あらすじ
たまたま台所にあったボウルに入っていた食用かたつむりを目にしたのがきっかけだった。彼らの優雅かつなまめかしい振る舞いに魅せられたノッパート氏は、書斎でかたつむり飼育に励む。妻や友人たちの不評をよそに、かたつむりたちは次々と産卵し、その数を増やしてゆくが……中年男の風変わりな趣味を描く「かたつむり観察者」をはじめ、著者のデビュー作である「ヒロイン」など、11篇を収録。
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Posted by ブクログ
ハイスミスの短編は、タイプの異なる独特な世界観がコンパクトに詰まっていて、とても面白かった。
ハイスミスの魅力は何と言っても心理描写。
主人公の頭の中を覗くように「なぜそんなことをしてしまうのか」が見えてきて、人間の本質が浮き彫りになる。
最初は「この人ヤバい」と思っても、だんだん「でもそうなる気持ちも…」と共感してしまうこともあって、善と悪の境目がグラグラしてきてクセになってくる。
私は頭の中で、不安や心配なことを自問自答して脳内反省会をしてしまう癖があるので、登場人物たちの不安や、それを必死に落ち着かせようとする姿に共感してしまった。
これで自分が読むハイスミス作品は4冊目。『太陽がいっぱい』のリプリーのことをなぜ嫌いになれないのか…その理由が少しずつわかってきた気がする。
『かたつむり観察者』★3
カタツムリを愛して飼育した結果、ものすごい数に増殖してしまい…
『恋盗人』★3
隣人のポストから手紙を盗み読みし、隣人になりすまして勝手に…リプリーっぽい。
『すっぽん』★5
毒親が料理用に生きたすっぽんを買ってくると、11歳の息子はすっぽんを可哀想に思い、殺さないで欲しいと母に頼むが…。
読後に善悪を考えてしまう作品で、いちばん印象に残った。
『モビール艦隊が入港したとき』 ★3
暴力的な夫を殺害した主婦が、逃亡先で不幸な人生を振り返る。彼女の行く末は…
『クレイヴァリング教授の新発見』★4
無人島で肉食の〇〇かたつむりに襲われる。
カタツムリ版ジュラシックワールド。
カタツムリが2作品も入ってるなんて。ハイスミスのカタツムリ愛が興味深い。
『愛の叫び』 ★5
孤独な老婦人二人。お互いを必要としながら暮らしているのに、相手が嫌がることをして悲しむ姿を見て喜ぶという、奇妙なハイスミスっぽい世界観。
『アフトン夫人の優雅な生活』 ★5
過激な運動に取り憑かれた夫を心配し、精神分析医に相談するアフトン夫人。医師が夫に会いに行くと、思いがけない展開に…
『ヒロイン』★5
念願の保母の仕事に就けたルシール。
2人の子どもたちをあらゆる危険から命がけで守りたい。どうすればこの想いを雇い主の奥様に理解してもらえるか、ルシールは考えた…
『もうひとつの橋』 ★3
妻と息子を亡くした男が、不幸な家族や、貧しい少年に親切を尽くすが…
『野蛮人たち』 ★3
ご近所騒音トラブルは、国境も時代も超えて存在する。
『からっぽの巣箱』 ★4
謎の生命体「ユーマ」を目撃したことをきっかけに、主人公は過去の罪悪感と向き合うことになる。
Posted by ブクログ
以前「見知らぬ乗客」だったかな?デビュー作、めずらしく投げ出してしまったが、数年ぶりに手に取ってみて正解でした。きっと自分が成長したのだろう(と思いたい)。
かたつむりに魅せられた男の奇妙な話とか(なぜかカタツムリの話が二編も入っている。ハイスミスはカタツムリに何か思い入れがあるのだろうか)、日常の延長線上に待ち構えていそうな、夫婦の最悪な結末が描かれている「モビールに艦隊が入港したとき」とか、私が好きな主題のひとつである”いかれた人”たちが描かれている「ヒロイン」「アフトン夫人の優雅な生活」とか。不気味、とは違うんだけど、どこか一本ずれているような世界に酔い続けていられる短編集でした。
Posted by ブクログ
全部読み終わってみると星ごこ付けずにはおれんかった…。やはりかたつむりです。かたつ無理。
単純に端的に最大の こわい・きもちわるい かたつ無理が表現されているとおもいます。たまらん。
全体的には救いようがない感じ。もやもやぞわぞわしながら、悪いことがおきそう、だめなオチがきそう、と思いながら読んで、あ、だめなパターンやな、となります。「すっぽん」「からっぽの巣箱」とデビュー作やという「ヒロイン」がよかった。ぞわぞわしながら読みました。あっ、いちばん好きなのはかたつ無理の2作ですっ!
Posted by ブクログ
何といってもかたつむり・・・。食欲をなくすにはぴったりの作品をはじめとした短編集。文学的なものを読みたいけど、長編は、というときにいいかも。 心の中の不安をゆっくりとかき混ぜられるられるような。 狂気のふちを爪先立ちで歩くような。その境目は決して高くない。いつ向こう側に渡っていても、気づかないくらいの危うさ。
Posted by ブクログ
ヴィム・ヴェンダース監督「PERFECT DAYS」(パーフェクトデイズ)にて、平山(役所広司)の妹の娘ニコ(中野有紗)が、平山の部屋の文庫本を読んで、
「おじさん、わたし、この『すっぽん』って話好きかも。ヴィクターって男の子の気持ちがわかるっていう意味」
母が迎えに来たとき、
「おじさん、ねえ、おじさん。わたし、ヴィクターみたいになっちゃうかもよ」
という場面が強烈だったので、積読を崩してみた。
勝手に初読のつもりでいたが、実は「厭な物語」(文春文庫)で「すっぽん」のみ既読だった。
再読してみて、確かにこの作品への言及は大きい要素だなと思った。
また、他の短編も読んでよかった。
作者が同性愛者で、雌雄同体のかたつむりへの興味が云々ということは知っていたが、「かたつむり観察者」、「「クレイヴァリング教授の新発見」が強烈に恐ろしい話で、むしろ笑ってしまった。
また、「恋盗人」、「ヒロイン」、「からっぽの巣箱」のような主観の歪みというか偏りがポイントになる話も多く、好みだった。
奇妙な話という点で藤野可織とか、謎動物が象徴になるという点で小山田浩子とか(特に「からっぽの巣箱」)を連想した。
◇序――グレアム・グリーン
■「かたつむり観察者」‘The Snail-Watcher’
■「恋盗人」‘The Birds Poised to Fly’
■「すっぽん」‘The Terrapin’
■「モビールに艦隊が入港したとき」‘When the Fleet Was in at Mobile’
■「クレイヴァリング教授の新発見」‘The Quest for Blank Claveringi’
■「愛の叫び」‘The Cries of Love’
■「アフトン夫人の優雅な生活」‘Mrs. Afton, Among thy Green Braes’
■「ヒロイン」‘The Heroine’
■「もうひとつの橋」‘Another Bridge to Cross’
■「野蛮人たち」‘The Barbarians’
■「からっぽの巣箱」‘The Empty Birdhouse’
◇解説 関口苑生
Posted by ブクログ
ミステリー仕立ての純文学という感じで普段あまり読まないタイプ、というか似てる人があんまいない感じがする。たまにはこういうのも良い。
『ヒロイン』という短篇が一番印象に残ったなーと思いながら解説を読むと、デビュー作だったらしい。初めて触れる作家だとばかり思ってたけど、映画『太陽がいっぱい』やヒッチコック『見知らぬ乗客』の原作者であったとのこと。改めて観直してみたくなった。
Posted by ブクログ
シャーリイ・ジャクスンから毒気を少しばかり抜きとり、世にも奇妙な物語をひとさじ足したような作品集。
「すっぽん」は他の短編集で読んだことがあったけれど、ハイスミスの作風がここまでバラエティ豊かだとは!
ヒッチコック風の「かたつむり観察者」、シャーリイ・ジャクスンみを感じる「愛の叫び」「野蛮人たち」、切ない読後感の「もうひとつの橋」が特に好き。
日常に得体の知れないなにかが入り込み、もう今までの日々には戻れない...という「からっぽの巣箱」もよかった。
ある事象が起きたときに、なぜか過去のやましい記憶を(ほんとうはなんの関係もないとしても)関連づけてしまう、不思議な感覚に共感を覚える。
すっかり虜になってしまったので、ハイスミスの他作品も読んでみようと思う。
Posted by ブクログ
映画「perfectdays」にて取り上げられた本。
それを機に読む人も多いだろうが、私もその1人。
映画の中で、「不安を描く天才」と評されていたハイスミスだが、まさにその通りだと感じた。
人間の根底にある、軸としてある恐怖や狂気を短編で上手く表現している。ハイスミスならではの、含みのあるラストは読者の不安感を拭わせることは無い。
短編でサクッと読めて、それぞれ違った物語が展開されつつも、全体的なテーマとして不安がある。バッドエンド好きには刺さりそう。
Posted by ブクログ
面白いね
解説で稀有な作家と評されるがまさにその通りだと思う。
いわゆる人間の心理を描く繊細さが群を抜いて優れている。
11個の短編の登場人物全てが印象的だった。
それはなぜか。
その答えは彼らが唯一無二であるからだ。
現実の個人が全て異なるのならば、小説の世界の個人もまた全て特異であるべきだ。
この理想にパトリシア・ハイスミスは究極的に漸近した作家といえる。
つまり、登場人物のそれぞれが何かの経験をした時に生じる心理的運びが異様で、奇妙である。
「そうはならないだろ」と突っ込みたくなるが、ふと思い直す。
他者の心理など理解できないのが普通だ。他者とは本来的に奇妙で理解できない存在のはずだ。寧ろ、人々がそれぞれ精神のズレや異様さを抱えて生きている。我々は潜在的な狂気を抱えている人間と社会で互いに同居している。この方がよっぽど現実に即しているのではないか。
他者とは異物なのだ。容易に理解できる他者の方が寧ろ異常なのだ。
ハイスミスの小説は人間の狂気の潜在性と生々しさ、それらと同居する不安を描き出す。これこそ小説の追求すべきリアリズムではないか。
えてして読みにくい小説は長期的に読者を揺さぶり、読みやすい小説は飲み込みやすいがゆえに容易く排泄される。
登場人物がテンプレートにハマった感情移入しやすいものであればあるほど、小説全体は手触りと色彩を失っていく。
彼女の小説は読みにくい。嫌な後味が読後に残る。理解も感情移入もし難い、歪な手触りを持った作品だ。それゆえに我々の胃袋を揺さぶる。揺さぶる。
Posted by ブクログ
短編なのに読み応えがあり、世界観が出ているのが凄い。作者自身がカタツムリ好きなのが分かる。カタツムリが出てくる作品って珍しいのに、11の物語の中で2回も出てくるなんて。「クレイヴァリング教授の新発見」は衝撃でした。あっさり見つかるところから始まるのが意外。
個人的には「すっぽん」と「ヒロイン」が好きでした。
Posted by ブクログ
映画『太陽がいっぱい』の原作であるトム・リプリーものなどで知られるパトリシア・ハイスミスの短編集。タイトル通り11作品を収録している。原題は“Eleven”(アメリカでは“The Snail-Watcher and Other Stories”として刊行)。原著は1970年刊、短編集としては最初のもののようだ(短編自体はずっと以前から書いており、例えば収録作の1つである「ヒロイン(The Heroine)」は1945年に発表されている)。日本での刊行は1990年、その後、2005年に改版されている。
サスペンスやミステリとして評価されがちなハイスミス作品だが、本人はそう見られることを必ずしも快くは思ってはいなかったようである。
本書に序を寄せたグレアム・グリーンは、ハイスミスを「不安の詩人("the poet of apprehension")」と評している。
サスペンスといえばサスペンスなのだが、ドキドキ・ハラハラ、スリル満点、というのとは少々違う。
登場人物たちは、少しずつ、ほんの少しずつ、常軌を逸していく。よくよく考えるとなんだかおかしいのだが、そう思う隙を与えないほど、一歩ずつ、徐々に道があらぬ方へ向かっていく。読者が気がついた時には、呆然とするような場所に連れていかれている。まったくの異世界というわけではない。遠いようで実は遠くない場所。あなたが、私が、もしかすると本当に到達するかもしれない場所。その紙一重の緊張感が、この不穏なハイスミス・ワールドを支えている。
1作挙げるとすれば、「ヒロイン」だろうか。実質的な文壇デビュー作という。
主人公のルシールは若い娘。若干、精神的に不安定なところがある。前にいた勤め先ではメイドとして働いていたが、今度は子供たちの保母として雇われた。子供が大好きで、働き者である。主人一家は親切で、子供たちもルシールのことを気に入ってくれた。
美しい家。かわいい子供たち。恵まれたお給料。絵に描いたような幸福が訪れるはずなのに、そう、もうおわかりだろう、そうはならないのだ。
幕切れのシャープさは本作品集で一番ではないか。
「モビールに艦隊が入港したとき(When the Fleet Was In at Mobile)」も印象深い。暴力的な夫を「眠らせて」逃げ出してきたジェラルディーン。彼女がそんな羽目に陥ったのは、田舎のモンゴメリーから大きな港があるモビールに行ったからだ。工場で働こうとしたのだが、あきがなく、ウェイトレスとして働きだした。そのうち港に小さな艦隊がやってきて、町は水兵や士官であふれた。ジェラルディーンは、船で薬剤師として働くダグラスと恋仲になった。いずれ彼と結婚するつもりだったのだが、少しずつ不運が積み重なっていく。
逃避行と回想が交錯する。ジェラルディーンはどこで間違えたのだろう。モビールに艦隊が入港したときには、彼女のその後の運命は決まっていたのかもしれない。
「愛の叫び(The Cries of Love)」は一緒に暮らす老女2人の友情と確執。2人はひどく傷つけあいながら、なおもともに暮らしている。それはもう腐れ縁と呼ぶしかないのかもしれないが、あるいはある種の愛情であるのかもしれない。
ハイスミスが同性愛者でもあったということを何となく思い出させる。
絵画・木工を嗜み、ネコを愛したハイスミスだが、もう1つ、やや変わった趣味として、かたつむりの観察がある。1作目「かたつむり観察者(The Snail-Watcher)」、5作目「クレイヴァリング教授の新発見(The Quest for Blank Claveringi)」などにその観察眼が活かされている。いずれも十分にグロテスクに描かれ、さて、ハイスミスは本当にかたつむりを「愛好」していたのか疑念も生じるが、丹念な観察こそ「愛好」だと言われれば、それはその通りなのかもしれない。
かたつむりではないが、「すっぽん(The Terrapin)」もぬめりとした手触りを感じさせる作品。思春期の少年ヴィクターと、息子への関心がどこか薄い母、そしてすっぽんの物語だ。
この作品は、映画「PERFECT DAYS」(2023)の中で触れられている。主人公の姪、ニコが、自分もヴィクターのようになるのではないかと不安を覚えるのだ。この物語を読んで不安になる子であればおそらくヴィクターのようにはならないだろう。けれど、不安を覚える気持ちもよくわかる。そんな作品。
Posted by ブクログ
ハイスミスが1970年に出した短篇集。処女長篇『見知らぬ乗客』以前に書かれたものも含む。グレアム・グリーンの序文付き。
ハイスミスって短篇もこんなに上手いのかと驚く(長篇もまだ『キャロル』しか読んでないけど)。ものすごく型がきっちりしているので展開は読めるのだが、スリリングな語り口に引き込まれ、不安を掻き立てられてしまう。津原泰水が自作『11』の解題で『ナボコフの1ダース』と一緒にこの『11の物語』を引き合いに出していたけれど、たしかにナボコフを連想させる技巧派だなぁ。
しかし何が面白いって11作収録のうち2つもヒトがかたつむりに殺される話が入ってるとこ(笑)。普通サイズのかたつむりが大量発生して圧死させられる「かたつむり観察者」と、5m近い巨大かたつむりに噛み殺される「クレイヴァリング教授の新発見」でバリエーションがついているのもこだわりがすごい。読み終わったあと思わず〈かたつむり 歯〉で画像検索したら純粋に恐怖です。
最後に収録された「からっぽの巣箱」も意思疎通がとれない生き物と一緒に暮らす不気味さを書いている。ここにでてくる「ユーマ」(UMA?)というイタチのような動物は高山羽根子『居た場所』の「タッタ」を思い出させる。「すっぽん」では動物側にシンクロした子どもが親を殺すし、ハイスミスはきっとヒトの生理で理解できないタイプの動物にオブセッションがあるのだろう。
個々の作品だけではなく、短篇集としての並びもよい。同居している老女たちがお互いに嫌がらせして仲直りして、やっぱり嫌がらせを繰り返す「愛の叫び」から、妄想の“夫”の精神状態を医師に相談する「アフトン夫人の優雅な生活」を経て「ヒロイン」に達する流れは、それぞれ完結しているのに三つでひとつの作品のようでもある。中でも最初期に書かれたらしい「ヒロイン」が、集中でも一番すごいと思った。お給料燃やそ、から家燃やそ、に移る歪んだ論理とスピード、そこに至るまでの心理描写の積み重ね。犯罪者視点の物語ってその心理を“わかる”と思うからこそ怖いので、ハイスミスの“わからせる”力はこちらの善悪観に揺さぶりをかけてくる。
「ヒロイン」のあとが「もうひとつの橋」なのも家族の喪失というモチーフが響き合っているし、これと「野蛮人たち」との2篇は「愛の叫び」「アフトン夫人」「ヒロイン」と対をなすように男性の心理を描いたもの。そして最後は夫婦が共通の不安を抱えて暮らす物語「からっぽの巣箱」にて、繰り返される運命の予兆を感じたイーディスの声にならない悲鳴で幕を閉じる。作品だけでなく作品“集”の構成も完璧だ、ハイスミス。
Posted by ブクログ
別のアンソロジーで「すっぽん」を読んでから、ハイスミスの短編が読みたくて探していた一冊。
後味が悪いというのとはちょっと違う、自分が今立っている地面がゆらゆらするような不安感というか、異常と正常を隔てる薄い膜が双方向にたわんで、破れそうでギリギリ保ってるようなヒリヒリ感というか。読んでて疲れる一冊。
前書きと解説を読んで、何故か藤村操を思い出した。
"万有の真相は唯一言にしてつくす、曰く、不可解"
Posted by ブクログ
「太陽がいっぱい(リプリー)」の作者でもあるハイスミスの短編集。
デビュー作「ヒロイン」を含む11編が収録。
「かたつむり観察者」では、淡水に棲むというカタツムリ(料理用)の生態に興味を持った主人公が書斎をカタツムリに占領され。。。
どんどん繁殖していく様子が丹念に描かれて恐怖感をあおる。
「クレイヴァリング教授の新発見」では、南海の孤島に棲むという巨大カタツムリを探しに行った教授が味わう恐怖を描いている。実際何メートルもあるカタツムリが襲ってきたらいくら動きがのろくても怖いだろうな。
Posted by ブクログ
11の物語からなる短編集。
映画「PERFECT DAYS」に出てきたことをきっかけに本書に興味を持ち、読んだ。
11ものストーリがあるので、好みのものとそうでないものがあるから、星を付けるのはなかなか難しい。
一番良かったのは、最初の「かたつむり観察者」。何とも言えないおどろおどろしさに、読んでいる最中にゾクゾクし、読み終わってからもジワジワと脳裏に残った。
全体を通して不穏な空気がそこはかとなく感じられるのは彼女の技量であり、らしさなのであろう。
Posted by ブクログ
「太陽がいっぱい」で有名なハイスミス。といってその作品は読んだことがないし、映画もまた観たことがない。なんとなく手に取った本作ですが、意外や意外楽しめました。
とにかく・・・かたつむり!!気持ち悪くって忘れることができないほどのインパクト・・・
Posted by ブクログ
私がもってるのと違う表紙だな、これ…。私のはもう『うずまき』みたいで華麗キモイのです。さすがハイスミス、イヤミスの11編ですが、かたつむりが苦手な人は絶対読まないほうがいいw
Posted by ブクログ
11個の短編小説。
サスペンスというか不安というか不快というか、それでいて、思わず気になってしまうような。
映画「perfect days」で気になって読んだが、良い小説は人間の感情をよく捉えているものだと改めて感じた。
Posted by ブクログ
すごく独特な世界。
不気味。怖い。恐ろしい。
人間の奥底の、のぞいてはいけないどす黒いところを描く。
犯罪者側から書ける人なんだな。
ヴェンダースの映画「パーフェクトデイズ」で作中人物が手に取る作品。
Posted by ブクログ
もっと強烈なものを期待したんだけど、どうしても古さを感じてしまう。読み込みが足りないのか、著者の意図が分からないものもあったし。
ただ、いくつかの短編では、日本のジメッとした陰湿な恐怖とは違う、陽光の中で感じる恐怖のようなものが感じられたので、読んでみる価値はある。