11篇を収録。
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Posted by ブクログ
ヴィム・ヴェンダース監督「PERFECT DAYS」(パーフェクトデイズ)にて、平山(役所広司)の妹の娘ニコ(中野有紗)が、平山の部屋の文庫本を読んで、
「おじさん、わたし、この『すっぽん』って話好きかも。ヴィクターって男の子の気持ちがわかるっていう意味」
母が迎えに来たとき、
「おじさん、ねえ、おじさん。わたし、ヴィクターみたいになっちゃうかもよ」
という場面が強烈だったので、積読を崩してみた。
勝手に初読のつもりでいたが、実は「厭な物語」(文春文庫)で「すっぽん」のみ既読だった。
再読してみて、確かにこの作品への言及は大きい要素だなと思った。
また、他の短編も読んでよかった。
作者が同性愛者で、雌雄同体のかたつむりへの興味が云々ということは知っていたが、「かたつむり観察者」、「「クレイヴァリング教授の新発見」が強烈に恐ろしい話で、むしろ笑ってしまった。
また、「恋盗人」、「ヒロイン」、「からっぽの巣箱」のような主観の歪みというか偏りがポイントになる話も多く、好みだった。
奇妙な話という点で藤野可織とか、謎動物が象徴になるという点で小山田浩子とか(特に「からっぽの巣箱」)を連想した。
◇序――グレアム・グリーン
■「かたつむり観察者」‘The Snail-Watcher’
■「恋盗人」‘The Birds Poised to Fly’
■「すっぽん」‘The Terrapin’
■「モビールに艦隊が入港したとき」‘When the Fleet Was in at Mobile’
■「クレイヴァリング教授の新発見」‘The Quest for Blank Claveringi’
■「愛の叫び」‘The Cries of Love’
■「アフトン夫人の優雅な生活」‘Mrs. Afton, Among thy Green Braes’
■「ヒロイン」‘The Heroine’
■「もうひとつの橋」‘Another Bridge to Cross’
■「野蛮人たち」‘The Barbarians’
■「からっぽの巣箱」‘The Empty Birdhouse’
◇解説 関口苑生